はじめに――「将来が不安で仕方ない」そんなあなたへ
障がいのある子どもを育てるご両親が、よく口にする言葉があります。
「私がいなくなったあと、この子はどうなるんだろう」
誰よりも大切な我が子の未来が、見えない不安に包まれている。
その気持ち、痛いほどわかります。私自身も、障がいと共に生きてきた経験があります。そして今、行政書士として、そんなご両親たちの「不安」と「願い」に、真摯に寄り添う仕事を目指しています。
本記事では、ご両親たちがよく感じる不安と、その不安を軽くするために行政書士としてできるサポートをご紹介します。少しでも、あなたの心が軽くなりますように。
よくあるご両親たちの不安/5つに絞ってご紹介
不安は人それぞれですが、一定の共通するテーマがあります。代表的なものを5つご紹介します。
1. 自分が死んだあと、この子はどうなるの?
最も多いのが「親なきあと問題」です。自分がいなくなったあと、誰が子どもの生活を支えてくれるのか。施設?兄弟姉妹?行政?
考えれば考えるほど、不安は膨らみます。
2. 金銭管理や相続のことがわからない
「遺言って書いた方がいいの?」
「障がいがある子に相続させると生活保護が止まる?」
専門的な知識が必要で、何が正解かわからず、動けない方が多くいます。
3. 兄弟姉妹に負担をかけたくない
「この子のことをきょうだいに任せるのは心苦しい…」
実際、きょうだいとの関係や心の葛藤について相談されることも少なくありません。
4. 福祉サービスの制度が複雑で不安
障害福祉サービス、成年後見、特別児童扶養手当…。
申請方法や仕組みがわかりにくく、「こんな制度があるなんて知らなかった」という声をよく聞きます。
5. 誰に相談していいかわからない
「福祉事務所に聞いたけどたらい回しにされた」
「法律のこともお金のことも、一つの窓口で相談できればいいのに…」
制度の“はざま”で苦しんでいる方も多くいらっしゃいます。
行政書士にできること――不安の中に、安心の道を探します
行政書士は、書類の専門家であると同時に、「人生設計」のお手伝いをする伴走者でもあります。
障がいのあるお子さんを持つご家庭には、次のような支援が可能です。
● 遺言書の作成サポート
ご両親の「想い」を法的にきちんと形にしておくことが、子どもの未来を守る第一歩です。
たとえば、
- 他の兄弟姉妹との相続トラブルを防ぐために配慮した書き方
- 財産を信頼できる人や団体に託す「遺言信託」の利用
など、お一人お一人の事情に合わせてご提案できます。
● 成年後見制度のご案内と申立て支援
知的障がいや精神障がいのある方には、意思決定を支援する「成年後見制度」が利用できます。
法定後見(家庭裁判所が後見人を選任)と、任意後見(将来に備えて契約を結んでおく)の2種類があり、ケースに応じたご提案が可能です。
また、継続的に見守る「見守り契約」も併用できます。
● 福祉型信託や家族信託の活用支援
遺言だけでは不十分な場合や、柔軟な財産管理が必要な場合は「信託」という手段もあります。
たとえば、
- 親の財産を信託し、信頼できる人が障がいのある子どもの生活費を管理する
- 障がい者扶養信託(一定の要件で非課税)の活用
など、生活の実情に即した方法をご提案します。
● 福祉制度や助成金の申請支援
行政書士は、障害福祉サービスや医療費助成制度、特別児童扶養手当などの申請書類の作成・提出代行が可能です。
複雑な書類を一つひとつ一緒に進めていくことで、時間と労力の負担を減らせます。
事例――相談してよかったと思えるように
事例①
50代のご両親が、知的障がいのある息子さんの将来に備えて遺言書を作成。
同時に、兄弟姉妹への感謝の気持ちも伝える手紙を添えたことで、家族の不安も和らぎました。
事例②
ひとり親のお母さんが、成年後見制度と家族信託を組み合わせて将来設計。
「これでやっと夜眠れるようになりました」と、涙ながらにお話してくださいました。
※事例はすべて加工しています。また、筆者が受託したものではありません。
「ずっと寄り添う」行政書士でありたい
私は、障がい福祉の世界に恩返しがしたいという思いで、行政書士としての道を選びました。
制度や法律の壁にぶつかって、悩んでいるご両親たちに、そっと寄り添い続ける存在でありたい。
必要なときに、必要なだけ、話せる相手がいる。そんな関係を築いていきたいのです。
まずは、不安な気持ちを話すことから始めませんか?
法律や制度のことを、最初から全部理解しなくて大丈夫です。
「この子の未来が不安」「何をすればいいかわからない」
そんな気持ちを、そのまま話してくだされば、それが第一歩です。
あなたと、あなたの大切なお子さんの未来を、これから一緒に考えていけますように・・・。
🧩【役立つ情報コラム】障がいのある方のための「親なきあと」対策3選
対策 | 内容 | ポイント |
---|---|---|
遺言書 | 相続先や管理方法を明記 | 家族間トラブルの予防になる |
家族信託 | 財産管理を柔軟に設計 | 親が元気なうちに始められる |
成年後見 | 意思判断が難しくなっても安心 | 法的な支援を受けられる |
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