その研修、本当に“終わって”いますか
令和8年7月6日、大阪市から「令和8年度 指定障がい福祉サービス事業者等及び指定障がい児通所支援事業者等にかかる集団指導」の実施について公表されました。
大阪市の指定障がい福祉サービス事業所等にとって、毎年確認が必要になる集団指導です。
正直なところ、「また今年もか」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。動画を見て、資料に目を通して、これで終わり——そう考えている事業所もあるのではないでしょうか。
しかし、今回の集団指導でも、見落とすと実務上大きな問題になり得るポイントがあります。
それは、動画を見たり、資料を閲覧したりしただけでは、必ずしも「受講済み」にならないという点です。
大阪市の案内では、研修受講後に行政オンラインシステムで受講報告を行うこととされています。そして、受講報告がない場合は、たとえ研修を受講していても「未受講扱い」となる旨が明記されています。
つまり、今回の集団指導では、
「見る」
「読む」
「報告する」
この一連の流れまで完了して、初めて実務上の対応が終わると考える必要があります。
まず、何が求められているのか整理します
大阪市の公表内容を、実務目線で整理してみます。
対象となる事業所
対象は、大阪市で指定・登録中のすべての事業所です。
休止中の事業も含まれます。
そのため、「今はサービス提供を休止しているから関係ない」と判断してしまうのは危険です。大阪市で指定・登録中である以上、まずは自分の事業所が対象に含まれるかを確認する必要があります。
受講期間・報告期間
受講期間は、令和8年7月6日(月曜日)から令和8年9月30日(水曜日)までです。
受講報告の期間も、同じく令和8年7月6日(月曜日)から令和8年9月30日(水曜日)までとされています。
約3か月の期間がありますが、後回しにしていると、月末業務や請求、記録整備、運営指導対応などと重なり、結果的に対応が漏れてしまうおそれがあります。
受講の方法
大阪市のページに掲載されている研修用資料について、動画またはPDF資料を閲覧して受講します。
共通編に加えて、指定中のサービス種別に応じた研修項目を受講する必要があります。
就労継続支援B型であれば、共通編だけでなく、日中活動サービス編2の内容も確認対象になります。生活介護、共同生活援助、相談支援、児童発達支援、放課後等デイサービスなども、それぞれ該当するサービス種別に応じた項目を確認する必要があります。
ここが要注意です。受講後は、行政オンラインシステムで報告が必要です
今回、特に注意していただきたいのは、受講後の「報告」です。
大阪市の案内では、研修受講後に行政オンラインシステムで受講報告を行うこととされています。
そして、受講報告がない場合は、たとえ本研修を受講していたとしても、未受講扱いになるとされています。
これは、かなり重要です。
動画を最後まで見た。
PDF資料も確認した。
管理者やサービス管理責任者も内容を把握した。
それでも、行政オンラインシステムで受講報告をしていなければ、外形上は「受講済み」と扱われない可能性があります。
視聴・閲覧という“行為”と、受講報告という“手続き”。
この二つを分けて考える必要があります。
この仕組みをどう受け止めるべきか
福祉現場は、日々の支援、記録、請求、加算管理、シフト調整、利用者対応など、常に多くの業務を抱えています。
研修動画を見る時間を確保すること自体も、現場にとっては決して軽い負担ではありません。
だからこそ、せっかく受講したにもかかわらず、最後の報告だけが漏れて「未受講扱い」になることは、非常にもったいないことです。
これは、単に行政手続きの問題ではありません。
「受講した」という事実を、事業所としてきちんと記録し、外部から確認できる状態にしておくことは、運営管理の一部です。
運営指導でも、研修や委員会、訓練については、実施したかどうかだけでなく、それを確認できる記録が残っているかが重要になります。
今回の集団指導も同じです。
見たかどうか。
読んだかどうか。
誰が確認したか。
いつ報告したか。
そこまで含めて管理しておくことが、事業所を守ることにつながります。
実務上、特に気をつけたい3点
1. 事業所番号ごとの報告が必要です
一つの法人で複数の事業所番号を持っている場合は、大阪市で指定中のすべての事業所番号ごとに受講報告を行う必要があります。
「法人として一回報告すればよい」という理解は誤りです。
たとえば、同じ法人が就労継続支援B型と生活介護を運営している場合、あるいは複数拠点で児童発達支援や放課後等デイサービスを運営している場合などは、それぞれの事業所番号を確認する必要があります。
事業所番号が分かれていれば、その数だけ報告手続きが発生すると考えておいた方が安全です。
2. 児童系事業所には、必読の参考資料があります
児童発達支援、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援などの児童系事業所については、関連参考資料にある「児童虐待通告について」も必読とされています。
共通編と児童編だけを確認して終わりにしてしまうと、この参考資料を見落とす可能性があります。
児童系サービスを運営している事業所は、研修用資料だけでなく、関連参考資料まで含めて確認するようにしてください。
3. 受講報告が不要とされているケースもあります
大阪市の案内では、次の事業所については受講報告が不要とされています。
・移動支援事業のみを運営する事業所
・令和8年5月1日以降に指定を受けた事業所
該当する場合は、少なくとも受講報告の手続きについては不要とされています。
ただし、自分の事業所が本当に該当するかどうかは、必ず大阪市の公式ページで確認してください。
特に、移動支援以外の障がい福祉サービスも併せて指定を受けている場合や、複数事業を運営している場合は、安易に「報告不要」と判断しない方が安全です。
期限管理を、誰の仕事にするか
受講期間・報告期間は、令和8年9月30日までです。
3か月近くあるため、一見すると余裕があるように見えます。
しかし、このような手続きは、余裕があるからこそ後回しになりやすいものです。
「時間があるときに見よう」
「月末までにやろう」
「管理者に任せているはず」
「サービス管理責任者が確認しているはず」
このような状態のまま進むと、動画は見たのに報告が漏れていた、ある事業所番号だけ報告ができていなかった、児童系の参考資料を確認していなかった、ということが起こり得ます。
特に複数事業所を運営している法人では、簡単な一覧表を作って管理することをお勧めします。
たとえば、次のような項目です。
・事業所名
・事業所番号
・サービス種別
・受講すべき研修項目
・受講担当者
・受講日
・受講報告日
・報告完了確認者
ここまで整理しておけば、「誰かがやっているはず」という状態を避けることができます。
集団指導は、単に動画を見るだけの手続きではありません。
事業所として、必要な情報を確認し、必要な報告を行い、その記録を残すところまで含めて、一つの運営業務として扱うべきです。
さいごに
制度や手続きは、ときに「面倒なもの」として受け止められがちです。
けれど、その一つひとつには、利用者の安全を守り、事業所自身を守るための意味があります。
私は、福祉サービスを利用する側から、それを支える側へと立場を移してきました。
だからこそ、現場の負担も、制度が求める管理の重さも、どちらも実感として理解しています。
今回の大阪市集団指導についても、動画を見て終わりにするのではなく、受講報告まで含めて「一つの仕事」として、事業所内で確実に管理していただきたいと思います。
大阪市の集団指導に関する詳細、対象サービスごとの研修内容、受講報告の方法については、大阪市公式サイトの該当ページで必ずご確認ください。
手続きの進め方や、事業所内での管理体制について迷うことがあれば、行政書士田中慶事務所までお気軽にご相談ください。
※本記事は、令和8年7月6日時点で大阪市が公表している情報に基づいて作成しています。最新の情報は、必ず大阪市公式サイトでご確認ください。
大阪市の障がい福祉事業所向け
集団指導の受講報告、
「誰かがやったはず」になっていませんか?
令和8年度の大阪市集団指導では、動画・資料の確認だけでなく、 行政オンラインシステムでの受講報告まで完了しているかが重要です。 複数の事業所番号がある場合や、児童系サービスを運営している場合は、 報告漏れ・確認漏れが起こりやすくなります。
このような不安がある事業所様へ
- どの資料を確認すればよいか整理できていない
- 事業所番号ごとの報告状況を管理できていない
- 児童系サービスの必読資料を見落としていないか不安
- 研修・委員会・訓練などの期限管理をまとめて見直したい
行政書士田中慶事務所では、大阪市の障がい福祉事業所様向けに、 集団指導・法定研修・委員会・運営書類の管理体制づくりを実務目線でサポートしています。 「受講したつもり」「報告したつもり」を防ぐために、まずは現在の管理状況を一緒に整理します。
※受講報告の要否・期限・対象サービスは、必ず大阪市公式サイトの最新情報をご確認ください。
※当事務所では、虚偽の受講報告や未実施事項を実施済みとする対応は行っておりません。