就労継続支援B型には、工賃向上に取り組む体制を評価する「目標工賃達成指導員配置加算」と、実際に工賃目標を達成した結果を評価する「目標工賃達成加算」があります。
名称が似ているため混同されやすいのですが、両者の役割は異なります。
目標工賃達成加算を算定するには、まず目標工賃達成指導員配置加算の対象となる体制を整えていることが前提です。
この記事では、2026年7月時点の制度をもとに、2つの加算の違いと、B型事業所が確認すべき実務上のポイントを整理します。
2つの加算の違い
大きく分けると、次のような関係です。
- 目標工賃達成指導員配置加算:工賃向上に取り組む人員体制を評価
- 目標工賃達成加算:工賃向上計画に掲げた目標を達成した結果を評価
目標工賃達成加算だけを単独で算定することはできません。
まず、目標工賃達成指導員を配置し、必要な人員体制や工賃向上計画を整えたうえで、設定した工賃目標を達成するという順序になります。
目標工賃達成指導員配置加算の算定要件
目標工賃達成指導員配置加算は、就労継続支援B型サービス費(Ⅰ)または(Ⅳ)を算定する事業所が対象です。
主な要件は次のとおりです。
- 目標工賃達成指導員を常勤換算で1人以上配置する
- 職業指導員と生活支援員の合計を、利用者数に対して6対1以上配置する
- 目標工賃達成指導員、職業指導員、生活支援員の合計を、利用者数に対して5対1以上配置する
- 都道府県の工賃向上計画に基づき、事業所として工賃向上計画を作成する
- 指定権者へ必要な体制届を提出する
加算単位は定員規模により異なり、1日につき36単位から45単位です。
人員配置は「名前がある」だけでは足りない
実務上は、目標工賃達成指導員として職員名を届け出るだけでは足りません。
勤務形態一覧表、雇用契約、出勤記録、業務分担、常勤換算の計算などから、必要な配置が実際に確保されていることを説明できる状態にしておく必要があります。
他の職種を兼務している職員を配置する場合は、同じ勤務時間を複数の職種へ重複して算入していないかにも注意が必要です。
目標工賃達成加算の算定要件
目標工賃達成加算は、目標工賃達成指導員配置加算の対象となる事業所が、工賃向上計画に掲げた工賃目標を達成した場合に算定できます。
加算単位は、利用者1人につき1日10単位です。
工賃目標は、単に事業所が自由に決めた金額を達成すればよいわけではありません。
制度上、原則として次の金額以上に設定する必要があります。
前年度の自事業所の平均工賃月額
+
前々年度と前々々年度の全国平均工賃月額の差額
全国平均工賃が下がっている場合は、少なくとも前年度の自事業所の平均工賃月額以上の目標を設定します。
計画を後から作ることはできない
目標工賃達成加算は、実績が上がった後で工賃向上計画を作成すれば算定できる加算ではありません。
対象年度に向けた工賃向上計画を事前に作成し、その計画に掲げた目標に基づいて取り組んでいたことが必要です。
そのため、年度末に工賃実績だけを確認するのではなく、年度当初から次の資料を整理しておくことが重要です。
- 事業所工賃向上計画
- 目標工賃の設定根拠
- 前年度の平均工賃月額
- 生産活動や販路開拓の取組記録
- 工賃実績の集計資料
- 体制届や加算届の控え
大阪府では計画と工賃実績の公表にも注意
大阪府では、令和6年度から令和8年度までの事業所工賃向上計画を作成し、府へ提出することが求められています。
また、事業所工賃向上計画と工賃実績について、事業所ホームページやWAM NETなどで公表するよう案内されています。
加算届を提出しただけで手続が完了したと考えず、計画の提出先、公表方法、指定権者への届出をそれぞれ確認しておく必要があります。
算定前に確認したいチェックポイント
次の項目に一つでも不明点がある場合は、届出前に確認しておきましょう。
- サービス費(Ⅰ)または(Ⅳ)を算定しているか
- 目標工賃達成指導員を常勤換算1人以上確保しているか
- 職業指導員と生活支援員が6対1以上になっているか
- 3職種の合計が5対1以上になっているか
- 工賃向上計画を対象年度前から作成しているか
- 工賃目標が制度上必要な水準以上になっているか
- 前年度の工賃実績を正しく計算しているか
- 体制届と加算届を期限までに提出しているか
- 大阪府への計画提出と公表を行っているか
まとめ
目標工賃達成指導員配置加算は、工賃向上に取り組むための体制を評価する加算です。
目標工賃達成加算は、その体制のもとで工賃向上計画に掲げた目標を達成した結果を評価する加算です。
重要なのは、年度末に工賃額だけを確認するのではなく、年度当初から人員配置、計画、届出、実績資料を一つの流れとして管理することです。
人員配置や常勤換算、工賃目標の計算、提出書類に不安がある場合は、算定を開始する前に資料を整理し、指定権者の取扱いを確認してください。
