「事実」と「解釈」の境界線──支援記録で迷いやすい、たった一つの分岐点

「実地指導に備えて、客観的な記録を残さなければならない」

「加算のために、より詳細な記録が必要になった」

そんなプレッシャーを感じるほど、いざペンを持ったときに「何から書けばいいのか」と迷ってしまうことはありませんか。

その迷いの正体は、文章力の問題ではありません。書こうとしている事柄が、**「実際に起きた事実」なのか、それとも「自分が感じた解釈」**なのか。その境界線が曖昧になっているからかもしれません。

目次

なぜ「事実」と「解釈」を分ける必要があるのか

支援記録において、事実と解釈を分けることは、自分たちを守るためにとても重要です。

たとえば、 **「利用者さんが、大きな声で特定の言葉を発していた」**は事実ですが、 **「不満があったため、怒鳴っていた」**は、支援者の解釈(推測)です。

もし、声を出していた理由が「不満」ではなく、単に「体調が悪かった」だけだとしたら。解釈だけで記録を埋めてしまうと、後から読み返したときに支援の方向性を見誤るリスクが生まれます。

また、運営指導などで「なぜこの支援をしたのですか?」と問われた際、事実に基づいた記録があれば、自信を持って根拠を説明できるようになります。

迷いやすい、たった一つの分岐点

記録を書くときに、自分の文章が「事実」か「解釈」かを見極める、簡単な分岐点があります。

それは、**「ビデオカメラに映るかどうか」**という視点です。

  • ビデオに映るもの(事実):声の大きさ、表情、動き、発した言葉そのもの。
  • ビデオに映らないもの(解釈):本人の内面の推測、意図の読み取り、支援者の感想や推測。

「本人が拒否した」と書く前に、「『やりたくない』と言って、首を横に振った(事実)」と書いてみる。これだけで、記録の客観性は劇的に高まります。

事実と解釈を分ける考え方を、支援記録全体の基本ルールから確認したい方はこちら。
👉支援記録の書き方がわからない!失敗しない記録ルールと実例|テンプレ無料DL付き

「解釈」を書いてはいけないわけではない

ここで勘違いしてはいけないのが、「解釈(専門的な着眼点)を書いてはいけない」ということではありません。

大切なのは、**「分けて書く」**ことです。

  1. まず、ビデオに映る「事実」を書く。
  2. その次に、「それを受けて、私はこう考えた(着眼点)」を書く。

この順番を守るだけで、記録は「誰が読んでも納得できる根拠」へと変わります。文章を飾る必要はありません。まずは「映っているもの」から書き始めてみてください。

NG表現や改善例を具体的に見たい方へ
👉【例文20選】支援記録の例文集|障害福祉ですぐ使える記入例とNG表現

最後に

「事実」を積み重ねることは、利用者さんの本当の姿を丁寧に写し取ることでもあります。

最初は少し時間がかかるかもしれません。でも、この「分岐点」を意識し続けることで、あなたの記録は、現場の判断を支える揺るぎない土台になっていくはずです。

今日はひとつだけ。 記録を書く前に、「これはビデオに映るかな?」と、一度だけ自分に問いかけてみてください。

それだけで、十分です。

「事実」と「解釈」を分けられているか、今の支援記録を一度確認してみませんか

支援記録は、客観的な事実を残すだけでなく、その記録が実際の支援や個別支援計画、モニタリングにつながっていることも大切です。

支援記録・個別支援計画 整合性レビューでは、現在の記録や計画を外部の視点で確認し、今のままでよい部分と、見直した方がよい部分を一緒に整理します。

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この記事を書いた人

大阪市を拠点に、障がい福祉事業所の記録・個別支援計画、運営書類、法定研修、制度対応などの整理と運用を支援する行政書士です。
自身の福祉サービス利用経験と福祉現場での経験を踏まえ、制度の内容を解説するだけでなく、事業所、ご本人、ご家族が「次に何を確認し、どう動けばよいか」を分かりやすく整理することを大切にしています。
本ブログでは、障がい福祉の制度改定、事業所運営、支援記録、個別支援計画、親なきあとに関する制度・法務などについて、現場で役立つ視点から発信しています。

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