【大阪府9月18日更新】こども性暴力防止法|児発・放デイが12月25日までに確認したいこと

目次

はじめに|制度の説明から、施行前の「最終点検」へ

大阪府は2026年9月18日、「こども性暴力防止法の施行について」のページを更新しました。

こども性暴力防止法は、2026年12月25日に施行されます。児童発達支援や放課後等デイサービスなどの義務対象事業者には、従事者の性犯罪前科の確認だけでなく、相談体制の整備、研修、不適切な行為を防ぐためのルールづくり、犯罪事実確認情報の適正な管理など、複数の対応が求められます。

ただし、今回の更新を受けて、これまでの準備をすべてやり直す必要があるわけではありません。

すでに準備を進めている事業所にとって大切なのは、現在の対応内容と、大阪府・こども家庭庁が示している最新資料との間にズレがないかを確認することです。

この記事では、制度全体を一から説明するのではなく、2026年9月18日更新の大阪府ページを基に、児発・放デイが施行日までに確認しておきたい実務上のポイントを整理します。

この記事のポイント
今回の大阪府ページの更新は、「新たに一つの書類だけを追加すればよい」という案内ではありません。対象職員、雇用管理、相談・報告体制、研修、情報管理、システム対応がつながっているかを確認するための材料として読むことが重要です。

※本記事は2026年9月21日時点の公表資料に基づいています。大阪府ページの更新日は確認できますが、掲載項目のすべてが9月18日に新設されたとまでは確認できません。そのため、本記事では「9月18日更新のページに現在掲載されている内容」として整理しています。

1.大阪府が示す、施行後に求められる4つの措置

大阪府のページでは、こども性暴力防止法の施行後、対象事業者に求められる措置を次の4つに整理しています。

  1. 安全確保措置
    被害の早期把握のための面談・アンケート、相談体制の整備など
  2. 犯罪事実確認
    対象となる従事者について、性犯罪前科の有無を確認すること
  3. 防止措置
    性暴力のおそれがあると判断される場合に、こどもとの接触を避けるための措置など
  4. 情報管理措置
    性犯罪前科等の極めて機微な情報を適正に管理すること

ここで注意したいのは、犯罪事実確認だけを行えば対応が完了する制度ではないという点です。

例えば、確認の結果を扱う担当者が決まっていなければ、情報管理は機能しません。不適切な行為の報告先や対応手順が決まっていなければ、相談窓口を設けても、実際に情報が寄せられた後の対応が止まってしまいます。

4つの措置は別々の作業ではなく、事業所の一つの安全管理体制としてつなげて考える必要があります。

2.児発・放デイは、まず「誰が対象か」を再確認する

児童発達支援、放課後等デイサービス、居宅訪問型児童発達支援、保育所等訪問支援、障害児入所施設は、障がい分野における義務対象事業として大阪府のページに掲載されています。

対象従事者には、管理者、児童発達支援管理責任者、保育士、児童指導員、機能訓練担当職員、看護職員などが挙げられています。

一方、事務職員や送迎車両の運転手については、職種名だけで一律に判断するのではなく、実際の業務が次の3要件を満たすかによって判断する必要があります。

  • 支配性
  • 継続性
  • 閉鎖性

こども家庭庁の「義務事業者用準備ガイドVer.1.1」では、事務職員や送迎バスの運転手などは、個々の職員の業務実態に応じ、3要件を満たす場合に対象になるとされています。また、雇用形態や雇用契約の有無にかかわらず、短期間の労働者なども対象になり得ます。

したがって、単に職員名簿へ丸を付けるだけでは不十分です。

例えば送迎担当者であれば、

  • こどもと一対一になる場面があるか
  • 同じこどもと継続して関わるか
  • 車内で第三者の目が届かない時間が生じるか

といった実態を確認し、その判断根拠を事業所内で説明できるようにしておく必要があります。

詳しい考え方は、当ブログの「児発・放デイのこども性暴力防止法|犯罪事実確認の対象職員は誰?」でも整理しています。

3.「不適切な行為」を現場の業務に合わせて具体化する

こども家庭庁の準備ガイドでは、施行までの最低限の準備として、「不適切な行為」の範囲を検討し、確定することが示されています。

不適切な行為とは、直ちに性暴力そのものに当たるとは限らないものの、業務上必要とはいえず、継続・発展すれば性暴力につながる可能性がある行為です。

国の資料では、例として次のような行為が挙げられています。

  • こどもとSNSで私的なやり取りをする
  • 私物の端末で、業務外の目的によりこどもの写真を撮影する
  • こどもと二人きりで私的に会う
  • 不必要な身体接触を行う
  • 特定のこどもばかりを、理由なく担当しようとする

ただし、児発・放デイでは、身体介助、排せつ支援、着替え、情緒が不安定なこどもへの対応など、支援上必要な接触が生じる場合があります。

そのため、一般的な例をそのまま禁止事項として貼り付けるだけでは、現場が必要以上に萎縮したり、必要な支援まで避けたりするおそれがあります。

大切なのは、事業所の支援内容やこどもの特性を踏まえ、

  • どのような行為を不適切とするのか
  • 支援上必要な行為は、どの条件・手順で行うのか
  • 判断に迷ったとき、誰に相談するのか
  • 不適切な行為の疑いを把握したとき、誰へ報告するのか

を具体化し、職員と共有することです。

ルールづくりは管理者だけで完結させず、実際に支援へ入る職員と対話しながら進めることが、実効性のある運用につながります。

4.就業規則・採用時の書類は、犯罪事実確認と分けて考える

大阪府は、性犯罪前科が確認されるなど、性暴力のおそれがあると判断される従事者について、配置転換等の雇用管理上の措置が必要になる可能性を踏まえ、制度開始前から次の対応を行うことが重要と案内しています。

  • 就業規則等を整備し、従事者へ周知すること
  • 採用選考時に、誓約書等によって性犯罪前科の有無を確認すること

ここでは、二つの点を混同しないことが重要です。

第一に、採用時の誓約書や申告は、本人に一定の事項を確認するためのものです。こまもろうシステムを通じて行う、法律上の犯罪事実確認そのものではありません。

第二に、書類を作成するだけでは足りません。確認の結果、配置転換や業務変更などを検討する場面を想定し、既存の服務規律、懲戒事由、採用手順、労働条件との整合を確認する必要があります。

なお、就業規則の作成・変更や労務上の判断は、社会保険労務士等へ確認すべき領域です。行政書士が支援する場合も、制度上必要となる論点や規程・書式の整理を行い、就業規則に関する部分は社会保険労務士と連携して進めることが適切です。

士業の役割分担については、「こども性暴力防止法で就業規則の変更は必要?社労士・弁護士・行政書士の役割」をご覧ください。

5.規程・書式は「あるか」ではなく「つながっているか」を見る

こども家庭庁は、制度対応に活用できる各種ひな型・参考例を公開しています。大阪府の更新ページからも、国のひな型やチェックリストへ進めます。

施行前に、少なくとも次の関係を確認しておきたいところです。

確認するもの実務上の確認点
不適切な行為のルール事業所の支援場面に合っているか
報告ルール報告先、方法、報告事項、緊急時の連絡が明確か
対応ルール初動、事実確認、こどもの安全確保、関係機関との連携が整理されているか
相談窓口こども・保護者・職員に分かる形で周知されているか
研修計画対象者、実施時期、欠席者対応、記録保存まで決まっているか
情報管理規程閲覧権限、保存方法、持出し、伝達、廃棄、事故時対応が整理されているか

特に、国が公開している情報管理規程のひな型は、犯罪事実確認書を誰が閲覧するのか、システム外へ記録・保存するのかによって複数に分かれています。

つまり、「国のひな型を一つダウンロードしたので準備完了」とはなりません。自事業所の権限設定と情報の取扱方法を先に決め、それに合うひな型を選択・調整する必要があります。

必要書類の全体像は、「児発・放デイのこども性暴力防止法|整備すべき書類と国のひな型を解説」で詳しく取り上げています。

6.情報管理は、担当者を増やすほど安心とは限らない

犯罪事実確認に関する情報は、漏えいした場合に従事者へ重大な不利益を及ぼし得る、極めて機微な情報です。

そのため、「念のため管理者全員が見られるようにする」「本部と各事業所で同じデータを保存する」といった運用が、必ずしも安全とは限りません。

施行前に、少なくとも次の事項を決めておく必要があります。

  • 閲覧できる者を誰に限定するか
  • システム上の権限を誰に付与するか
  • システム外に記録を保存する必要があるか
  • 関係者へ情報を伝える場合、何をどこまで伝えるか
  • 保存期間が終了した情報を、誰がどの方法で廃棄・消去するか
  • 誤送信、紛失、不正閲覧等が起きた場合の報告経路

情報管理では、関係者を広げるほど漏えい経路も増えます。業務上必要な人だけが、必要な範囲で取り扱う設計が基本です。

詳しくは、「児発・放デイのこども性暴力防止法|犯罪事実確認情報の管理方法を解説」も参考にしてください。

7.9月下旬から12月25日までに確認したい実務スケジュール

大阪府ページには、GビズIDの取得、指定権者への事業者情報の報告、こども家庭庁からの問い合わせ対応、システム権限の検討・設定、施行後の犯罪事実確認申請までの工程が掲載されています。

2026年9月21日時点では、GビズIDの取得や指定権者への報告について、大阪府ページ上の目安時期はすでに過ぎています。未対応の事業所は、古い期限を見て自己判断で放置せず、指定権者の最新案内を確認し、必要に応じて問い合わせてください。

今後の工程は、次のように整理できます。

9月下旬から10月末まで

  • こども家庭庁から事業者情報に関する問い合わせが届いていないか確認する
  • 対象従事者の範囲を業務実態に基づいて確定する
  • 不適切な行為、報告・対応、相談体制の各ルールを整える
  • 従事者への制度周知と研修を進める
  • 就業規則や採用関係書類について、必要な専門家との調整を始める

11月から12月上旬まで

  • システムの権限区分を確認する
  • 誰に、どの権限を付与するかを決める
  • 犯罪事実確認情報を閲覧する責任者と、代替対応者を整理する
  • 情報管理規程と実際の権限設定が一致しているか確認する

12月中旬以降

  • システムの案内を確認する
  • GビズIDを用いてログインし、必要な権限設定を行う
  • 操作担当者が実際の手順を確認する

12月25日以降

  • 法の対象となる従事者について、所定の手続により犯罪事実確認を申請する
  • 新たにこどもと接する業務へ従事する人については、業務開始前に必要な研修等の対応を確認する

大阪府ページでは、システムについて「12月中旬に暫定稼働」と案内されています。システムやマニュアルの内容は今後更新される可能性があるため、古い資料だけで固定せず、大阪府とこども家庭庁の最新情報を継続して確認することが必要です。

施行までの準備工程については、「児発・放デイのこども性暴力防止法|8月から施行までの準備スケジュール」も併せてご確認ください。

8.施行前の最終点検で避けたい3つの進め方

① 国のひな型を、そのまま保存して終わる

ひな型は出発点です。報告先、責任者、連絡方法、情報の保存方法などを自事業所の体制へ落とし込まなければ、緊急時に機能しません。

② 犯罪事実確認だけを担当者へ任せる

対象者の判断、研修、報告・対応、雇用管理、情報管理は相互に関係します。一人の担当者にシステム操作だけを任せても、事業所全体の安全確保体制にはなりません。

③ 「今後、正式版が出てから」とすべてを止める

大阪府ページには、こまもろうシステムに関する資料のうち、義務事業者向け・認定事業者向け・従事者向けのマニュアルが「素案」として掲載されています。一方で、施行日、法律上求められる措置、準備ガイド、各種ひな型など、現時点で確認できる確定情報もあります。

未確定部分があることを理由に全作業を止めるのではなく、確定している範囲を先に整え、正式版が公表された後に差分を反映できる形で準備する方が現実的です。

まとめ|新しく全部作るのではなく、最新資料とのズレを確認する

2026年9月18日更新の大阪府ページには、施行後に求められる4つの措置、対象事業・従事者、施行までの工程、国の準備ガイドや各種ひな型、こまもろうシステムに関する資料がまとめられています。

児発・放デイが12月25日までに行うべきことは、制度資料を集めるだけではありません。

  • 対象従事者を業務実態から判断できているか
  • 不適切な行為の範囲が現場に合っているか
  • 相談、報告、対応の流れがつながっているか
  • 研修が計画だけでなく実施・記録まで設計されているか
  • 情報管理規程とシステム権限が一致しているか
  • 雇用管理上の論点を適切な専門家と確認しているか

これらを一つずつ点検する段階に入っています。

すでに準備を進めている事業所は、一から作り直す必要はありません。現在の規程・書式・運用フローと最新資料を照合し、不足や矛盾だけを修正する方が効率的です。

行政書士田中慶事務所では、児童発達支援・放課後等デイサービスを含む障がい福祉事業所を対象に、制度対応に必要な規程・書式・運用フローの整理を支援しています。就業規則など他士業の業務領域に関わる事項は、社会保険労務士等との役割分担を明確にしたうえで進めます。

「資料は集めたものの、自事業所の運用に落とし込めているか分からない」という場合は、お問い合わせください。

12月25日の施行に向けて、準備の「抜け」と「ズレ」を確認しませんか?

対象従事者、相談・報告ルール、研修、情報管理、採用関係書類などは、それぞれ用意するだけでなく、事業所内の運用としてつながっていることが重要です。

行政書士田中慶事務所では、現在の規程・書式・運用状況を最新の公表資料と照合し、不足している対応と施行までの優先順位を整理します。就業規則など他士業の業務領域については、適切な専門家との連携を前提に対応します。

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一次情報・参考資料

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この記事を書いた人

大阪市を拠点に、障がい福祉事業所の記録・個別支援計画、運営書類、法定研修、制度対応などの整理と運用を支援する行政書士です。
自身の福祉サービス利用経験と福祉現場での経験を踏まえ、制度の内容を解説するだけでなく、事業所、ご本人、ご家族が「次に何を確認し、どう動けばよいか」を分かりやすく整理することを大切にしています。
本ブログでは、障がい福祉の制度改定、事業所運営、支援記録、個別支援計画、親なきあとに関する制度・法務などについて、現場で役立つ視点から発信しています。

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