障がいのある本人・家族が法的トラブルに直面したら|相談先と事前にできる備え

障がいのある本人やご家族が、相続、契約、障がいを理由とする対応などについて、「これはおかしいのではないか」と感じることがあります。

しかし、問題の内容によって相談先は異なります。

行政書士へ相談できる場合もあれば、弁護士、司法書士、消費生活センター、自治体などへ早めに相談した方がよい場合もあります。

この記事では、障がいのある本人やご家族が直面しやすい問題と、相談先を選ぶ際の考え方、問題が起きる前にできる備えを整理します。

目次

相続で本人の権利が守られているか不安なとき

障がいのある相続人について、家族から次のような意見が出ることがあります。

  • 本人には財産を管理できないのではないか
  • 多くの財産を渡しても使い切ってしまうのではないか
  • ほかの家族が代わりに管理した方がよいのではないか

しかし、障がいがあるという理由だけで、本人の相続分が当然に少なくなるわけではありません。

遺言書がない場合は、相続人同士で遺産分割について話し合います。本人の判断能力や意思確認が問題となる場合には、成年後見制度の利用が必要になることもあります。

すでに相続人間で対立が起きている場合や、本人の権利が侵害されている可能性がある場合は、行政書士ではなく、弁護士への相談が必要です。

相続トラブルを防ぐためにできる準備

親が元気なうちから将来の財産の残し方を考えることで、相続発生後の混乱を減らせる可能性があります。

主な選択肢には、次のようなものがあります。

公正証書遺言

誰に、どの財産を、どのように残すのかをあらかじめ定めておく方法です。

障がいのある子へ多めに財産を残したい場合や、財産の分け方について家族間の混乱を避けたい場合に検討できます。

任意後見

本人に十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が低下した場合に支援を任せる人と支援内容を決めておく制度です。

成年後見制度

すでに判断能力が十分でない場合に、家庭裁判所が成年後見人、保佐人または補助人を選任し、財産管理や契約などを支援する制度です。

どの方法が適しているかは、本人の判断能力、家族構成、財産、生活状況によって異なります。

障がいを理由とする対応に疑問を感じたとき

住宅、店舗、交通機関、学校、職場、福祉サービスなどで、障がいを理由に不利な対応を受けたと感じることがあります。

障害者差別解消法では、行政機関や事業者による不当な差別的取扱いを禁止しています。また、事業者による合理的配慮の提供は、2024年4月から義務となっています。

ただし、希望した対応が行われなかったことだけで、直ちに法律違反になるとは限りません。

合理的配慮の内容は、本人が置かれている状況、事業者の業務内容、実現可能性、費用や負担などを踏まえ、個別に検討されます。

まずは、次の点を記録しておきましょう。

  • いつ、どこで、誰から、どのような対応を受けたか
  • 本人がどのような配慮を求めたか
  • 相手からどのような説明があったか
  • メール、通知書、録音、写真などの資料があるか

相談先としては、自治体の障がい者差別に関する相談窓口、法務局の人権相談、弁護士会、法テラスなどが考えられます。

行政書士は、相談内容の整理や、行政機関へ提出する書類の作成などに対応できる場合があります。ただし、相手方との交渉や損害賠償請求など、紛争になっている案件は弁護士の業務です。

通信販売や訪問販売などの契約トラブル

障がいのある方が、通信販売、訪問販売、電話勧誘、携帯電話、教材、健康食品などの契約をめぐってトラブルになることがあります。

例えば、次のようなケースです。

  • 無料だと思って申し込んだら定期購入になっていた
  • 必要性を十分に理解しないまま高額な商品を購入した
  • 複数の契約を結び、支払いが難しくなった
  • 解約を申し出たが応じてもらえなかった

契約を取り消せるかどうかは、契約の方法、勧誘の内容、本人の年齢や判断能力、契約時の状況などによって異なります。

「本人に障がいがある」「契約内容を十分に理解していなかった」という事情だけで、すべての契約が当然に無効になるわけではありません。

契約や解約について困ったときは、まず消費者ホットライン「188」へ相談してください。最寄りの消費生活センターなどにつながります。

すでに高額な被害が発生している場合、返金を求めたい場合、事業者との間で争いになっている場合は、弁護士や法テラスへの相談も検討します。

成年後見制度を使えば、すべての契約を防げるわけではない

成年後見制度は、本人の判断能力を補い、財産や権利を守るための制度です。

ただし、制度を利用すれば、本人が行うすべての契約を家族や後見人が自由に止められるわけではありません。

後見、保佐、補助のどの類型になるかによって、本人ができることや、後見人等に認められる権限が異なります。

また、成年後見制度の開始は家庭裁判所への申立てによって行われます。申立書の作成や裁判所での手続きについて専門家へ依頼する場合は、弁護士または司法書士へ相談します。

行政書士に相談できること

行政書士は、問題が起きた後に相手方と争うことではなく、将来のトラブルを防ぐための書類作成や状況整理を主に支援します。

行政書士田中慶事務所では、次のようなご相談に対応しています。

  • 本人や家族が抱えている不安の整理
  • 将来の生活や財産管理についての優先順位の整理
  • 公正証書遺言の原案作成と公証役場との調整
  • 任意後見契約に関する書類作成支援
  • 障害福祉制度や行政手続きの整理
  • 相談内容に応じた他の専門家や相談窓口の案内

一方、次のような問題は、弁護士、司法書士、税理士、消費生活センターなど、該当する専門家や機関へつなぐ必要があります。

  • 相続人同士ですでに争いがある
  • 相手方との交渉や損害賠償請求が必要
  • 契約の取消しや返金を求めたい
  • 成年後見制度の申立書を作成してほしい
  • 相続登記や不動産登記が必要
  • 相続税や贈与税の判断が必要

まとめ|問題の整理と相談先選びから始める

相続、障がいを理由とする対応、消費者契約などの問題は、すべてを一つの専門家だけで解決できるとは限りません。

大切なのは、現在起きていることを整理し、問題の内容に合った相談先へつなぐことです。

すでに相手方との争いがある場合は、弁護士や消費生活センターなどへ早めに相談してください。

まだ問題は起きていないものの、本人の将来や財産管理に不安がある場合は、公正証書遺言や任意後見など、事前にできる準備を検討できます。

相続や将来の財産管理は、問題が起きてからでは選べる方法が限られることがあります。

本人とご家族の状況を整理し、公正証書遺言や任意後見など、今から準備できることを一緒に確認します。

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