児童発達支援・放課後等デイサービスの支給量と第三者評価はどうなる?関係団体の提案を解説

目次

この記事でお伝えすること

2026年7月17日、厚生労働省の「第59回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」が開催され、児童発達支援・放課後等デイサービスなどの障害児支援について、一般社団法人全国児童発達支援協議会から意見・提案が示されました。

最初に、重要な前提を確認しておきます。

今回公表された内容は、令和9年度障害福祉サービス等報酬改定の決定事項ではありません。

報酬改定に向けた関係団体ヒアリングの中で、全国児童発達支援協議会が示した意見・提案です。

したがって、現時点で、

  • 支給日数の決め方が変更された
  • 第三者評価が義務化された
  • 職員配置基準が緩和された

という事実はありません。

この記事では、決定事項と団体からの提案を区別したうえで、児童発達支援・放課後等デイサービスを運営する事業者が、現在の運営を見直す際のポイントを整理します。

「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」とは

障害福祉サービス等報酬改定検討チームは、障害福祉サービスの報酬や制度の見直しに向けた検討を行う場です。

第59回は「関係団体ヒアリング4」として開催され、全国児童発達支援協議会を含む複数の関係団体から意見が示されました。

今回の資料は、厚生労働省が新しい方針を決定・発表したものではありません。

現場の関係団体が、

  • 現在の制度にどのような課題があるか
  • 今後どのような見直しが必要か
  • 報酬上どのような評価を求めるか

について意見を述べたものです。

制度改正に関する情報を見る際は、厚生労働省の決定事項なのか、検討会における論点なのか、関係団体からの要望なのかを区別することが重要です。

全国児童発達支援協議会が示した主な提案

今回の資料のうち、児童発達支援・放課後等デイサービス事業者の運営と特に関係が深い内容は、次の6点に整理できます。

1.こどもの状態像に基づく支給量の適正化

全国児童発達支援協議会は、障害児通所支援の利用量について、一律の支給決定を避け、こども一人ひとりの状態像に基づいて、発達支援の必要性を判断することが重要だとしています。

また、客観的な基準を検討するとともに、障害児相談支援事業所が利用計画を作成する際にも、適切な利用量となるよう、相談支援の適正化を求めています。

ここで注意したいのは、単純に利用日数を削減すべきという提案ではないことです。

同団体は、障害児通所支援の利用や費用の増加について、これまで十分でなかった支援が整備され、支援を必要とするこどもや家族にサービスが届くようになった結果でもあると評価しています。

一方で、保護者の希望だけに基づく必要以上の利用や、市町村による一律の支給決定は見直す必要がある、という立場です。

2.専門的な第三者評価の仕組み

児童発達支援や放課後等デイサービスでは、現在、事業所による自己評価と保護者評価が行われています。

全国児童発達支援協議会は、これらに加えて、支援の質を客観的に評価する第三者評価が重要だとしています。

その際には、一般的な事業評価ではなく、障害児支援に精通した評価者を養成し、現場の実情を理解したうえで評価する仕組みを構築する必要があると提案しています。

ただし、現時点で第三者評価の実施が義務化されたわけではありません。

評価の方法、評価者の要件、実施頻度、費用負担なども、具体的に決まっているわけではありません。

3.職員配置に関する自治体間の解釈の違い

全国児童発達支援協議会は、職員配置基準について、自治体ごとに解釈や運用が異なることを課題として挙げています。

具体的には、次のような場面です。

  • 定員をどのように捉えるか
  • 送迎中の職員をどのように扱うか
  • 職員が外部研修に参加している時間
  • 外部機関と連携するために職員が事業所を離れる時間
  • 職員が有給休暇を取得した場合の配置

同団体は、人材不足の中でも事業所が現実的に運営できるよう、柔軟な解釈を行うことを指定権者へ周知してほしいと求めています。

また、外部研修については、管理者や児童発達支援管理責任者が支援に入り、支援の質が確保されている場合などには、人員配置基準を満たすものとして扱うなど、研修に参加しやすい取扱いを求めています。

これも、現時点で人員配置基準が緩和されたという意味ではありません。

現在は、各指定権者の取扱いに従う必要があります。

4.多様化する支援形態に合わせた基準・報酬の見直し

障害児通所支援では、従来の集団支援だけでなく、次のような支援形態が増えています。

  • 定員を分けた小集団支援
  • 個別支援のみを行うスポット型の支援
  • 保育所などと一体的に行う支援
  • 不登校や外出困難なこどもへの支援
  • オンラインを活用した支援

全国児童発達支援協議会は、従来型の集団支援を前提とした職員配置基準や加算要件が、現在の支援実態に合わなくなっているとして、支援形態に応じた基準・報酬の見直しを求めています。

ただし、個別支援やオンライン支援などが、直ちに新しい報酬として認められることが決まったわけではありません。

5.こども性暴力防止法への対応支援

全国児童発達支援協議会は、こども性暴力防止法の施行に向け、小規模事業所を含むすべての事業所が適切に対応できるよう、国による丁寧な支援を求めています。

具体的には、次のような対応が想定されています。

  • 就業規則などの見直し
  • 職員や採用予定者に関する確認
  • 個人情報の適切な取扱い
  • 必要な手続や事業所内体制の整備

同団体は、こどもを守るための対応は重要である一方、手続が複雑であり、小規模事業所にとって負担が大きいことを指摘しています。

6.ICT導入・維持費や職員研修の報酬上の評価

ICTについては、記録業務の効率化や職員の負担軽減につながる一方、ソフトウェアの利用料など、継続的な費用が発生します。

全国児童発達支援協議会は、ICTの導入費用だけでなく、月額利用料などの維持費についても報酬上で評価することを求めています。

また、職員の専門性を高めるための研修について、研修に参加しやすい人員配置の取扱いや、地域で継続的に研修を実施できる体制の整備も求めています。

事業者にとって、今、何が変わるのか

現時点で、児童発達支援・放課後等デイサービスの支給決定、人員配置基準、自己評価、保護者評価などの制度が変更されたわけではありません。

したがって、今回の団体提案だけを根拠として、事業所が直ちに運営方法を変更する必要はありません。

一方で、今回の提案からは、今後の制度検討において、次のような視点が重視される可能性があると考えられます。

ここから先は、団体資料に記載された決定事項ではなく、資料の内容を踏まえた当事務所の実務上の整理です。

  • 利用日数や利用頻度が、こどもの状態や支援目標と結び付いているか
  • なぜその支援内容や利用頻度が必要なのかを説明できるか
  • 自己評価・保護者評価を、実際の改善に活用しているか
  • 職員配置について、自治体の取扱いを正確に確認しているか
  • 職員研修と人員配置の両立方法を事業所内で整理しているか
  • 個別支援計画と、日々の支援記録やモニタリングが一致しているか

大切なのは、「将来制度が変わるかもしれないから書類を増やす」ということではありません。

現在行っている支援について、なぜその支援が必要なのか、どのような変化を目指しているのか、実施後にどのような評価や見直しをしたのかを説明できる状態にしておくことです。

特に重要な論点|支給量を事業所はどう捉えるべきか

障害児通所支援の支給量は、市町村が支給決定を行います。

そのため、児童発達支援・放課後等デイサービス事業所が、単独で利用日数を決定するものではありません。

一方で、事業所には、こどもの状態、本人や家族の希望、支援目標、利用状況を踏まえて、専門的な見地から支援の必要性を説明する役割があります。

例えば、次の内容が個別支援計画やモニタリング、関係機関との連携記録から確認できるでしょうか。

利用頻度を設定した理由

なぜ週1回、週3回、あるいはそれ以上の利用が必要なのか。

単に支給日数があるから利用するのではなく、こどもの状態や発達上の課題、家庭や学校での状況、支援目標との関係を整理することが重要です。

利用によって目指す変化

支援を受けることで、こどもの生活や発達にどのような変化を目指すのか。

例えば、コミュニケーション、集団参加、感情調整、生活動作、家族との関係など、具体的な目標を示す必要があります。

利用後の評価と見直し

現在の利用頻度や支援内容が、本当にこどもの状態に合っているかを定期的に確認します。

状態が変化した場合には、利用頻度や支援内容の変更を相談支援専門員や家族、関係機関と検討することも必要です。

相談支援専門員との連携

利用計画の作成やモニタリングの際に、事業所が把握しているこどもの状態や支援状況を適切に共有しているかも重要です。

連絡を行った日時、共有した内容、今後の方針などを記録しておくと、支援の経過を説明しやすくなります。

自己評価・保護者評価を形式だけで終わらせない

第三者評価が今後どのような仕組みになるかは、現時点では決まっていません。

一方で、現在実施している自己評価・保護者評価については、今からでも改善できます。

評価を実施して公表するだけでなく、次の流れを作ることが重要です。

  1. 自己評価・保護者評価を実施する
  2. 結果を集計・分析する
  3. 課題を具体的に整理する
  4. 改善策と担当者、実施時期を決める
  5. 改善後の状況を確認する
  6. 次回評価に反映する

例えば、「保護者への説明が十分でない」という意見があった場合、単に「今後改善します」とするだけでは不十分です。

  • 説明資料を見直す
  • 面談時の確認項目を統一する
  • 連絡帳やICTシステムの使い方を変更する
  • 何月までに誰が実施するかを決める

といった具体的な改善行動につなげることが大切です。

今のうちに確認しておきたい5つのこと

1.個別支援計画と実際の利用状況を照合する

個別支援計画に記載された目標や支援内容と、実際の利用頻度、日々の支援記録が一致しているか確認します。

計画上の目標と関係のない活動が繰り返されていないか、利用頻度の理由が分からない状態になっていないかを見直しましょう。

2.利用頻度と支援の必要性を記録する

利用日数そのものではなく、その頻度で支援する必要性を記録します。

こどもの状態、家庭や学校での状況、本人・家族の希望、支援による効果を整理しておくことが重要です。

3.相談支援専門員との連携記録を残す

相談支援専門員と情報共有した場合は、連絡日時、共有した内容、協議した事項、その後の対応を記録します。

口頭でのやり取りだけで終わらせず、支援計画やモニタリングに反映された経過を確認できる形にしておきます。

4.自己評価・保護者評価を改善につなげる

評価結果から、事業所としての課題を整理し、改善計画を作成します。

改善の内容、担当者、期限、実施結果を残すことで、評価が形式的なものではなくなります。

5.職員配置について自治体の取扱いを確認する

送迎、外部研修、有給休暇、外部連携などの際の人員配置について、事業所内の判断だけで運用しないことが重要です。

不明確な点がある場合は、指定権者に確認し、確認日、担当部署、回答内容を記録しておきましょう。

今回の団体提案では柔軟な取扱いが求められていますが、制度が変更されるまでは、現在の基準と指定権者の解釈に従う必要があります。

まとめ

2026年7月17日の第59回障害福祉サービス等報酬改定検討チームでは、全国児童発達支援協議会から、児童発達支援・放課後等デイサービスなどに関する意見・提案が示されました。

主な内容は、次のとおりです。

  • こどもの状態像に基づく支給量の適正化
  • 相談支援の適正化
  • 専門的な第三者評価の仕組み
  • 職員配置に関する自治体間の解釈の違いへの対応
  • 多様化する支援形態に合わせた基準・報酬の見直し
  • こども性暴力防止法への対応支援
  • ICT導入・維持費や職員研修の報酬上の評価

ただし、これらは令和9年度報酬改定の決定事項ではなく、関係団体からの意見・提案です。

現時点で、支給量の決定方法、第三者評価、人員配置基準などが変更されたわけではありません。

一方で、現在の運営においても、

なぜこの利用頻度なのか、何を目標として支援しているのか、どのような効果があり、どのように見直したのか

を説明できる記録を整えておくことは重要です。

将来の制度変更に備えるというより、現在の支援と記録を見直す機会として、個別支援計画、モニタリング、日々の支援記録、自己評価・保護者評価のつながりを確認してみてはいかがでしょうか。

こんなときは、行政書士田中慶事務所にご相談ください

  • 個別支援計画と日々の支援記録が合っているか確認したい
  • 利用頻度や支援内容の理由を、記録にどう残せばよいか分からない
  • 自己評価・保護者評価を改善に結び付けたい
  • 相談支援専門員との連携記録を整理したい
  • 送迎や研修時の職員配置について、自治体への確認方法に迷っている
  • 児童発達支援・放課後等デイサービスの運営書類を点検したい

行政書士田中慶事務所では、障がい福祉サービスの利用経験を持つ「ピア行政書士」として、書類の形式だけでなく、実際の支援内容や現場の運用も確認しながら、記録や運営体制の整理をお手伝いしています。

制度の情報を一方的にお伝えするだけで終わらせず、個別支援計画、モニタリング、日々の支援記録、評価結果がどのようにつながっているかを一緒に整理します。

まずは、公式サイトのお問い合わせフォームからご相談ください。

※本記事は、2026年7月17日に厚生労働省が公表した関係団体ヒアリング資料をもとに作成しています。今後の検討状況により、制度や取扱いが変更される可能性があります。

役に立ったら、ぜひシェアしてください
  • URLをコピーしました!

障がい福祉事業所の運営では、記録・計画・研修・運営書類など、複数の課題が重なっていることがあります。

今の状況を整理し、事業所に必要な対応を一緒に確認します。

障がい福祉事業所向けの支援内容を見る

目次