加算制度の基本的な考え方については
こちらの記事で整理しています。
年度末が近づき、4月以降の加算算定や体制について、シミュレーションを重ねている時期ではないでしょうか。
「要件はクリアしている。人員もギリギリ足りる。なら、取るべきだ」
経営の数字だけを見れば、それは一つの「合理的な判断」です。 しかし、いざ申請書類を前にしたとき、ペンを持つ手が少しだけ重くなる。そんな感覚を覚えたことはありませんか。
「取れる」と「続けられる」は違う
加算の算定要件を満たすことは、あくまでスタートラインに過ぎません。本当の課題は、その算定を「継続するための現場のコスト」にあります。
- 加算のために、記録や事務作業がどれだけ増えるのか
- 人員基準を維持するために、職員にどれほどの柔軟性を強いるのか
- その結果、利用者さんと向き合う時間が削られないか
数字上は「プラス」であっても、現場の空気や職員の心の余裕が「マイナス」に振れてしまうのであれば、それは本当に「取るべき加算」と言えるのでしょうか。
「取らない」という選択にある価値
「加算を取らないのは、経営努力が足りない証拠だ」 そんな風に思われるのが怖くて、無理をしてでも算定に踏み切ろうとする方もいらっしゃいます。
でも、あえてお伝えしたいことがあります。 現場の現状を冷静に見極め、あえて「今は取らない」と決めることもまた、立派で、誠実な経営判断です。
無理な算定によって現場が疲弊し、離職が続き、支援の質が落ちてしまう。 そのリスクを天秤にかけた上で、「今は現場を守ることを優先する」と決断することは、決して「逃げ」ではありません。長く続けるために、今は背負わないと決める判断だからです。
算定するなら「納得」という名の土台を
もちろん、事業所を継続させるために収益は不可欠です。 もし、無理を承知で加算を取りに行くのであれば、必要なのは「要件の確認」以上に、「現場との対話」かもしれません。
「なぜ、この加算が必要なのか」 「そのために、何が変わるのか」
この納得感が共有されないまま進めてしまうと、加算は現場にとって「ただの負担」になってしまいます。逆に、ここが整理されていれば、現場は「新しい挑戦」として受け入れる準備が整います。
最後に
加算を取るか、取らないか。その葛藤の正体は、あなたが数字だけでなく、ちゃんと「人」を見ている証拠です。
一人で数字と睨めっこして、胸が苦しくなったら。一度、数字を横に置いて、現場の職員や利用者さんの顔を思い浮かべてみてください。
「今、どの選択が、この事業所と現場を一番守れるのか」
その問いの先に、あなただけの、後悔しない答えがあるはずです。
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