はじめに:障がいに起因する法的トラブルの現実
障がいのある方やそのご家族は、日常生活だけでなく、法的な問題にも直面することがあります。
相続に関する不公平な扱い、差別的な対応、不利な契約による金銭トラブル――。
これらは決して他人事ではありません。
しかしながら、多くの方が「泣き寝入り」してしまう現状があります。
- 「法律に詳しくないから」
- 「誰に相談していいのかわからない」
- 「言ってもどうせ変わらないだろう」
この記事では、障がいに関する法的トラブルの具体例とその対策をわかりやすく解説し、行政書士に相談することでどのように解決の糸口が見つかるかをご紹介します。
相続に関するトラブル事例と対策
障がいのある兄弟だけ取り分が少なかった
あるご家庭では、親が亡くなった後、きょうだいで遺産分割を行いました。しかし、障がいのある長男は「自分では管理できないだろう」という理由で、他の兄弟よりも少ない金額しか分けてもらえませんでした。
結果として、長男は生活資金が足りなくなり、福祉サービスへのアクセスすら困難になってしまいました。
財産管理が難しいと相続を放棄された
また、重度の知的障がいがある子どもに対し、「相続をさせても意味がない」「管理できずに混乱する」と、家族が一方的に相続放棄をすすめた事例もあります。
本人の意思を尊重せず、「面倒だから」「わからないから」と判断されることは、権利侵害にあたる可能性があります。
解決策:遺言書・信託・後見制度の活用
このような相続トラブルを防ぐためには、以下の備えが有効です。
- 遺言書の作成:親が元気なうちに、障がいのある子への配慮を明記しておく
- 家族信託:子どもの代わりに信頼できる人が財産を管理できる仕組み
- 成年後見制度:本人の判断能力に応じて、財産を守る支援者を立てる制度
これらの制度を適切に組み合わせることで、障がいのある方の生活と財産を守ることができます。
差別的対応や権利侵害への対処法
入居拒否やサービス利用拒否
「障がいがある方は入れません」
「うちでは対応できません」
こうした言葉で、住宅やサービスの利用を拒否されることがあります。
しかしこれは、障害者差別解消法に抵触する違法行為となり得ます。
例えば:
- 賃貸住宅の入居審査で障がいを理由に断られた
- 公共交通機関で不適切な対応をされた
- 通所施設で障がいに関する配慮がなされなかった
学校・就労先での不適切対応
特別支援教育や就労支援の現場でも、「合理的配慮」がなされないことで問題が生じています。
- 集団行動が苦手な子に対して一方的に退学を勧める
- 障がいを理由に就職内定を取り消す
- 配慮を求めても「できない」と突っぱねられる
こうした対応は、法的に問題があるだけでなく、当事者や家族の尊厳を深く傷つけます。
解決策:障害者差別解消法と行政機関への相談
差別的な扱いに直面した場合、次のような対応が可能です:
- 自治体の相談窓口に連絡し、解決を促す
- 弁護士会の人権相談を活用
- 行政書士や福祉専門職の支援を受け、状況を記録・整理
特に、行政書士は生活の現場に近い実務家として、問題の整理や公的文書の作成を通じた対応支援を行います。
契約に関するトラブルとその予防
通信販売や訪問販売で不利な契約をしてしまった
「初回無料」と言われて申し込んだ健康食品が、気づけば毎月自動引き落としに。
「お得だから」と言われて購入した教材が、高額ローン付きで契約されていた。
このように、判断力の弱さに付け込んだ契約トラブルが多発しています。
支払いが困難になってトラブルに発展
- 障がいのある方が高額な通信契約を次々と結んでしまった
- 借金を重ねて生活が破綻した
- 家族が後で気づき、契約を解除しようとしたが拒否された
こうしたケースでは、契約の取消しや成年後見制度を活用した支援が必要です。
解決策:成年後見・取消権の活用、行政書士による契約チェック
契約トラブルを防ぐには、以下の方法が有効です:
- 契約内容のチェック:行政書士に事前に相談
- 後見制度の活用:契約を結ぶ際に支援者が同席
- 取消権の行使:契約時に判断能力が不十分だったことを証明し、契約を無効にする
行政書士は、契約書類のチェックや内容説明を通じて、本人や家族の「わからなかった」をサポートします。
行政書士ができること
行政書士は、次のような場面で力になります:
- 相続・遺言・信託の書類作成と法的アドバイス
- 成年後見・任意後見の申立書類の作成
- 契約トラブルの事実整理・文書化支援
- 差別や不当な対応への相談支援と行政対応の補助
「法律は難しいから…」と感じる方でも、行政書士は生活に寄り添いながらサポートできる存在です。
まとめ:法的備えで安心できる暮らしを
障がいに関する法的トラブルは、放っておくと生活そのものが脅かされる事態に発展しかねません。
しかし、制度を知り、正しく使うことで、トラブルは予防・解決することができます。
- 遺言や信託で「将来の備え」を
- 差別的扱いには「法的対応」を
- 契約に不安があるときは「事前相談」を
ひとりで抱え込まずに、行政書士などの専門家とともに、安心できる暮らしを整えていきましょう。
「こんなこと、相談してもいいのかな?」と思うことほど、早めの相談が大切です。
「行政書士田中慶事務所(開設申請準備中)ホームページはこちら」