2026年4月、就労選択支援の開始から半年が経過しました。現場では「B型の新規利用にあたり、どのルートが正解なのか」という実務レベルでの問い直しが続いています。
2025年10月から開始された「例外類型を除く就労選択支援アセスメントの適用」を踏まえ、今、事業所が改めて押さえておくべき法的根拠(厚労省通知・マニュアル)と実務の構造を整理します。
こんにちは。行政書士の田中慶です。
今回は、最新の一次資料に基づいた**「就労選択支援とB型の接続」の適正な運用フロー**を解説します。
1. B型新規利用におけるアセスメント:2つのルートの切り分け
実務上、最も重要なのは、本人の状況によって「就労選択支援事業所によるアセスメント」が必要なルートか、例外的に不要なルートかを正確に切り分けることです。
- 就労選択支援を前提とするルート(2025年10月1日施行済み):従来の就労アセスメント対象者がB型を新規利用する場合、就労選択支援によるアセスメントを経ることが運用上の基本となっています(※「就労選択支援実施マニュアル」及び「障障発0930第3号」による)。
- 例外的に就労選択支援を介さないルート:以下の類型に該当する場合などは、就労選択支援事業所によるアセスメントを経ずに、B型利用の支給決定が可能です。
- 50歳到達者
- 障害基礎年金1級受給者
- 就労経験があり、年齢や体力面で一般雇用が困難になった者 等
- 待機等が生じる場合の調整措置:近隣に指定事業所がない、あるいは利用可能な事業所が少なく待機が生じる場合は、代替的に就労移行支援事業者等による就労アセスメントを用いる運用が認められる場合があります(例:大阪市の事務連絡では、支給決定期間との兼ね合いで1か月程度の待機が生じ得ること、その状況により代替アセスメントも可能である旨が整理されています)。
実務のアドバイス: 就労選択支援の支給決定期間は「原則1か月(最大2か月)」です。この短期枠の中で、各自治体が運用上の暫定措置としてどのように支給決定を行うかは市町村の裁量が大きいため、窓口での最新ルールの確認が不可欠です。
2. 多機能型運用における「中立性」のリスク管理
自法人で就労選択支援の指定を受け、自社のB型へ接続させる「自社完結型」の運用を検討・実施する法人も見られます。ここで問われるのは、単位数以上に**「客観的な意思決定支援の記録」**です。
特定事業所集中減算への備え
厚労省の資料(「就労選択支援の実施について」等)では、中立性の担保として、特定の事業所への紹介が著しく偏る場合(例:同一法人への紹介が80%を超える場合など)の特定事業所集中減算の仕組みが導入されています。
- 今後の運営指導を見据えた対策:自法人への接続が中心となるケースであっても、評価プロセス(ケース会議の記録、本人の意向確認、複数の選択肢を提示した経緯)を詳細な記録として残すことが、今後の実地指導(運営指導)における最大のリスクヘッジとなります。
3. 入口で止まらないための「接続」確認リスト
B型事業所や相談支援専門員が、支給決定プロセスをスムーズに進めるための実務的な整理です。
| 状況(本人の状態) | 確認すべき事項 | 根拠・調整先 |
| 例外類型(50歳以上・年金1級等) | 就労選択支援の省略が可能か確認 | 市町村窓口(支給決定実務) |
| 一般就労の可能性を検討すべき方 | 就労選択支援事業所への繋ぎが可能か確認 | 就労選択支援実施マニュアル |
| 近隣に指定事業所がない・待機中 | 就労移行等による代替アセスメントの可否 | 自治体独自の運用通知(※) |
※例:大阪市「就労選択支援の実施に係る留意事項について」等
整理の視点:制度は「本人の納得」を構造化するもの
私自身、心身の制限の中で「自分に何ができるか」を問い続けてきた経験から、この制度の意義を深く感じています。
就労選択支援は、単なる事務的な手続きではありません。B型という枠に当てはめる前に、「本人が納得して選択する」というプロセスを法的に保障するものです。事業所にとっては工程が増えましたが、このプロセスを丁寧に行うことが、結果として「ミスマッチによる早期退職」を防ぎ、長期的に安定した運営(=本人の定着)に繋がります。
まとめ|運営の「不備」を「安心」に変える
2025年10月の「開始」以降、B型の入り口は明確に「構造化」されました。「就労選択支援実施マニュアル」や「厚労省通知(障障発0930第3号)」といった一次資料を正しく理解し、自治体と適切な調整を行っていきましょう。
新年度は「気合い」で乗り切るものではなく、制度を構造化して安定させるもの。
- 「自法人の実績で、就労選択支援の指定要件をクリアできているか精査してほしい」
- 「50歳未満だが、アセスメントを介さず緊急でB型利用が必要なケースを相談したい」
- 「今後厳格化される運営指導を見据え、集中減算を回避するための記録の書き方を学びたい」
そんな時は、一人で抱え込まずに頼ってください。
