生活介護の常勤看護職員等配置加算とは?算定要件と確認書類を解説

生活介護事業所では、看護職員を一定数以上配置し、所定の要件を満たす利用者へ支援を行った場合に、常勤看護職員等配置加算を算定できることがあります。

ただし、この加算は、

  • 看護職員を配置すれば自動的に算定できる
  • 常勤の看護師が1人いれば必ず算定できる
  • 届出を提出すれば事業所の全利用者について算定できる

という仕組みではありません。

算定前には、看護職員の常勤換算数だけでなく、対象となる利用者、生活介護の単位ごとの利用定員、自治体への届出内容を確認する必要があります。

この記事では、2026年7月時点の制度に基づき、常勤看護職員等配置加算の算定要件と、事業所で確認しておきたい書類を整理します。

目次

常勤看護職員等配置加算とは

常勤看護職員等配置加算は、生活介護事業所等が看護職員を常勤換算で1人以上配置し、所定の利用者に生活介護を提供した場合に算定する加算です。

現在の制度では、生活介護の単位の利用定員に応じた単位数に、常勤換算で算定した看護職員数を乗じて加算額を計算します。

ただし、看護職員数の小数点以下は切り捨てられます。

たとえば、対象となる看護職員の常勤換算数が1.8人である場合、加算額の計算上は「1人」として扱われます。

2.0人以上であれば「2人」、3.0人以上であれば「3人」として計算します。

対象となるサービス

常勤看護職員等配置加算は、生活介護に設けられている加算です。

就労継続支援A型や就労継続支援B型など、他の障害福祉サービスで同じ加算を算定することはできません。

また、多機能型事業所などで複数のサービスを実施している場合も、生活介護の単位について要件を確認する必要があります。

事業所全体の職員数だけで判断せず、どの職員をどのサービス、どの単位に配置しているのかを整理しておくことが重要です。

算定の基本要件

常勤看護職員等配置加算を算定する際には、少なくとも次の点を確認します。

看護職員を常勤換算で1人以上配置していること

加算の対象となる看護職員を、常勤換算方法で1人以上配置している必要があります。

常勤換算は、事業所の常勤職員が勤務すべき時間数を基準として計算します。

単に雇用契約上の人数を数えるのではなく、各看護職員の勤務時間を合計して確認します。

自治体へ必要な届出を行っていること

加算は、配置要件を満たしただけで自動的に算定できるものではありません。

指定権者に対し、所定の様式による体制届などを提出する必要があります。

提出期限、添付書類、算定開始時期は自治体によって確認方法や運用が異なるため、必ず指定権者の案内を確認してください。

所定の利用者に生活介護を提供していること

常勤看護職員等配置加算は、事業所の全利用者について一律に算定する加算ではありません。

厚生労働大臣が定める状態に該当する利用者に対し、生活介護を提供した場合に算定します。

対象利用者に該当するかどうかは、受給者証の記載だけで判断できるとは限りません。

医療的ケアの内容、心身の状態、判定に必要な資料などを確認し、判断に迷う場合は指定権者へ照会する必要があります。

2026年7月時点の単位数

常勤看護職員等配置加算の基本となる単位数は、生活介護の単位の利用定員によって異なります。

生活介護の単位の利用定員基本となる単位数
5人以下32単位
6人以上10人以下30単位
11人以上20人以下28単位
21人以上30人以下24単位
31人以上40人以下19単位
41人以上50人以下15単位
51人以上60人以下11単位
61人以上70人以下10単位
71人以上80人以下8単位
81人以上6単位

実際の加算額は、上記の単位数に、常勤換算で算定した看護職員数の整数部分を乗じて計算します。

たとえば、利用定員20人の単位で、対象となる看護職員を常勤換算2.0人配置している場合は、

28単位 × 2人 = 56単位

となります。

ただし、実際に算定できるのは、加算の対象となる利用者に生活介護を提供した日です。

「常勤看護職員」という名称だけで判断しない

加算の名称には「常勤看護職員等」とありますが、算定要件は、常勤職員として雇用されている看護師が1人いるかどうかだけで判断するものではありません。

確認すべきなのは、対象となる看護職員の勤務時間を常勤換算した結果です。

たとえば、非常勤の看護職員が複数勤務している場合でも、勤務時間の合計が常勤換算1.0以上となる可能性があります。

一方、常勤として雇用している看護職員であっても、

  • 他のサービスと兼務している
  • 管理者など別の職種を兼務している
  • 月途中で休職した
  • 実際の勤務時間が予定より少なかった

といった事情があれば、生活介護の看護職員として算入できる時間を確認する必要があります。

人員配置基準との関係

生活介護には、看護職員、理学療法士または作業療法士、生活支援員などについて、人員配置基準が定められています。

常勤看護職員等配置加算を検討する際には、まず生活介護として必要な人員配置基準を満たしているかを確認し、そのうえで加算上の看護職員数を計算します。

「基準上必要な看護職員はすべて加算の計算から除外する」と単純に判断するのではなく、現行の告示、届出様式、自治体の取扱いに沿って整理する必要があります。

人員基準と加算要件を別々に確認せず、勤務形態一覧表上で一体的に整理することが大切です。

算定前に確認したい書類

届出前には、少なくとも次の書類を確認します。

従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表

看護職員の勤務日、勤務時間、常勤・非常勤、専従・兼務の別を確認します。

多機能型事業所や他サービスとの兼務がある場合は、生活介護へ従事する時間が明確になっているかを確認します。

雇用契約書または労働条件通知書

所定労働時間、勤務日数、職種、就業場所などが、勤務形態一覧表と一致しているかを確認します。

資格証の写し

看護師、准看護師など、看護職員として必要な資格を確認します。

氏名変更がある場合は、現在の氏名とのつながりが確認できる資料も必要になることがあります。

出勤簿やタイムカード

届出上の予定だけでなく、実際にその勤務時間どおり働いているかを確認します。

算定開始後も、勤務形態一覧表と実績に大きなずれがないか継続して確認する必要があります。

対象利用者に関する資料

加算の対象となる利用者に該当することを説明できる資料を整理します。

必要となる資料は利用者の状態や自治体の確認方法によって異なるため、対象者の判断根拠を事前に指定権者へ確認しておくことが重要です。

体制届と添付書類の控え

いつ、どの内容で届出を行い、いつから算定を開始したのかを確認できるように保管します。

電子申請の場合も、送信記録や受付結果を保存しておきます。

算定開始後に毎月確認したいこと

加算は、一度届出をすれば無期限に同じ条件で算定できるとは限りません。

毎月、次の点を確認する必要があります。

  • 看護職員の常勤換算数
  • 退職、休職、欠勤、勤務時間変更の有無
  • 他サービスとの兼務時間
  • 対象利用者の利用実績
  • 勤務形態一覧表と出勤記録の整合性
  • 届出内容から変更が生じていないか
  • 請求ソフトの設定が正しいか

特に、常勤換算数が整数を下回った場合は、加算額が変わる可能性があります。

たとえば、常勤換算2.0人で届け出ていたものが、勤務実績上1.9人となった場合、単位数を乗じる看護職員数は「1人」になります。

配置人数や勤務時間に変更があったときは、算定区分や変更届の要否を速やかに確認してください。

勤務予定と勤務実績を混同しない

勤務形態一覧表は、自治体への届出時には予定をもとに作成することがあります。

一方、実際の算定要件を満たしていたかを確認する際には、出勤簿やタイムカードなどの勤務実績も重要になります。

予定上は常勤換算2.0人であっても、

  • 長期欠勤
  • 休職
  • 月途中の退職
  • シフト変更
  • 他サービスへの応援勤務

などにより、実績が2.0人を下回ることがあります。

届出書類を作成した時点だけでなく、算定月ごとの勤務実績を確認する運用が必要です。

「届出の受理」と「算定要件を満たすこと」は別

体制届が受け付けられたことだけをもって、すべての算定要件について行政の事前承認を受けたとは限りません。

障害福祉サービスの報酬請求は、事業者が算定要件を確認したうえで行います。

その後の運営指導などで、

  • 常勤換算の計算が誤っていた
  • 対象利用者に該当しなかった
  • 勤務実績が届出内容と一致していなかった
  • 兼務時間を重複して計上していた

ことが判明すれば、過誤調整や返還が必要になる可能性があります。

届出書を提出することだけでなく、算定根拠を説明できる状態を維持することが重要です。

まとめ

生活介護の常勤看護職員等配置加算は、看護職員を常勤換算で1人以上配置し、所定の利用者に生活介護を提供した場合に算定する加算です。

算定単位は、生活介護の単位の利用定員に応じて定められており、常勤換算した看護職員数の整数部分を乗じて計算します。

算定前後には、

  • 看護職員の常勤換算
  • 対象利用者の確認
  • 生活介護の単位ごとの利用定員
  • 自治体への届出
  • 勤務形態一覧表
  • 雇用契約書
  • 資格証
  • 出勤記録
  • 請求内容

の整合性を確認する必要があります。

加算の届出を行うこと自体よりも、算定開始後も要件を満たしていることを毎月確認し、その根拠を説明できる状態にしておくことが大切です。

※本記事は2026年7月30日時点の厚生労働省の告示・公表資料をもとに作成しています。実際の届出期限、提出様式、添付書類は指定権者の最新案内をご確認ください。

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