うつ病でも行政書士試験に7カ月で合格|体調と勉強を両立した私の工夫

私は、うつ病の治療を続けながらA型事業所へ通い、約7カ月の勉強で行政書士試験に合格しました。

こう書くと、

「毎日何時間も勉強したのではないか」

「強い意志があったから続けられたのだろう」

と思われるかもしれません。

しかし、実際には、体調が悪くて文字がほとんど頭に入らない日もありました。

勉強を始められない自分に焦り、合格できる気がしなくなったこともあります。

私が続けられたのは、無理をして体調を押し切ったからではありません。

その日の状態に合わせて、勉強の量や休み方を調整したからです。

この記事では、うつ病のある私が、行政書士試験の勉強と生活をどのように両立したのかを、当事者としての経験からお伝えします。

なお、これは私個人の体験です。

同じ病名であっても、症状や治療状況、生活環境は一人ひとり異なります。体調や治療に関する判断は、主治医などの専門家と相談しながら進めてください。

目次

行政書士試験を目指した理由

私が行政書士を目指した理由の一つは、自分自身が制度や手続きの壁に悩んだ経験があったからです。

支援制度が用意されていても、その存在を知らなければ利用できません。

制度を知っていても、説明が難しく、どの手続きをすればよいのか分からないことがあります。

申請書類を用意すること自体が、大きな負担になる場合もあります。

私自身も、

「誰かに相談できればよいのに」

「制度と利用する人の間をつなぐ人がいればよいのに」

と感じたことが何度もありました。

それなら、自分がその役割を担える人になりたい。

そう考えたことが、行政書士試験へ挑戦するきっかけになりました。

一番難しかったのは、知識ではなく体調管理だった

行政書士試験では、憲法、民法、行政法、商法など、幅広い内容を学びます。

もちろん、覚える量の多さにも苦労しました。

ただ、私にとって一番難しかったのは、勉強内容そのものではありません。

体調が日によって変わる中で、勉強を継続することでした。

体調が悪い日は、テキストを読んでも内容が頭に入りません。

同じ文章を何度も読み返しているのに、何が書かれているのか理解できないこともありました。

そのような日に無理をして机へ向かっても、勉強はほとんど進みません。

それでも、

「今日は何もできなかった」

「ほかの受験生は勉強している」

「このままでは間に合わない」

と考え、自分を責めてしまいます。

勉強が進まないことよりも、自分を責め続けることの方が、体調を悪化させる原因になっていたように思います。

勉強時間を一日の目標にしなかった

資格試験の勉強では、

「毎日3時間勉強する」

「休日は8時間勉強する」

といった時間目標がよく使われます。

しかし、私は一日の勉強時間を固定しませんでした。

体調が安定しない中で、毎日同じ時間を確保することは難しかったからです。

調子が悪い日に「今日は4時間」と決めても、机の前に座っているだけで終わってしまいます。

決めた時間を達成できなければ、さらに自己嫌悪が強くなります。

そこで私は、時間ではなく、取り組んだ内容を基準にしました。

例えば、

  • 今週中にテキストのこの範囲を読む
  • 問題集の行政法を一周する
  • 過去問を一年分解く
  • 間違えた問題だけを見直す

という形です。

一日で終わらなくても、体調のよい日に続きをすれば構いません。

「今日は何時間できたか」ではなく、

「最終的に何を終えたか」

を見るようにしました。

振り返ると、勉強できた日の平均は一日4~5時間ほどだったと思います。

ただし、それは最初から決めていた時間ではなく、結果としてその程度になったということです。

休む日は、先に「休む」と決めた

体調が悪くて勉強できなかった日に、

「また休んでしまった」

と考えると、罪悪感が残ります。

そこで私は、

「明日は勉強しない」

「ここから3日間は完全に休む」

と、先に休みを決めるようにしました。

同じ一日休む場合でも、

「勉強しようと思ったのにできなかった日」

と、

「最初から休むと決めた日」

では、気持ちが大きく違います。

休むと決めた日は、勉強のことをできるだけ考えませんでした。

休んでいる間も焦りがなくなるわけではありません。

それでも、休むことを計画の一部として扱うことで、

「自分は勉強を投げ出したのではない」

と思えるようになりました。

休養は、勉強を中断するものではなく、勉強を続けるために必要な時間でした。

生活リズムを勉強のために崩さなかった

私は、A型事業所へ通いながら試験勉強をしていました。

勉強時間を増やそうと思えば、睡眠時間を削ったり、生活の予定を大きく変えたりする方法もあったかもしれません。

しかし、私は生活リズムをできるだけ変えないようにしました。

睡眠時間や通所時間を優先し、その中に勉強を組み込みました。

うつ病のある私にとって、生活リズムが崩れることは、単に眠くなるという問題ではありません。

体調全体が悪化し、その後何日も勉強できなくなる可能性があります。

一日に長時間勉強して、その後一週間動けなくなるよりも、無理のない範囲で続ける方が、結果として多く勉強できます。

勉強を生活の中心に置くのではなく、生活を維持したうえで勉強を続ける。

これが、私にとって大切な考え方でした。

勉強方法は、そのまま真似しなかった

インターネットやSNSでは、行政書士試験に合格した人の勉強方法が数多く紹介されています。

  • テキストを何周する
  • 過去問を何年分解く
  • 毎日何時間勉強する
  • 模試を何回受ける
  • ノートをどのように作る

こうした情報は、とても参考になります。

ただし、私は誰か一人の方法を、そのまま全部真似することはしませんでした。

勉強方法には、その人の生活環境や体力、得意不得意が影響します。

仕事をしている人と、勉強へ専念できる人では、使える時間が違います。

長時間集中できる人と、短時間ずつ取り組む方が合っている人でも、方法は変わります。

私は、

「この部分は自分にも合いそうだ」

「これは体調を崩しそうなのでやめておこう」

と、一つずつ判断しました。

他人の成功例を正解として受け入れるのではなく、自分が続けられる形へ変えることを意識しました。

感情の波を大きくしないようにした

私の場合、強い感情の動きが続くと、体調が悪化しやすい傾向がありました。

悲しいことや不安だけではありません。

うれしいことが続き、気持ちが高揚しすぎた後にも、疲れが出ることがありました。

そのため、勉強期間中は、できるだけ生活と感情の波を大きくしないことを意識しました。

模試の点数がよくても、

「これなら絶対に合格できる」

と考えすぎない。

反対に、点数が悪くても、

「もう合格は無理だ」

と決めつけない。

よい結果も悪い結果も、一回の記録として受け止めました。

目標にしていたのは、毎日完璧に勉強することではありません。

何もできない状態が長期間続かないように、体調を大きく崩さず試験日まで進むことでした。

調子の悪い日にすることを決めておいた

体調がよい日にできる勉強と、悪い日にできる勉強は異なります。

私は、集中力が必要な作業と、比較的負担の少ない作業を分けていました。

調子のよい日は、

  • 新しい範囲のテキストを読む
  • 記述式問題を解く
  • 模試や過去問へ取り組む
  • 間違えた理由を詳しく確認する

といった勉強をしました。

一方、調子があまりよくない日は、

  • 一度読んだ範囲を見直す
  • 過去に間違えた問題だけを見る
  • 短い解説動画を見る
  • 条文や重要語句を確認する

など、比較的負担の少ない内容に切り替えました。

まったくできない日は、休みました。

調子の悪い日に、調子のよい日と同じ勉強を求めない。

できることの選択肢を複数用意しておくと、

「今日はこれならできる」

と考えやすくなります。

7カ月で合格できた理由を一つに決めない

私は約7カ月の勉強で行政書士試験に合格しました。

ただし、

「この勉強法を使えば、誰でも7カ月で合格できる」

という意味ではありません。

それまでに学んできたこと、得意な科目、使える時間、体調、試験年度の問題など、さまざまな条件が結果に影響します。

私自身も、一つの特別な方法だけで合格できたとは考えていません。

  • 生活リズムを大きく崩さなかった
  • 体調に合わせて勉強内容を変えた
  • 時間ではなく進んだ内容を確認した
  • 休む日を計画として扱った
  • 他人の方法を自分向けに調整した
  • 完璧な一日より継続を優先した

こうした小さな工夫が重なり、試験日まで勉強を続けられたことが、結果につながったのだと思います。

合格以上に大きかったもの

行政書士試験に合格したことは、もちろんうれしい出来事でした。

しかし、今振り返ると、合格と同じくらい大きかったのは、自分の状態を理解できるようになったことです。

どのようなときに体調を崩しやすいのか。

どの程度なら無理なく続けられるのか。

休む必要があるときに、どうすれば罪悪感を減らせるのか。

集中できない日は、何へ切り替えればよいのか。

試験勉強を通じて、私は自分なりの扱い方を少しずつ学びました。

この経験は、行政書士になった後の仕事にも生きています。

体調がよくないときに、無理にすべてを終わらせようとしない。

優先順位を決め、今日できることと、後日に回すことを分ける。

一時的に進まなくても、仕事全体を投げ出したとは考えない。

試験勉強で身につけたのは、知識だけではありませんでした。

資格試験へ挑戦したい方へ

精神障がいがあると、

「資格試験へ挑戦するのは無理ではないか」

「途中で体調を崩すのではないか」

「最後まで続けられないのではないか」

と不安になることがあります。

実際に、勉強を始めることや、続けることが難しい時期もあると思います。

挑戦したからといって、必ず受験しなければならないわけではありません。

受験したからといって、一度で合格しなければならないわけでもありません。

途中で休むことや、受験時期を変更することも、一つの判断です。

大切なのは、ほかの人と同じ方法や速度を求めすぎないことだと思います。

一日にできる時間が短くても構いません。

計画どおりに進まない週があっても構いません。

「挑戦してみたい」と思った気持ちを、自分に合う形で少しずつ行動へ変えていく。

それだけでも、大きな一歩です。

行政書士として、この経験を生かしたい

私は現在、障がい福祉分野を中心に活動する行政書士として、事業所の運営支援や書類整理などに取り組んでいます。

行政書士試験の勉強を始めた当時に感じていた、

「制度があっても、分からなければ利用できない」

「困ったときに、一緒に整理してくれる人が必要だ」

という思いは、今も変わっていません。

自分自身が、体調や不安を抱えながら一歩ずつ進んできたからこそ、すぐに答えを出せない方や、何から手をつければよいか分からない方の気持ちも大切にしたいと考えています。

誰かに無理をさせるのではなく、その人や事業所が続けられる方法を一緒に整理する。

それが、当事者としての経験を、行政書士の仕事へ生かす一つの方法だと思っています。

まとめ

私は、うつ病の治療を続け、A型事業所へ通いながら、約7カ月の勉強で行政書士試験に合格しました。

勉強を続けるうえで大切にしたのは、長時間勉強することではありませんでした。

  • 一日の勉強時間を固定しない
  • 時間ではなく、終えた内容を見る
  • 休む日をあらかじめ決める
  • 生活リズムを崩さない
  • 体調に合わせて勉強内容を変える
  • 他人の方法をそのまま真似しない
  • 完璧さより継続を優先する

これらは、私に合っていた方法です。

同じ方法が、すべての方に合うとは限りません。

それでも、体調に合わせて計画を変えることは、諦めることではありません。

自分を理解し、続けられる形へ工夫することも、試験勉強の大切な一部です。

できない日に自分を責めるのではなく、できる日に少しずつ進む。

その積み重ねによって、届く目標もあると、私は自分の経験から感じています。

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