加算制度の基本的な考え方については
こちらの記事で整理しています。
年度末が押し迫ってくると、「どの加算を算定し、どの加算を諦めるか」という最終的な選択に追われるようになります。
特に新しい加算や、地域で算定が進んでいる加算については、「うちは取らなくていいのだろうか」という不安が頭をよぎるものです。場合によっては、周囲から「取れるものを取らないのは、経営としてどうなのか」という声が聞こえてくることもあるかもしれません。
しかし、ここで一つ、立ち止まって考えてみてほしいのです。 「加算を取らない」と決めることも、立派で、非常に重要な経営判断の一つだということを。
加算には「見えないコスト」がある
加算を算定するということは、単に収益が増えるだけではありません。そこには必ず「コスト」が発生します。
- 人員配置や資格要件を維持し続けるための固定費
- 複雑な事務作業や、日々積み重ねるべき記録の工数
- 本来やりたかった支援の形が、要件に合わせて少しずつ歪んでしまう心理的負荷
収益という「表面上のプラス」を、これらの「見えないマイナス」が上回ってしまったとき、組織は少しずつ疲弊し始めます。算定を諦めるということは、そのコストを支払わないことで、「今の現場の余裕」や「自分たちが守りたい支援の質」を守り抜くという選択なのです。
「今は取らない」という攻めの守り
経営とは、リソースをどこに集中させるかを決めることです。すべての加算を網羅しようとして、現場が疲弊し、結果として離職者が増えたり事故が起きたりしては、本末転倒です。
「今のうちの体制では、この加算を追うと現場が崩れてしまう。だから、今はあえて取らない」 「収益よりも、今は職員の教育と、今の利用者さんへの支援を安定させる時期だ」
そうした明確な根拠に基づいた「不算定の決断」は、けっして消極的な逃げではありません。きわめて誠実な「攻めの守り」です。**将来の選択肢を残すために、今のリソースを温存するという意味での「攻め」**と言ってもいいでしょう。
最後に
加算を取ることは、目的ではなく、あくまで「より良い支援を継続するための手段」のはずです。
もし今、無理をして加算を追いかけようとしている自分に気づいたら。一度立ち止まって、自分たちに問いかけてみてください。 「その加算を取ることで、私たちは本当に笑顔になれるだろうか?」
他所の真似をする必要はありません。自分たちの歩幅で、自分たちの守るべきものを守る。そのための「NO」という決断を、私は専門家として、心から尊重します。
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