就労選択支援事業所では、就労選択支援員の配置が必要です。
就労選択支援員になるためには、原則として、厚生労働省が実施する「就労選択支援員養成研修」を修了しなければなりません。
ただし、研修を申し込める人には一定の要件があります。また、2028年3月31日までは、就労選択支援員の配置要件と研修の受講要件について経過措置が設けられています。
この記事では、2026年度の就労選択支援員養成研修について、受講要件、研修内容、申込から修了までの流れ、経過措置、事業所が確認したい実務上のポイントを解説します。
就労選択支援員養成研修とは
就労選択支援員養成研修は、就労選択支援に従事する職員が、就労アセスメントやニーズ把握、関係機関との連携などに必要な知識・技術を身につけるための研修です。
就労選択支援では、本人の希望や適性、必要な配慮などを整理し、本人が自分に合った働き方や就労系障害福祉サービスを選べるよう支援します。
そのため、就労選択支援員には、単に作業能力を評価するだけではなく、本人の希望を確認し、アセスメント結果を整理し、関係機関と共有する力が求められます。
2026年度の研修は、厚生労働省委託事業として実施されています。受講料は無料です。
2026年度の受講要件
2026年度の就労選択支援員養成研修を受講するには、原則として、次のいずれかに該当する必要があります。
- 障害者の就労支援分野における勤務実績が通算5年以上ある
- 障害者の就労支援に関する基礎的研修を修了している
勤務実績については、障がいのある人の就労支援を直接行う業務や、それに準ずる業務に従事した期間が対象になります。
単に障害福祉事業所で働いていた期間が5年以上あれば、必ず要件を満たすとは限りません。
担当していた業務内容や実務経験が受講要件に該当するか分からない場合は、所属事業所の指定権者や、受講した研修の実施機関へ確認する必要があります。
基礎的研修とは
ここでいう基礎的研修は、障害者の就労支援に関する基本的な知識や支援技術を学ぶ研修です。
就労支援の初学者を対象とし、福祉、教育、医療などの分野で障がい者の就労支援に携わる人が受講します。
就労支援分野で5年以上の実務経験がない人は、原則として、先に基礎的研修を修了してから就労選択支援員養成研修を受講することになります。
2028年3月31日までの受講要件の経過措置
2028年3月31日までは、基礎的研修と同等以上とされる一定の研修を修了している人も、就労選択支援員養成研修を受講できます。
対象となり得る研修には、次のようなものがあります。
- 就業支援基礎研修(就労支援員対応型)
- 訪問型職場適応援助者養成研修
- サービス管理責任者研修専門コース別研修(就労支援コース)
- 相談支援従事者研修専門コース別研修(就労支援コース)
ただし、研修名が似ているだけで、必ず受講要件を満たすとは限りません。
修了した研修が対象になるかどうかは、厚生労働省の通知や修了証を確認したうえで、必要に応じて自治体へ照会することが重要です。
就労選択支援員の配置要件にも経過措置がある
就労選択支援員は、原則として、就労選択支援員養成研修を修了した人でなければなりません。
一方、2028年3月31日までは、経過措置として、基礎的研修または基礎的研修と同等以上の研修を修了している人を、就労選択支援員とみなす取扱いがあります。
つまり、経過措置の対象者であれば、就労選択支援員養成研修をまだ修了していなくても、一定期間は就労選択支援員として配置できる場合があります。
ただし、この取扱いは恒久的なものではありません。
経過措置終了後も就労選択支援員として配置するには、原則として、2028年3月31日までに養成研修を修了しておく必要があります。
2026年度研修の内容
2026年度の就労選択支援員養成研修は、オンデマンド講義と対面演習を組み合わせて実施されます。
研修全体の標準的なカリキュラムは、次の内容で構成されています。
- 就労選択支援の目的と役割
- 就労アセスメントの目的と手法
- 関係機関との連携
- ニーズアセスメントの手法
- アセスメントシートの具体的な活用
- アセスメント情報の整理と活用
告示上の標準時間数は、合計11時間です。
2026年度の実施では、まず約6時間のオンデマンド講義を受講し、その後、対面演習へ参加する流れとなっています。
申込から修了までの流れ
2026年度研修は、次の流れで進みます。
1.研修へ申し込む
専用の申込フォームから、希望する開催回へ申し込みます。
申し込めば必ず受講できるわけではなく、申込期間終了後に受講可否が通知されます。
受講不可となった場合は、別の開催回へ改めて申し込む必要があります。
2.受講可否の通知を受ける
受講可否は、申込期間終了日からおおむね6営業日以内にメールで通知されます。
メールを見落とすと、その後のオンデマンド講義や対面演習へ進めないため、申込時に登録したメールアドレスを確認しておく必要があります。
3.オンデマンド講義を受講する
受講可となった人は、指定された期間内にオンデマンド講義を視聴します。
講義には確認テストがあり、すべての確認テストで満点を取ることが修了要件です。
視聴や確認テストが完了していない場合、対面演習には参加できません。
4.対面演習へ参加する
オンデマンド講義を修了した後、指定された会場で対面演習を受講します。
対面演習では、遅刻、早退、途中離席は認められていません。
修了要件を満たせなかった場合は、再度、申込みからやり直す必要があります。
5.受講アンケートへ回答する
対面演習後、2週間以内に受講システムからアンケートへ回答します。
アンケート回答まで含めて修了手続きとなるため、演習へ参加しただけで完了とはなりません。
6.修了証をダウンロードする
動画視聴、対面演習、アンケート回答の状況が確認された後、修了証が発行されます。
修了証にはダウンロードできる期間が設けられているため、発行通知を受けたら早めに保存することが大切です。
2026年度の開催状況
2026年度研修は複数の地域・日程で実施されています。
2026年7月27日時点では、東京開催の一部日程が終了し、大阪開催の申込みも順次行われています。今後の申込開始日や締切は、研修専用サイトで随時更新されます。
開催日程は変更される可能性があるため、過去の記事や案内チラシだけで判断せず、申込み時点の公式情報を確認してください。
2025年度に修了した人は再受講不要
2025年度に就労選択支援員養成研修を修了している人は、2026年度に同じ研修を受け直す必要はありません。
修了証は、指定申請や人員配置の確認で提出を求められる可能性があります。
法人内で修了者を把握し、修了証のデータと原本を適切に保管しておくことが重要です。
就労選択支援事業所が確認したいポイント
開設予定日から逆算して受講する
就労選択支援事業所の指定を申請するときは、必要な職員を開設予定日までに確保しなければなりません。
申込み、オンデマンド講義、対面演習、アンケート、修了証の発行までには一定の期間がかかります。
経過措置の対象者を配置できる場合でも、経過措置終了までに養成研修を修了できるよう、早めに受講計画を立てる必要があります。
一人だけに依存しない
就労選択支援員の研修修了者が一人しかいない場合、その職員が退職、休職、異動すると、人員基準を満たせなくなる可能性があります。
指定申請時に配置できれば終わりではなく、継続的な運営を考え、複数人の受講を検討することが望まれます。
実務経験を記録で説明できるようにする
5年以上の実務経験を受講要件として申し込む場合は、勤務期間だけでなく、どのような就労支援業務へ従事していたかを説明できるようにしておく必要があります。
在職証明書や実務経験証明書の記載内容について、過去の勤務先へ確認が必要になる場合もあります。
修了証を法人として管理する
修了証を職員本人だけに保管させると、退職時や指定更新時に確認できなくなることがあります。
本人の同意を得たうえで、法人でも写しやデータを管理し、誰がどの研修をいつ修了したかを一覧化しておくと安心です。
就労継続支援B型事業所も確認しておきたい理由
就労選択支援事業所を直接開設しないB型事業所であっても、この研修制度を理解しておく必要があります。
2025年10月から、新たにB型を利用する人について、一定の場合を除き、就労選択支援によるアセスメントが利用要件となっています。
そのため、B型事業所は、地域の就労選択支援事業所との連携や、利用希望者の受入れまでの流れを整理する必要があります。
将来的に就労選択支援の指定を受ける可能性がある法人は、職員の実務経験や研修修了状況を早い段階から確認しておくことが重要です。
まとめ
就労選択支援員養成研修は、就労選択支援員として必要な知識と技術を身につけるための研修です。
2026年度の主な受講要件は、次のいずれかです。
- 就労支援分野の実務経験が通算5年以上ある
- 障害者の就労支援に関する基礎的研修を修了している
2028年3月31日までは、一定の研修修了者を対象とした受講要件と配置要件の経過措置があります。
しかし、経過措置の対象者であっても、2028年4月以降も就労選択支援員として配置するためには、原則として養成研修を修了しておく必要があります。
研修は、申込み後に受講可否の選定があり、オンデマンド講義、対面演習、アンケート回答をすべて終えて、初めて修了証が発行されます。
就労選択支援事業所の開設や運営を検討する法人は、開設直前になって慌てることがないよう、職員の実務経験と研修修了状況を確認し、早めに受講計画を立てることが大切です。
