「就労選択支援員を、誰が兼務するのか。あるいは専任で置くのか」 新しい制度の運用が広がる中で、多くの事業所がこの「配置」の問題に直面し始めています。
資格要件を確認し、今の職員のシフト表と睨めっこする。 「Aさんなら経験も豊富だし、適任だろう」 「でも、今のAさんの現場業務を誰が肩代わりするのか」
そんな風に、パズルのピースを埋める作業で行き詰まったら、一度だけ、その手元を止めてみてほしいのです。
※まだ配置を具体的に決める段階でなくても、「いずれ考えることになる視点」として読んでいただければ十分です。
配置を決める前に、まず整理しておくべきことが一つだけあります。
就労選択支援制度の全体像については
「就労選択支援とは?」の記事で解説しています。
「誰がやるか」の前に「何を守るか」
就労選択支援員という役割は、単にアセスメントを行う係ではありません。 本人の意向を丁寧に汲み取り、客観的に可能性を探り、適切な就労先へと繋ぐ。それは、これまでの「自事業所の利用を継続してもらうための支援」とは、少しだけ重なる部分が異なる仕事です。
配置を考えるときに最も大切なのは、**「その職員に、何を優先させていいと許可を出すか」**という点です。
- 本人の「今の安定」を守ることを優先するのか
- 本人の「一歩踏み出す可能性」を検証することを優先するのか
この優先順位が組織内で曖昧なまま、「とりあえず兼務で」と配置を決めてしまうと、支援員となった職員は、板挟みになって疲弊してしまいます。
支援員は「地域の窓口」になる
就労選択支援を導入するということは、あなたの事業所が「地域の就労支援のハブ」としての役割を引き受けることでもあります。
もし、自事業所の定員を埋めることを最優先にするなら、選択支援員の配置は形式的なものになってしまうかもしれません。 しかし、本気で本人の選択を支えようとするなら、その支援員には「外部の事業所や企業と繋がるための時間」と「自事業所の利益とは切り離された判断」が必要になります。
「誰を配置するか」という悩みは、実は「うちはどんな支援を誇りにしたいのか」という、事業所のアイデンティティを問い直す作業でもあるのです。
完璧な配置図より、最初の「合意」
最初から専任の職員を雇うような、完璧な布陣を敷ける事業所は多くありません。まずは既存の職員の中から、兼務でスタートするケースがほとんどでしょう。
だからこそ、最初に必要なのはシフトの調整以上に、**「この役割のときは、こういう視点で動いてほしい」**という経営側と職員側の合意です。
「今の現場も大事。でも、選択支援の時間は、一歩引いて本人の未来だけを見ていいよ」 その一言があるだけで、職員の心の持ちようは劇的に変わります。
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最後に
配置の問題は、数字や資格だけで解決できるものではありません。 大切なのは、その役割を担う職員が、自信を持って「本人の選択」に向き合える環境を、経営としてどう担保するか。
年度末、忙しい中での検討かと思いますが、まずは「その職員にどんな景色を見てほしいか」を想像するところから、始めてみませんか。


