こども性暴力防止法と情報管理|児発・放デイで性犯罪前科等の情報をどう扱うか

目次

なぜ情報管理が重要なテーマになるのか

これまでの記事では、大阪市の報告期限、対象従事者、体制整備、士業の役割分担、整備しておきたい書類について整理してきました。

第5回で触れた書類の中でも、特に慎重な設計が求められるのが「情報管理規程」です。

今回は、こども性暴力防止法の犯罪事実確認手続で扱う情報を、事業所内でどのように管理していくかを整理します。

極めて機微性の高い情報であること

こども性暴力防止法の犯罪事実確認手続では、従事者の性犯罪前科の有無に関する情報を扱うことになります。

これは、極めて機微性の高い情報です。

そのため、大阪府も、施行後に事業者へ求められる措置の一つとして、性犯罪前科等の情報を適正に管理する「情報管理措置」を挙げています。

また、こども家庭庁の事業者向けチェックリストでも、情報管理規程の作成、規程に沿った情報管理体制の整備、情報管理担当者向け研修などが、施行までに必要な対応として示されています。

誰が閲覧できるのか

情報管理を考えるうえで、まず整理すべきなのは「誰が閲覧できるのか」です。

犯罪事実確認記録等は、必要のない職員まで閲覧できる状態にしておくべきではありません。

こども家庭庁が公表している情報管理規程のひな型も、閲覧者が1名の場合と複数名の場合など、事業所の体制に応じて整理できるようになっています。

自事業所の場合、次のような点を確認しておく必要があります。

・閲覧できるのは誰か
・管理者のみが閲覧するのか、複数名で共有するのか
・閲覧できる立場の職員が不在の場合、誰が対応するのか
・複数事業所を運営する法人の場合、法人本部でも閲覧するのか
・閲覧者を増やす必要がある場合、その理由を説明できるか

閲覧できる人を必要最小限にすることは、情報漏えいを防ぐうえでも重要です。

保存するのか、保存しないのか

次に確認したいのが、情報をどこに、どのように保存するのかです。

こども家庭庁が公表している情報管理規程のひな型は、システム外での保存の有無によっても分かれています。

つまり、紙で保存するのか、電子データで保存するのか、システム上の確認結果のみを参照し事業所内には保存しないのかなど、事業所の実情に応じて方針を決めておく必要があります。

保存方法を決める際には、次のような点を確認しておくとよいでしょう。

・紙で保存する場合、施錠できる場所で管理できるか
・電子データで保存する場合、アクセス制限を設定できるか
・システム外に保存しない場合、必要な確認をどのように記録するか
・保存期間や廃棄方法をどのように整理するか
・複数事業所で情報を共有する必要があるか

重要なのは、「とりあえず保存しておく」という扱いを避けることです。

必要性、保存場所、閲覧権限、廃棄方法を整理したうえで、事業所内のルールとして明確にしておく必要があります。

権限設定と取扱記録

情報を扱う仕組みとしては、権限設定と取扱記録も重要です。

権限設定とは、システムやフォルダへのアクセス権限を、閲覧が必要な人に限定することです。

取扱記録とは、誰が、いつ、どの情報を閲覧・保存・廃棄したかを記録に残すものです。

こども家庭庁も、情報管理に関する参考資料として、取扱記録や権限設定表を公表しています。

取扱記録を残しておくことで、後から「誰がいつ確認したか」を振り返ることができ、事業所としての管理体制を説明しやすくなります。

漏えい防止と職員への周知

情報管理は、規程を作って終わりではありません。

規程の内容を、実際に情報を扱う職員に周知し、日常の運用に落とし込む必要があります。

具体的には、次のような点が挙げられます。

・情報を口頭で不用意に話題にしない
・書類やデータを、施錠管理やアクセス制限のある場所に置く
・情報管理担当者向けの研修を行う
・万が一、漏えいが疑われる場合の報告先を決めておく
・退職者や異動者が出た場合、閲覧権限を見直す

こども家庭庁のチェックリストでも、情報管理担当者向け研修が必要な対応として示されています。

まとめ

性犯罪前科等の情報は、極めて機微性の高い情報です。

誰が閲覧できるか、保存するかしないか、権限設定、取扱記録、漏えい防止、職員への周知といった点を、事業所の実情に合わせて整理していく必要があります。

情報管理規程は、ひな型をそのまま当てはめるだけではなく、事業所の体制に応じて調整することが重要です。

閲覧者の人数、複数事業所の有無、システム外保存の有無などを確認しながら、自事業所に合った運用ルールを整えていきましょう。

自事業所に合わせた情報管理規程、取扱記録、権限設定表の整理について確認したい方は、行政書士田中慶事務所までご相談ください。

次回は、7月15日以降、施行日である2026年12月25日までの準備スケジュールを整理します。

こども性暴力防止法・大阪市対応シリーズ

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  1. 大阪市の児発・放デイは7月15日までに対応を|こども性暴力防止法とGビズID報告の実務整理
  2. こども性暴力防止法で対象となる従事者は誰?児発・放デイで確認すべき職種と考え方
  3. こども性暴力防止法は7月15日の報告だけで終わりではない|児発・放デイが整えるべき体制とは
  4. こども性暴力防止法と就業規則|行政書士・社労士・弁護士の役割分担
  5. こども性暴力防止法で整備したい書類とは?児発・放デイの報告ルール・記録様式・情報管理
  6. こども性暴力防止法と情報管理|児発・放デイで性犯罪前科等の情報をどう扱うか(この記事)

※続きの記事は、公開後に順次追加します。

性犯罪前科等の情報管理でお困りの事業所様へ

行政書士田中慶事務所では、大阪市内の児童発達支援・放課後等デイサービス等の事業所様向けに、こども性暴力防止法の施行に向けた情報管理体制の整理をサポートしています。

情報管理規程、取扱記録、権限設定表、閲覧者の整理、保存方針、漏えい防止のための運用ルールなど、事業所の実情に合わせて確認しておきたい事項を一緒に整理します。

性犯罪前科等の情報は極めて機微性の高い情報です。ひな型をそのまま当てはめるのではなく、閲覧者の人数、複数事業所の有無、システム外保存の有無などを踏まえて、現場で運用できる形に整えることが大切です。

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