A型事業所で不採用になるのはなぜ?採用選考と次に確認したいこと

就労継続支援A型事業所へ応募したものの、不採用になってしまうことがあります。

A型は障害福祉サービスなので、

「利用を希望すれば受け入れてもらえるのでは?」
「障がいがあることを理解してくれる場所なのに、なぜ不採用になるの?」
「不採用になったということは、A型で働けないということ?」

と戸惑う方もいると思います。

就労継続支援A型は、障害福祉サービスであると同時に、原則として事業所と利用者が雇用契約を結ぶ仕組みです。

そのため、福祉サービスの利用手続きだけでなく、雇用契約を結ぶための採用判断も行われます。

ただし、不採用になったからといって、本人に働く能力がないと決まるわけではありません。

この記事では、A型事業所で不採用になる場合に考えられる要素と、その後に確認したいことを整理します。

目次

A型事業所では雇用契約を結ぶ

厚生労働省は、就労継続支援A型を、一般企業等で働くことが難しい方のうち、雇用契約に基づいて継続的に働くことが可能な方に、就労の機会と必要な支援を提供するサービスと位置づけています。

A型事業所は、原則として利用者と雇用契約を結ばなければなりません。

また、雇用契約を前提とするA型利用者を募集する場合には、ハローワークへ求人を申し込むこともできます。

このように、A型の利用開始には、障害福祉サービスとしての手続きと、雇用契約を結ぶための採用判断という二つの側面があります。

不採用の理由は本人の能力不足だけではない

A型事業所の採用結果は、本人の能力や意欲だけで決まるものではありません。

たとえば、次のような事情が影響することがあります。

  • 求人で予定していた採用人数
  • 他の応募者との比較
  • 事業所が提供している仕事内容
  • 勤務日数や勤務時間
  • 必要な配慮と事業所の支援体制
  • 現在の利用定員や職員配置
  • 本人が希望する働き方との違い
  • 求人条件との適合

これらは、どれか一つだけで判断されるとは限りません。

また、同じ人が別のA型事業所へ応募した場合には、仕事内容や支援体制との組み合わせが変わり、採用結果も異なる可能性があります。

不採用という結果だけから、「自分はA型に向いていない」と決めつける必要はありません。

求人条件と希望が合わなかった場合

A型事業所の求人には、仕事内容、勤務時間、勤務日数、賃金、勤務地などの条件が記載されています。

本人の希望と求人条件に大きな違いがある場合、雇用契約の締結に至らないことがあります。

たとえば、

  • 希望する勤務日数と求人条件が異なる
  • 希望する仕事内容と実際の業務が異なる
  • 通勤方法や通勤時間に継続上の課題がある
  • 本人が必要とする配慮を、事業所の現在の体制では提供できない

といった場合です。

これは、本人が悪い、事業所が悪いという話ではありません。

働き方と職場の条件が合わなかった、というミスマッチの可能性があります。

仕事内容との組み合わせが合わなかった場合

A型事業所には、それぞれ異なる仕事があります。

たとえば、

  • パソコン入力
  • 清掃
  • 調理補助
  • 軽作業
  • 農作業
  • 印刷・デザイン
  • 動画編集
  • 施設外での作業

などです。

同じ障がい名や同じ手帳等級であっても、得意なこと、苦手なこと、疲れやすさ、集中できる時間などは人によって異なります。

そのため、事業所が提供する仕事と本人の特性や希望が合わないと判断されることがあります。

ただし、ある仕事に合わなかったことと、働くこと自体ができないことは同じではありません。

別の仕事内容や支援方法であれば、本人の力を発揮できる可能性があります。

必要な配慮と事業所の体制が合わなかった場合

障がいのある方が働く際には、一人ひとり異なる配慮が必要になることがあります。

たとえば、

  • 口頭だけでなく書面でも指示してほしい
  • 定期的に休憩を取りたい
  • 静かな場所で作業したい
  • 通院日の勤務を調整したい
  • 体調が悪化した際の連絡方法を決めたい
  • 複数の作業を同時に指示しないでほしい

といった配慮です。

必要な配慮を伝えること自体が、不採用の理由になるとは限りません。

むしろ、安心して働き続けるためには、自分に必要な配慮を整理して伝えることが大切です。

一方で、事業所の設備、仕事内容、職員体制などによっては、希望する配慮を現時点では提供できない場合があります。

その場合も、本人の希望が過剰だと一律に決めつけることはできません。

本人に必要な配慮と、事業所が提供できる環境が合わなかった可能性があります。

採用枠や募集状況が影響する場合

A型事業所には利用定員があります。

また、事業所の仕事量や経営状況、職員体制などに応じて、常に同じ人数を採用できるとは限りません。

求人が出ていても、

  • 採用予定人数に達した
  • 応募者が多かった
  • 事業所の仕事量が変化した
  • 募集時点から受入体制が変わった

といった事情が採用結果に影響する可能性があります。

この場合も、不採用が本人の能力不足を意味するとは限りません。

面接でうまく説明できなかった場合

面接では緊張して、自分の希望や必要な配慮を十分に伝えられないことがあります。

質問の意味をすぐに理解できなかったり、困っていることをうまく言葉にできなかったりする方もいます。

その場合は、次の応募に向けて、事前に伝えたい内容を整理しておく方法があります。

たとえば、

  • 希望する仕事内容
  • 働ける曜日や時間
  • これまで経験した仕事や作業
  • 得意な作業
  • 苦手な作業
  • 体調が崩れやすい状況
  • 必要な配慮
  • 困ったときの相談方法

などです。

これは「採用される答え」を準備するという意味ではありません。

本人と事業所の双方が、無理なく働き続けられるかを判断するために、必要な情報を整理するものです。

できないことを隠したり、実際よりも長く働けると答えたりすると、採用後に本人が苦しくなる可能性があります。

面接では、良く見せることよりも、継続して働くために必要な情報を伝えることが大切です。

不採用理由を教えてもらえない場合もある

不採用になったとき、「理由を知りたい」と思うのは自然なことです。

ただし、事業所が不採用理由のすべてを具体的に説明するとは限りません。

理由を問い合わせることはできますが、回答を得られない場合や、一般的な説明にとどまる場合もあります。

理由が分からないときは、不採用の原因を一つに決めつけず、

  • 求人条件は自分の希望と合っていたか
  • 仕事内容を具体的に理解していたか
  • 必要な配慮を説明できたか
  • 通勤や勤務時間に無理がなかったか
  • 他に自分に合いそうな仕事内容はないか

を整理してみるとよいでしょう。

不採用後に確認したいこと

求人票をもう一度確認する

仕事内容、勤務時間、勤務日数、勤務地などが、自分の希望や体調に合っていたかを確認します。

支援者と振り返る

相談支援専門員、障害者就業・生活支援センター、ハローワークなどの支援者と一緒に、応募から面接までを振り返る方法があります。

本人だけでは気づかなかった点を整理できる場合があります。

希望条件に優先順位をつける

仕事内容、勤務時間、通勤距離、賃金、必要な配慮など、すべての希望を完全に満たす求人が見つかるとは限りません。

譲れない条件と、調整可能な条件を整理しておくと、次の事業所を探しやすくなります。

A型以外も含めて考える

不採用になった直後に、必ずA型以外へ変更しなければならないわけではありません。

一方で、本人の希望や現在の状況によっては、

  • 別のA型事業所
  • 就労継続支援B型
  • 就労移行支援
  • 一般企業の障害者雇用
  • 職業訓練

などを含めて検討する場合もあります。

どの選択肢が適切かは、不採用という結果だけでは決まりません。

本人がどのように働きたいか、どのような支援が必要かを踏まえて考えます。

相談できる主な窓口

A型事業所への応募や、その後の働き方について相談したい場合は、次のような窓口があります。

  • ハローワーク
  • 市区町村の障害福祉担当窓口
  • 指定特定相談支援事業所
  • 障害者就業・生活支援センター
  • 地域障害者職業センター
  • 現在利用している福祉事業所
  • 医療機関の相談員

相談する際は、不採用になった事実だけでなく、

  • どのような仕事を希望しているか
  • どれくらいの時間なら続けられそうか
  • どのような配慮が必要か
  • 通勤できる範囲
  • 生活面で困っていること

も伝えると、次の選択肢を整理しやすくなります。

まとめ

就労継続支援A型は、障害福祉サービスであると同時に、原則として雇用契約を結んで働く仕組みです。

そのため、応募しても必ず採用されるわけではありません。

ただし、不採用の理由は、本人の能力や努力不足だけとは限りません。

  • 求人条件
  • 仕事内容
  • 採用枠
  • 必要な配慮
  • 事業所の支援体制
  • 本人が希望する働き方

など、複数の事情が影響します。

不採用になったときは、自分を責めるのではなく、今回の求人と自分の希望のどこが合っていたのか、どこに違いがあったのかを整理することが大切です。

一つの事業所の採用結果だけで、今後の働き方が決まるわけではありません。

必要に応じて支援機関へ相談しながら、本人が無理なく続けられる仕事と支援環境を探していきましょう。

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