個別支援計画は「書類が揃っていればよい」わけではない~指定取消し事例から考えるアセスメントの本質

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はじめに|B型事業所の指定取消し事例から

2026年7月、ある自治体が、就労継続支援B型事業所2か所に対する指定取消し処分を公表しました。

処分理由には、人員配置や事業所所在地、給付費請求に関する問題など、複数の重大な内容が含まれていました。

その中で、個別支援計画に関して注目したいのが、サービス管理責任者本人が適切なアセスメントを行わず、他の従業者などが行った面談結果を基に、個別支援計画を作成していたとされた点です。

この事例は、個別支援計画が単に存在していればよいものではなく、その作成に至るプロセスまで問われることを示しています。

個別支援計画は、アセスメントの結果として作られる

個別支援計画を確認するとき、まず目に入るのは、作成日、同意日、署名、見直し期限などです。

これらは、いずれも必要な確認事項です。

ただし、形式が整っていることと、適切なプロセスを経て作成されていることは、同じではありません。

個別支援計画は、利用者本人の希望、心身の状況、生活環境、能力、課題などを把握し、その内容を評価したうえで作成されるものです。

そのため、計画書が完成していても、

  • なぜこの目標を設定したのか
  • どのような課題を改善しようとしているのか
  • 本人の希望がどこに反映されているのか
  • サービス管理責任者がどのように評価したのか

が分からなければ、計画の作成プロセスを十分に説明することは難しくなります。

他の職員から情報を集めることは問題ではない

今回の事例を見て、

「サービス管理責任者以外の職員は、利用者から話を聞いてはいけないのか」

と感じる方もいるかもしれません。

しかし、生活支援員や職業指導員が、日々の支援を通じて利用者の状況を把握し、その情報を共有すること自体が問題なのではありません。

現場の職員だからこそ気づける変化もあります。

例えば、

  • 最近、遅刻や欠席が増えている
  • 特定の作業では集中できている
  • 職員への相談が増えている
  • 他の利用者との関係に悩んでいる
  • 本人が新しい希望を話している

といった情報は、個別支援計画を作成・見直しするうえで重要です。

問題となるのは、他の職員が情報を把握することではなく、サービス管理責任者自身の把握や評価が不明確なまま、他の職員が聞き取った内容だけを基に計画が作成されている場合です。

他の従業者から得た情報を参考にすることと、サービス管理責任者が評価を行わず、他の従業者に任せきりにすることは、分けて考える必要があります。

サビ管本人の評価は、記録から読み取れるか

サービス管理責任者が面談を行っていれば、それだけで十分とは限りません。

大切なのは、面談や情報共有を通じて、サービス管理責任者が何を把握し、どのように評価したのかが分かることです。

例えば、アセスメント記録に、

本人と面談した。特に変化なし。

とだけ書かれていた場合、面談を行ったことは分かります。

しかし、この記録だけでは、

  • 本人が現在どのような生活を希望しているのか
  • 前回の計画から何が変わったのか
  • 現在の強みや課題をどう評価したのか
  • 今後どのような支援が必要と判断したのか

までは分かりません。

一方で、長い文章を書けばよいというものでもありません。

重要なのは、個別支援計画の目標や支援内容につながる情報と評価が残っていることです。

例えば、

一般就労を希望しているが、午前中の体調が安定せず、遅刻が増えている。本人は通所日数を減らしたくないと希望しているため、まずは体調を確認しながら安定した通所を継続できる方法を検討する。

このような記録であれば、

  • 本人の希望
  • 現在の状況
  • 課題
  • サービス管理責任者としての評価
  • 今後の支援の方向性

のつながりが分かります。

そのうえで、個別支援計画に、

体調の変化を把握しながら、週4日の安定した通所を目指す。

などの目標が設定されていれば、アセスメントの結果が計画に反映されていることを説明しやすくなります。

書類を並べたときに、流れが見えるか

個別支援計画とアセスメント記録を並べたときに、次の流れが読み取れるかどうかは、一つの確認ポイントになると考えます。

利用者本人の希望や現在の状況

サービス管理責任者による評価

支援目標

具体的な支援内容

この流れがつながっていれば、なぜその個別支援計画になったのかを説明しやすくなります。

反対に、アセスメントと計画の内容に関連がなかったり、サービス管理責任者としての評価が記録から読み取れなかったりする場合には、計画の作成過程が形式的になっている可能性があります。

確認すべきなのは、書類の文章量や見た目の整い方ではありません。

利用者本人の状況をどのように把握し、何を課題と評価し、どのような支援が必要だと判断したのか。

その流れを説明できるかどうかです。

おわりに|計画書の有無ではなく、作成プロセスを確認する

今回の指定取消し事例では、サービス管理責任者本人が適切なアセスメントを行わず、他の従業者などが行った面談結果を基に個別支援計画を作成していたことが、処分理由の一つとして挙げられました。

この事例から読み取れるのは、個別支援計画の有無だけではなく、サービス管理責任者が利用者本人の状況を把握・評価し、その評価を計画に反映したプロセスまで説明できることの重要性です。

実際の運営では、サービス管理責任者が現場業務や職員対応に追われ、アセスメントや計画作成に十分な時間を確保できないこともあります。

その結果、

  • 他の職員が聞き取った内容をそのまま使用する
  • 面談はしているが、評価の記録が残っていない
  • アセスメントと個別支援計画の内容がつながっていない
  • 誰がどこまで関与したのか曖昧になっている

といった状態が生じることがあります。

これらは、直ちに不正や指定取消しを意味するものではありません。

一方で、その状態が続けば、個別支援計画が実際の支援から離れ、書類として存在するだけのものになるおそれがあります。

行政書士田中慶事務所では、就労継続支援B型事業所を対象に、個別支援計画とアセスメント記録を確認し、サービス管理責任者による評価が計画に反映されているか、書類と実際の運用にずれがないかを整理するサポートを行っています。

書類の不足や空欄を確認するだけではなく、利用者本人への支援と記録が無理なくつながる運用を、事業所の状況に合わせて一緒に整理します。

個別支援計画の作成プロセスや、アセスメント記録との整合性に不安がある場合は、行政書士田中慶事務所の公式サイトをご覧ください。

記録と計画のつながりを、一度整理してみませんか

支援記録の書き方に迷う背景には、記録だけでなく、個別支援計画・モニタリング・日々の支援内容のつながりが整理できていないことがあります。

外部の視点で確認することで、「足りない部分」と「今のままでよい部分」を整理し、今後の記録・計画作成に活かしやすくなります。

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