共生型サービスとは?制度の基本を押さえよう
高齢者と障害者を一体的に支援する仕組み
共生型サービスとは、高齢者と障害者が同一の事業所で、共通の設備・人員体制のもとで福祉サービスを受けられる仕組みです。
2018年(平成30年)の制度改正により創設され、地域共生社会の実現を目指して導入されました。
例えば、デイサービス(通所介護)を運営している介護保険事業者が、同じ施設で障害者向けの生活介護や自立訓練を提供できるようになります。
これにより、地域の限られた福祉資源を有効活用しながら、サービスの対象を拡大することが可能です。
対象となるサービスと事業類型
共生型サービスとして認められるのは、以下のような組み合わせです。
- 通所介護(デイサービス)× 生活介護/自立訓練/児童発達支援など
- 訪問介護 × 居宅介護(重度訪問介護)
- 短期入所(ショートステイ)× 短期入所(障害者)
つまり、既存の介護保険サービスの枠組みに、障害福祉サービスを「共生型」として追加するイメージです。
介護保険事業者にとっての共生型サービスのメリット
利用者層の拡大と空き時間の有効活用
共生型サービスの最大の魅力は、利用者層の拡大にあります。
少子高齢化と地域人口の減少が進む中、高齢者だけでなく障害者も対象にすることで、施設の稼働率を高め、収益の安定化が期待できます。
また、介護サービスでは昼間が中心となる一方、障害福祉では朝夕の送迎や日中活動支援などもあります。
このように時間帯や利用形態の違いを補完し合うことで、職員の稼働率や施設の活用効率も高まります。
地域からのニーズに応える信頼性の向上
「うちの子も通わせたい」「障害のある家族も一緒に利用できたら」という声を受けて共生型サービスを導入するケースは少なくありません。
地域包括ケアシステムの観点からも、高齢者・障害者・子どもが共に過ごせる場を提供することは、地域からの信頼を高める施策になります。
導入のステップと行政手続きのポイント
共生型サービス導入の流れ
- 提供したい障害福祉サービスの選定
既存サービスとの親和性や地域ニーズを確認しましょう。 - 人員・設備基準の確認
多くの場合、現在の施設・職員体制を活かして運営可能ですが、基準の差異に注意が必要です。 - 都道府県・市区町村への指定申請
障害福祉サービス事業者としての「共生型指定」を受ける必要があります。 - 運営開始と報酬請求の準備
障害福祉報酬の請求には新たなシステム対応や帳票整備も必要になります。
行政書士にできる支援とは?
- 指定申請書類の作成と提出代行(「障害者総合支援法」「児童福祉法」にかかる事業所の申請)
- 人員配置・運営基準の適合チェック
- 収支見通し・事業計画の策定支援
- 自治体対応(協議・補足資料のやりとり)
行政手続きには専門的な知識と実務経験が必要なため、スムーズな導入には行政書士のサポートを活用することが効果的です。
共生型サービス導入の成功事例
デイサービスが「生活介護」を追加した事例
ある地方のデイサービス事業所では、共生型サービスとして生活介護を導入。
元々は高齢者の利用者が中心でしたが、地域の障害福祉課との連携により、知的障害のある方々の利用も開始しました。
結果として、昼間の稼働率が向上し、介護職員の雇用も安定化。保護者からも「家族が安心して通える場所ができた」と喜ばれています。
今後の制度動向とまとめ
共生型サービスは今後さらに注目される分野
政府は「地域共生社会の実現」を掲げており、今後も高齢・障害・子どもといった分野の垣根を超えた支援が求められます。
特に、小規模な事業所や地方圏では共生型サービスの重要性がますます高まるでしょう。
まとめ|共生型サービスで地域に選ばれる事業所へ
- 共生型サービスは介護保険事業所が障害福祉分野へ参入する有効な手段
- 既存資源を有効活用でき、収益性と地域貢献の両立が可能
- 行政書士の支援で導入の手続きもスムーズに進められる
「行政書士田中慶事務所(開設申請準備中)ホームページはこちら」