2025年10月からスタートする新制度「就労選択支援」。利用者やそのご家族、支援者にとって、制度内容や利用の流れなど気になるポイントをQ&A形式で整理しました。
Q1.【制度とは?】就労選択支援ってどんな制度?
A1.
就労選択支援とは、就労を希望する障がい者に対し、アセスメント(能力や適性の評価・整理)と情報提供・助言、多機関連携のケース会議などを通じて、最適な就労先(一般就労・A型・B型・移行支援など)を選ぶための支援制度です 。
2025年10月の障害者総合支援法改正で創設されます 。
Q2.【従来との違い】B型・A型・移行支援とどう違うの?
A2.
従来の福祉就労サービスとの比較は以下のとおりです:
サービス | 雇用契約 | 特徴 |
---|---|---|
B型事業所 | なし | 軽作業・工賃の支払い |
A型事業所 | あり(事業所と) | 雇用契約・安定収入 |
移行支援(就労移行支援) | なし | 一般就労への準備・実習中心 |
就労選択支援(新設) | なし | アセスメント・選択支援・ケース会議が中心 |
就労選択支援は「仕事をしながら稼ぐ場」ではなく、「どこでどう働くかを選ぶための準備」の場です。
Q3.【対象者】誰が利用できるの?
A3.
対象となる主な方は以下のとおりです:
- 一般就労を目指しているが、準備が必要な方
- B型・A型など就労系サービスを希望または利用中の方
- 障害福祉サービス利用者(おおむね18歳以上)
B型事業所の利用希望の場合は、基本就労選択支援事業所を利用することになりますが、一部例外により「就労選択支援なし」でB型利用可能なケースも存在します(例:近隣に提供事業所がないなど)
Q4.【利用の流れ】どうやって始める?
A4.
利用のステップは以下のとおりです:
- 支援者や相談機関への相談
- アセスメント実施(1か月程度)+多機関連携・ケース会議
- サービス等利用計画の作成および市区町村への申請・受給者証発行
- 契約・利用開始(選んだ支援につなぐ)
厚労省は、令和7年10月スタートに向けてマニュアルや指定通知を整備中です 。
Q5.【期間は?】どれくらい利用できる?
A5.
就労選択支援の利用は、制度上は原則1か月程度の短期アセスメント期間を想定しています 。その結果をもとに、本人の進むべき進路を迅速に決定することが目的です。
Q6.【料金・工賃】お金はどうなる?
A6.
就労選択支援自体で工賃(作業報酬)は支給されません。
ただし、アセスメントとしての実習やハローワーク連携での短期実習に謝礼や日当が出る場合もあります 。
Q7.【事業所は?】どこが提供するの?
A7.
B型・A型・就労移行支援などの実績がある事業所が新たに指定を取り、就労選択支援事業所として開設します。2025年6月以降、自治体HPなどで指定リストが公表される見込みです。
例外として実績がない事業所でも、障害者就業・生活支援センターなどが実施主体となるケースがあります 。
Q8.【メリットと注意点】利用者にとって得かどうか?
A8.
メリット:
- 本人の適性に合った選択ができる(アセスメント+相談)
- 多機関連携による情報共有で支援の質が高まる
- 中立的な立場での助言・提案が可能(本人主体の選択)
注意点:
- 工賃なし=収入を目的にするとギャップあり
- 中立支援のため、本人の積極的な意思決定が求められる
- 事業所ごとに雰囲気や得意分野が異なるため、見学・相性確認が大切
Q9.【運営体制】支援者(就労選択支援員)はどう育成される?
A9.
厚生労働省は「就労選択支援員」の養成研修を2025年6月から実施しています(オンデマンド講義6時間・演習5時間)。
支援者の自己決定支援・アセスメント技法についての質の担保を意識している点が特徴的です 。
✍️まとめ
就労選択支援は、利用者本人が「自分に合った未来」を選べるよう専門的支援を行う、画期的な仕組みです。2025年10月の開始に向け、準備は始まっています。利用や開設を検討される方は、自治体や支援機関の情報をこまめにチェックし、早めの相談・体制づくりがおすすめです。
🔗公式リンク集
【国】厚生労働省(厚労省)
- 就労選択支援について(特設ページ/通知・実施マニュアル・養成研修案内掲載)
- PDF:「就労選択支援実施マニュアル」
【府】大阪府
- 就労選択支援実施マニュアルの案内(事務連絡、マニュアル本文ダウンロード可)
- 就労選択支援事業に向けた取組みについて(府内事業者向けの取り組み内容)
【市】大阪市
- 就労選択支援について(制度概要、指定申請基準など)
- 大阪市地域就労支援センター(相談窓口・拠点の案内)
【区等】大阪府・市内各自治体
- 泉佐野市:実施通知・マニュアル案内
- 岸和田市:就労選択支援実施マニュアル案内(広域自治体向け案内)
✅補助情報
- JEED大阪障害者職業センター(就労支援相談・評価機関)
- 就労選択支援員研修の受講要件の一つとなっている基礎的研修の受講について記載があります。
- 就労選択支援員養成研修(厚労省指定の研修制度)
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