新年度の2週目、管理者やサービス管理責任者(サビ管)の皆様が現在進行形で向き合っているのが、**「個別支援計画の年度更新」**ではないでしょうか。
「前年度と似たような内容になってしまう」
「モニタリングの結果をどう計画に反映させればいいか迷う」
個別支援計画の年度更新は、単なる書類の作り直しではありません。前年度の支援を言語化し直し、自らの支援を振り返る**「セルフ内部監査」の機会**でもあります。
こんにちは。行政書士の田中慶です。
私は普段、事業所のコンプライアンスや書類の「整理」をお手伝いしていますが、個別支援計画は実地指導(運営指導)において、アセスメントから記録に至るまでの「一貫性」が厳しく確認される重要な場所です。
今回は、前年度の成果を無駄にせず、スムーズに次年度の計画を作るための3つのコツを整理します。
1. モニタリング結果を「目標」へつなぐ書き方
計画更新で最も大切なのは、**「なぜこの目標になったのか?」という根拠(エビデンス)**です。前年度末のモニタリング結果を、次年度の目標へスライドさせる際の具体的な書き方例を紹介します。
【例文:就労継続支援B型の場合】
- 前年度のモニタリング結果: 「通所頻度が月2回まで安定し、集中時間が30分から45分へ延びた。一方で、工程の変更があると混乱が見られる。」
- 次年度の目標(書き方): 「安定した通所を維持しつつ、スモールステップで新しい作業工程の習得に挑戦し、状況変化への適応力を養う。」
【例文:放課後等デイサービスの場合】
- 前年度のモニタリング結果: 「身の回りの準備が自立してきた。集団活動では、言葉が出ずに手が出てしまう場面が月数回残っている。」
- 次年度の目標(書き方): 「身の回りの自立を定着させるとともに、対人関係において『貸して』などの代替手段を職員と一緒に練習し、適切な表出を促す。」
整理の視点: 前年度の「できたこと」を土台にし、「次に必要な一歩」を前年度の課題から抽出する。この**「縦のつながり」**が、実地指導でも納得感を与える計画書を作ります。
2. 様式を横断する「キーワード」を揃える
アセスメント、個別支援計画、日々の支援記録、そしてモニタリング。これらの様式がバラバラの言葉で書かれていると、書類の一貫性が疑われるリスクがあります。
- アセスメント: 「今の課題」
- 個別支援計画: 「解決への道筋」
- 日々の支援記録: 「道中の経過」
- モニタリング: 「振り返り」
この4つで、同じ「キーワード」を意識的に使い回すことがコツです。 例えば、アセスメントで「体調管理」を挙げたなら、計画も記録もモニタリングも「体調管理」という軸で統一します。これにより、誰が読んでも支援の意図が伝わる「構造」が出来上がります。
3. 「本人の意向」を形式的にしない
年度更新で陥りがちなのが、前年度の意向をそのまま残してしまうこと。1年経てば、本人の価値観や意欲も変化しています。
- コツ: 面談の際、「去年と同じでいい?」と聞くのではなく、**「この1年で、自分の中で『これ頑張ったな』と思うことは何?」「次は、どんな自分になりたい?」**と、今のポジティブな感情を引き出す質問を投げかけてみてください。
本人の「生きた言葉」が計画書の一行目にあるだけで、書類は血の通った「本人のための地図」へと変わります。
整理の視点:計画書は「支援を証明する根拠」
個別支援計画が正しく整備されていることは、実地指導対策だけではありません。 万が一、事故やトラブルが起きた際、「私たちは本人の意向に基づき、このような計画で支援を行っていた」という正当性を証明する重要な根拠資料となります。
私自身、支援を受ける立場として感じてきたのは、自分の未来が丁寧に言語化されている計画書を目にした時の、「自分のことを分かってもらえている」という心強さでした。
まとめ|新年度は「気合い」ではなく「構造」で書く
個別支援計画の更新は、サビ管の皆様にとって最もパワーを使う業務の一つです。だからこそ、前年度の記録を「資源」として活用し、効率的かつ質の高い構造を作り上げましょう。
新年度は「気合い」で乗り切るものではなく、「構造」で安定させるもの。
- 「今の計画書の書き方で、実地指導をクリアできるか不安」
- 「モニタリングと計画のつながりを、もっと論理的に整理したい」
- 「職員全員が同じ視点で記録を書けるような、仕組みを作りたい」
そのような場合、もしよければ頼ってください。
