はじめに:新しい「就労のかたち」が始まろうとしています
2025年10月から新しく始まる「就労選択支援事業所」。
制度の名前だけを聞くと、既にある「就労移行支援」や「A型・B型」とどう違うの?と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
私は行政書士(開業準備中)であり、障がい当事者として福祉サービスの利用経験もある立場から、この制度が持つ“本質”をできるだけわかりやすくお伝えしたいと思っています。
とくに今回は、「現在B型事業所に通っている方」や「そのご家族」に向けて、「就労選択支援」がどのような影響をもたらすのかを、利用者目線で解説します。
第1章:なぜ今、「就労選択支援事業所」が生まれたのか?
厚生労働省がこの制度を創設した背景には、大きく2つの課題があります。
① B型からの“次のステップ”が少なすぎる
B型事業所は、工賃を得ながら無理なく作業できる大切な場所ですが、そこから一般就労に移行するケースはごく一部にとどまります。多くの方が「長期的にB型に通い続ける」現状がありました。
② A型・就労移行との“すき間”を埋める制度がなかった
「まだA型は難しいけれど、就労には意欲がある」「ステップアップを目指したい」──こうした中間層を支える場が不足していたため、新制度で“もうひとつの選択肢”をつくる必要があったのです。
第2章:制度のねらいは?国の思惑から見る就労系福祉の未来
「就労選択支援事業所」は、今後の就労支援制度の大きな方向転換を象徴しています。
■ 就労重視の流れがさらに加速
国の方針は一貫して「福祉から就労へ」。将来的には、B型や移行支援も段階的に再編され、「“働く力”の可視化」と「成果(就職)」が重視されていくでしょう。
■ 成果主義に傾きすぎると…?
もちろん制度の狙いは善意ですが、現場にプレッシャーがかかるのも事実。B型で自分のペースを大事にしていた方にとっては、“焦り”を感じやすくなる可能性もあります。
第3章:制度のメリット・注意点を「利用者目線」で解説!
◉ 利用者にとってのメリット
- 就職への準備がしやすくなる
→ 職場体験・面接練習・就労支援を一体的に受けられる - 選択肢が増える
→「B型に通い続けるか、A型を目指すか」だけでなく、新たな“中間の選択肢”が生まれる - 「働きたい」に応える体制
→ 本人の希望に沿った支援が受けやすくなる
◉ 注意したいポイント
- 制度の意図を誤解しないこと
→ 「B型が不要になる」わけではありません。必要な人にとってはB型も大切な居場所。 - 選ぶ力が問われる時代に
→ 情報収集、支援者との対話、今後のキャリア設計がより重要に。
第4章:これからの「通い方・使い方」はこう変わる?
これまでは「とりあえずB型に通う」というケースも少なくありませんでした。しかし今後は、自分に合った支援事業所を戦略的に選ぶ時代に入っていきます。
✔ 就労選択支援→A型や一般就労
このようなステップアップルートが整備されれば、「就職への道」がより具体的になる人も増えるでしょう。
✔ 自分らしい働き方を考える機会に
一方で、「働きたいと思わない自分はおかしいの?」と悩む人もいるかもしれません。就労はあくまで“選択肢の一つ”です。自分のペースや価値観を大切にしながら進むことが何より大切です。
おわりに:選択肢が増える時代に必要な“視点”
「就労選択支援事業所」は、B型に通う多くの方にとって「チャンス」であり「変化の兆し」でもあります。
この制度の本質は、「無理なく、自分の意思で未来を選べるようにすること」。
今、最も大切なのは「知ること」と「話し合うこと」です。
家族、支援者、そして行政書士などの専門家とも相談しながら、あなたに合った“これから”を見つけていきましょう。
📌 筆者からひとこと
私は制度を扱う専門職であると同時に、障がい当事者として支援を受けてきた経験もあります。
だからこそ、「制度と現場のギャップ」や「利用者の不安」に寄り添える立場にあります。
あなたの「働き方」や「暮らし方」が、より安心で納得できるものになるよう、全力でサポートできるための準備を行っていきます。
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