就労継続支援A型・B型事業所では、日々多くの利用者を支援していますが、その現場ではこんな悩みがつきものです。
- 「突然の体調不良で休む人が多い」
- 「パニックや対人トラブルが発生して対応に追われる」
- 「スタッフ間で対応方針が共有されておらず、混乱が生じる」
このような突発的な問題や支援の難しさは、福祉現場にとって避けられないもの。しかし、適切な支援体制を整えることで、多くの問題は未然に防ぎ、迅速に対処することが可能です。
本記事では、現場でよく起こるトラブルとその背景を分析し、事業所全体でできる「支援体制づくり」のポイントをお伝えします。
なぜトラブル対応が難しいのか?
1. 突発的な体調不良や精神的パニックは予測困難
就労継続支援の利用者の多くは、精神障がいや発達障がい、知的障がいを抱えており、体調の波が激しい方も少なくありません。
「朝は元気だったのに、作業中に突然混乱し始めた」といったケースも日常的です。
2. 対応が属人的で、スタッフ間の認識にズレがある
利用者Aさんが不安定な時、あるスタッフは「休ませよう」と判断し、別のスタッフは「作業に戻らせるべき」と判断する。
このような対応のバラつきは、本人にも混乱を与えるだけでなく、スタッフの間にも摩擦を生みます。
3. 明確なマニュアルや連絡体制がない
「何かあったら所長に連絡」だけのような曖昧なルールでは、非常時に機能しません。
現場が混乱すると、結果的に対応の遅れや重大なトラブルにつながります。
支援体制づくりの3つの柱
1. 個別支援計画とリスクアセスメントの見直し
体調不良や行動の変化が起こりやすい利用者については、個別支援計画に「緊急時対応マニュアル」を加えることが重要です。
例:
- 〇〇さんが体調不良を訴えたら、作業中断し5分間の休憩→改善しない場合は自宅へ連絡
- △△さんが混乱を起こしたら、個室へ誘導→同じスタッフが対応→事後記録
ポイント
「もし〇〇が起きたら」というシナリオを先に書き込むことで、誰が対応しても一定の質が保たれます。
2. スタッフ間の情報共有と定例ミーティングの強化
スタッフ同士の認識を揃えることが、支援の質とスピードを決定づけます。
- 日報・引継ぎ記録のフォーマットを簡略・統一
- 週1回のケース共有ミーティングで「困っている利用者」について情報交換
3. 医療・家族・行政との連携体制を可視化する
トラブルが大きくなる前に、医療機関・家族・相談支援専門員・行政との連絡網を整えておくことがカギです。
- 「誰に・いつ・何を伝えるか」のルール化
- 緊急連絡先リストと対応マニュアルをファイルで常備
行政書士が支援体制づくりをどう支援できるか
1. 緊急対応マニュアル・記録様式の整備
行政書士は、支援体制の文書化・整備に強みを持ちます。
- トラブル時の報告書や対応履歴のテンプレート作成
- 個別支援計画との整合性チェック
- 実地指導に備えた書類整備支援
2. 外部との連携フローの策定と支援
連携に必要な文書(覚書・連携協定書)や情報共有ルールの策定もサポート可能です。
- 医療機関や相談支援との情報連携の書式
- 支援会議の議事録フォーマット
- 緊急時連絡体制図の作成支援
まとめ|「備える支援体制」が、現場を守る
福祉現場では、利用者の心身の変化に柔軟に対応することが求められます。
しかし、その柔軟さは「ルールと備え」によって支えられてこそ機能するものです。
- 個別支援計画に緊急対応を組み込む
- 情報共有を定例化し、属人化を防ぐ
- 外部との連携体制を文書で可視化する
こうした体制づくりが、支援の質とスタッフの安心感を高める最短ルートです。
支援体制の整備・文書化は行政書士にご相談ください
福祉現場の混乱やトラブルに備えた体制づくり、文書整備、行政との連携にお困りではありませんか?
当事務所では、就労支援事業所の実情に合わせたマニュアル整備・記録書式作成・相談支援との連携支援を行っています。
「備えが足りないかも…」「トラブルが不安…」という事業所さまは、ぜひ一度ご相談ください。
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