A型でもB型でもない“その狭間”にいる人たちへ──制度の線引きと現場の裁量のこれから

福祉制度は「線引き」されていて当然、でも、支援の現場は「線引き」できない現実に満ちている。
A型にもB型にもすんなり当てはまらない“その狭間”にいる人たちの存在は、ずっと制度の隙間に置かれてきた。
就労選択支援という新制度が始まろうとしている今、もう一度「制度と現場の関係性」について、考えてみたい。

目次

制度には「線引き」が必要。でも現場には「揺らぎ」がある

制度の設計には、対象や条件を明確に定義し、線を引くことが求められます。A型・B型・就労移行支援も、その線引きの結果として存在しています。
でも、支援を受ける当事者の状態は、そんなに単純に分類できるものではありません。日によって体調が変わる、気持ちに波がある、社会的背景が影響する──むしろ「揺らぎ」こそが当たり前なのです。

制度は“厳格”でなければ法として成り立ちませんが、現場は“柔軟”でなければ誰も救えない
この矛盾の中に、福祉の本質的な難しさがあるのかもしれません。

民間事業者が「制度の隙間」を埋めてきた現実

今、A型事業所の中には、一般就労に極めて近い内容を実践しているところもありますし、逆に、B型のような配慮の手厚さを残しているA型事業所もあります。
これは「制度の誤用」ではなく、事業者が自らの生き残りと利用者ニーズへの対応を両立させるための戦略です。

しかし、「A型っぽいB型」などと謳えば行政からの指導対象になりかねないし、利用者にとっても「結局どっちなの?」と混乱を生む可能性もある。
ここに、制度と現場の“ずれ”があります。

それでも、この“ずれ”をあえて抱えながら、ニッチなニーズに応えようとしている現場の姿勢は、決して否定されるべきものではありません。

「就労選択支援」は“抜け穴”ではなく“余白”かもしれない

2025年10月から始まる「就労選択支援」は、制度上明確な枠組みを保ちながら、現場の裁量に委ねられる“余白”がある点が大きな特徴です。
きちんとしたアセスメントと、利用者の意向・適性に基づいた支援計画を立てながら、「この人はどこへ向かうべきか」を丁寧に検討するプロセスが制度に組み込まれています。

一方で、どんなに“選択”を支援したとしても、その先に待っているのはやっぱり「A型」「B型」「移行」という線引きされた世界
だからこそ、就労選択支援を制度の“抜け穴”ではなく、“折り合いをつける余白”としてどう育てていくかが、これから問われていくのだと思います。

これからも続く、制度と現場の“折り合い”探し

「制度はこうでなければ運用できない」と「現場はこうでなければ支援できない」の間には、いつだってズレがある。
だけどそのズレをどうにか埋めようと、法改正を繰り返し、制度と現場の両方が少しずつ歩み寄ってきた歴史があります。

完璧な制度なんてない。でも、その中でも、利用者の“揺らぎ”や“狭間”にいる人をどう受け止めるかを真剣に考えている現場がある。
私たちは、その現場の声を見失わずに、制度との“折り合い”を探し続けていくしかありません。

結び

福祉制度は、誰かにとっての「安心」をつくるもの。
でも、制度が「線引き」することで、こぼれ落ちてしまう人もいる。
その“狭間”を見つめて、現場から声をあげていくことが、未来の制度を少しずつ変えていく一歩になると、私は信じています。

A型・B型・就労移行など、制度の枠だけでは「自分にはどれが合うのか」を決めにくいことがあります。

今の体調や生活、働き方の希望を整理しながら、利用できる制度やこれからの選択肢を一緒に考えます。

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この記事を書いた人

大阪市を拠点に、障がい福祉事業所の記録・個別支援計画、運営書類、法定研修、制度対応などの整理と運用を支援する行政書士です。
自身の福祉サービス利用経験と福祉現場での経験を踏まえ、制度の内容を解説するだけでなく、事業所、ご本人、ご家族が「次に何を確認し、どう動けばよいか」を分かりやすく整理することを大切にしています。
本ブログでは、障がい福祉の制度改定、事業所運営、支援記録、個別支援計画、親なきあとに関する制度・法務などについて、現場で役立つ視点から発信しています。

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