※この記事は行政書士事務所の開業準備中に執筆し、その後、現在の状況に合わせて一部修正しています。
現在は大阪市中央区で行政書士事務所を運営し、障がいのある方・ご家族への支援や、障がい福祉事業所の運営支援・開設支援を行っています。
はじめに:「親なきあと」の不安が現実になる日
「自分がいなくなったあと、この子はどうやって生活していけるのか…?」
障がいのある子を持つ親御さんの多くが、一度はこのような不安を抱えます。福祉サービスが整いつつあるとはいえ、制度のはざまで困難を抱える家庭も少なくありません。「親なきあと」とは、まさに親が支援できなくなった後の生活、財産、支援体制すべてに関わる重大なテーマです。
本記事では、「親なきあと」に備えるために必要な3つの備えと、それを支える制度について、行政書士の視点からわかりやすくご紹介します。
「親なきあと」に必要な3つの備えとは?
1. 生活費・財産の管理
障がいのある子どもに財産を相続させる場合は、本人がその財産をどのように管理し、生活のために適切に使っていけるかまで考える必要があります。
財産の額や内容によっては、所得や資産の状況が判定に関係する制度へ影響する可能性もありますが、財産を相続しただけで、障がい福祉サービス全般を利用できなくなるわけではありません。
本人による財産管理が難しい場合や、詐欺などの被害が心配される場合には、本人の状況に合った財産管理の方法を検討する必要があります。
また、生活費だけでなく、医療、介護、日用品、余暇活動などへの支出も考慮し、継続的な支援ができる資金計画を考えることが大切です。
2.法的支援者の確保
子どもが成年に達した後、判断能力が十分ではなく、契約や財産管理に支援が必要な場合には、成年後見制度などの利用を検討することがあります。
成年後見制度には、本人の判断能力が不十分になった後に家庭裁判所が支援者を選任する法定後見制度と、本人が十分な判断能力を有する間に契約を結んでおく任意後見制度があります。
任意後見制度は、親が自分の判断だけで子どもの支援者を決めておく制度ではありません。支援を受ける本人が契約内容を理解できる間に、本人自身が任意後見人となる人や、将来依頼する事務の内容を決め、公正証書で契約を結ぶ制度です。
本人が任意後見契約を結べる状態か、法定後見制度を検討する必要があるかは、本人の判断能力や必要な支援によって異なります。
3. 居住・生活環境の準備
「どこで、誰と暮らすか」は、本人の生活の質を大きく左右します。グループホームや入所施設など、安心して暮らせる場を早めに見つけ、見学・相談を重ねておくことが重要です。
また、将来の生活費や介護費用に備えるには、制度だけでなく、家族や専門職との連携が欠かせません。
実際に活用されている3つの制度
任意後見契約
任意後見契約は、本人が十分な判断能力を有する間に、将来自分の判断能力が不十分になった場合に備えて、任意後見人となる人と、支援してもらう事務の内容を決めておく制度です。
契約は公正証書で締結します。契約を結んだだけでは任意後見は始まらず、本人の判断能力が不十分になった後、家庭裁判所が任意後見監督人を選任したときから効力が生じます。
そのため、障がいのある子について任意後見契約を検討する場合は、本人が契約内容を理解して契約できる判断能力を有しているかを確認する必要があります。
遺言書の作成
遺言は、亡くなった後に財産の分配をどうするかを指定するための大切な手段です。障がいのある子に配慮した分配方法(例:第三者に信託)を明確にすることで、トラブルを未然に防ぐことができます。
さらに、遺言執行者を指定すれば、書かれた内容が確実に実行される体制が整います。
民事信託(家族信託)
近年注目されているのが、民事信託(家族信託)です。たとえば「長男に財産を託し、その中から障がいのある次男に毎月10万円ずつ生活費を支給する」といった柔軟な仕組みが可能です。
信託契約書の内容や管理方法によって、親の意思を長期にわたって実現できる点が特徴です。
行政書士に相談するメリット
「制度が多く、何から考えればよいか分からない」という方も少なくありません。
行政書士は、本人やご家族の状況を整理したうえで、遺言書の文案作成、公正証書作成に向けた準備、任意後見契約などの書類作成を支援できます。
一方で、家庭裁判所への成年後見の申立て、相続人間に争いがある案件、登記、税務、複雑な信託の設計などは、行政書士だけでは対応できない場合があります。
その場合には、弁護士、司法書士、税理士など、必要な専門家と役割を分けて進めます。
大切なのは、最初から利用する制度を決めることではありません。本人とご家族の現在の状況や将来への希望を整理し、必要な制度や支援を一つずつ確認することです。度の組み合わせや、支援者(親族や福祉関係者)との橋渡しなど、単なる書類作成を超えた伴走型支援も可能です。
まとめ:未来の安心は「今」の準備から
「まだ元気だから大丈夫」と思っていても、いざというときには時間も情報も足りなくなりがちです。今、動き出すことで、障がいのあるご家族の未来に大きな安心を届けることができます。
まずは、地域の行政書士や専門家への無料相談を活用して、一歩を踏み出してみませんか?
(※この記事は制度情報に基づき作成しています。個別のご事情に応じた支援内容は、専門家に直接ご相談ください)
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