就労継続支援には、A型とB型があります。
名前が似ているため、
「A型とB型は何が違うの?」
「B型からA型へ進むものなの?」
「どちらの方が自分に合っているの?」
と迷う方もいると思います。
A型とB型の大きな違いは、事業所と利用者が雇用契約を結ぶかどうかです。
ただし、A型がB型より上の段階にあるわけではありません。どちらを利用するかは、本人の希望や体調、働き方、必要な配慮などを踏まえて考えることになります。
この記事では、A型とB型の制度上の違いと、事業所を選ぶ際に確認したいポイントを整理します。
A型とB型の大きな違いは雇用契約の有無
厚生労働省は、就労継続支援A型とB型を次のように位置づけています。
- A型:一般企業等で働くことが難しい方のうち、雇用契約に基づいて継続的に働くことが可能な方に、就労の機会や必要な支援を提供するサービス
- B型:一般企業等で働くことが難しく、雇用契約に基づいて働くことも難しい方に、就労や生産活動の機会、必要な支援を提供するサービス
A型では、原則として事業所と利用者が雇用契約を結びます。
一方、B型では雇用契約を結びません。
この違いにより、働き方や支払われるお金の性質も異なります。
A型とB型の違いを比較
| 比較項目 | A型 | B型 |
|---|---|---|
| 雇用契約 | 原則として結ぶ | 結ばない |
| 支払われるお金 | 賃金 | 工賃 |
| 最低賃金 | 原則として適用される | 適用されない |
| 労働関係法令 | 雇用契約の範囲で適用される | 雇用契約がないため、労働者としての適用ではない |
| 主な対象 | 雇用契約に基づいて継続的に働くことが可能な方 | 雇用契約に基づいて働くことが難しい方 |
| 主な役割 | 雇用による就労機会と必要な支援の提供 | 生産活動等の機会と必要な支援の提供 |
表だけを見ると、A型とB型は明確に分かれているように見えます。
しかし、実際の利用を考える際は、制度上の区分だけでなく、各事業所の仕事内容や支援体制も確認する必要があります。
A型では雇用契約を結び、賃金が支払われる
A型では、原則として事業所と利用者が雇用契約を結びます。
そのため、利用者は障害福祉サービスの利用者であると同時に、事業所に雇用される労働者でもあります。
雇用契約を結んで働く場合は、最低賃金法をはじめとする労働関係法令が適用されます。
ただし、労働時間、勤務日数、仕事内容、賃金などは事業所ごとに異なります。
「A型なら必ず週何時間働く」と全国一律に決められているわけではありません。求人票や雇用条件通知書などを確認し、自分が安定して続けられる条件かどうかを考えることが大切です。
また、雇用保険や社会保険の加入についても、A型を利用すれば全員が一律に加入するわけではありません。それぞれの加入要件を満たすかどうかによって決まります。
B型では雇用契約を結ばず、工賃が支払われる
B型では、事業所と利用者との間に雇用契約はありません。
生産活動などで得た収入から、必要経費などを除いて利用者に支払われるお金を、一般に「工賃」といいます。
工賃は賃金とは性質が異なるため、最低賃金法は適用されません。
実際の工賃額や計算方法は、事業所の仕事内容、売上、利用日数、作業時間、工賃規程などによって異なります。
B型を選ぶ際には、工賃額だけでなく、
- どのような作業を行うのか
- 体調が不安定なときにどう対応してもらえるか
- 利用日数や利用時間をどのように決めるのか
- 個別支援計画に基づいてどのような支援を受けられるか
といった点も確認した方がよいでしょう。
A型とB型に上下関係はない
A型とB型は、しばしば、
B型から始めて、慣れたらA型へ進み、その後は一般就労を目指す
という順番で説明されることがあります。
実際に、そのような経過をたどる方もいます。
しかし、すべての人が同じ順番で進むわけではありません。
B型を長く利用しながら、自分に合った活動や生活の安定を大切にする方もいます。A型で働き続けることを希望する方もいます。
反対に、A型からB型へ利用先を変更する場合もあります。
体調、生活環境、年齢、仕事の内容、必要な配慮などが変われば、その時点で適した働き方も変わる可能性があるからです。
A型とB型は、優劣や上下関係で選ぶものではありません。
今の自分にどのような働き方が合っているかを考えるための、異なる制度です。
「何時間働けるか」だけでは決められない
A型とB型の違いを、勤務時間だけで判断することはできません。
たとえば、
- 長い時間働けるからA型
- 短い時間しか働けないからB型
- 週20時間以上ならA型
- 週20時間未満ならB型
といった全国一律の振り分け基準があるわけではありません。
利用を考える際には、勤務時間だけでなく、
- 決められた勤務日に継続して通えるか
- 雇用契約上の役割を担えるか
- どのような配慮があれば働き続けられるか
- 希望する仕事内容があるか
- 体調が崩れた場合にどのような支援が必要か
- 収入と生活のバランスをどう考えるか
などを整理する必要があります。
「何時間働けるか」は重要な要素の一つですが、それだけでA型・B型を決めるものではありません。
事業所によって仕事内容と支援内容は異なる
同じA型事業所でも、仕事内容や勤務条件は大きく異なります。
同じB型事業所でも、作業内容、工賃、支援方針、利用時間などは事業所ごとに違います。
たとえば、次のような仕事があります。
- パソコン入力
- 清掃
- 軽作業
- 飲食物の製造・販売
- 農作業
- 印刷・デザイン
- 動画編集
- 施設外での作業
仕事内容だけでなく、職場の雰囲気や職員の支援方法も、自分に合うかどうかを左右します。
制度上はA型が適しているように見えても、その事業所の仕事内容が本人の希望や特性に合わないこともあります。
反対に、B型でも、本人が希望する作業や得意分野を生かせる事業所が見つかることがあります。
見学や体験で確認したいこと
見学や体験利用が可能な場合は、パンフレットやウェブサイトだけでは分からない部分を確認できます。
確認したい主なポイントは次のとおりです。
仕事内容
実際にどのような作業を行うのか、作業の変更や選択が可能かを確認します。
利用時間・勤務時間
一日の流れ、休憩時間、利用日数、勤務日数などを確認します。
必要な配慮
体調不良時の連絡方法、通院への配慮、休憩場所、指示の伝え方などを確認します。
支援内容
困ったときに誰へ相談できるのか、面談の頻度、個別支援計画に基づく支援内容などを確認します。
賃金・工賃
A型では賃金額や雇用条件、B型では工賃の計算方法や支払時期を確認します。
一つの項目だけで判断せず、仕事内容と支援内容の両方を見ることが大切です。
利用手続きは自治体や相談窓口で確認する
A型・B型はいずれも障害福祉サービスです。
利用するには、市区町村による支給決定などの手続きが必要になります。
相談先としては、主に次のような機関があります。
- 市区町村の障害福祉担当窓口
- 指定特定相談支援事業所
- 障害者就業・生活支援センター
- ハローワーク
- 利用を検討しているA型・B型事業所
利用手続きや必要書類は、本人の状況や自治体の運用によって異なる場合があります。
また、2025年10月からは、就労継続支援B型の新規利用を希望する一部の方について、原則として就労選択支援によるアセスメントを経る仕組みが始まっています。ただし、就労経験がある方など、就労選択支援を経ずにB型を利用できる場合もあります。
自分が対象となるか分からない場合は、市区町村の窓口や相談支援事業所へ確認してください。
まとめ
A型とB型の最も大きな違いは、雇用契約の有無です。
A型では、原則として雇用契約を結び、賃金が支払われます。
B型では雇用契約を結ばず、生産活動などに応じて工賃が支払われます。
ただし、A型とB型に上下関係があるわけではありません。
大切なのは、
- 本人が希望する働き方
- 体調や生活状況
- 継続できる勤務・利用条件
- 必要な配慮
- 事業所の仕事内容
- 支援体制
を踏まえて考えることです。
制度上の違いだけで決めるのではなく、実際の事業所の仕事内容や支援内容を確認しながら、自分に合った選択肢を探していきましょう。
