B型事業所で作業が足りないときに確認したい3つのこと|受注前の支援・収支・体制

就労継続支援B型事業所の運営では、利用者に提供する作業の確保が課題になることがあります。

開設当初は仕事の量が足りない。受注できても季節によって作業量が変動する。特定の取引先に依存しており、契約が終わると一気に仕事がなくなる。

こうした状況になると、すぐに新しい営業先を探したくなるかもしれません。

しかし、B型事業所の作業は、単に売上をつくるための仕事ではありません。

利用者の就労機会として適切か、生産活動として収支が成り立つか、職員が安全かつ継続的に支援できるかを確認したうえで受注する必要があります。

今回は、作業不足に悩むB型事業所が、新しい仕事を探す前に確認したい3つのポイントを整理します。

目次

1.利用者の特性と支援目標に合う作業か

最初に確認したいのは、その仕事が利用者にとって適切な作業になるかどうかです。

発注元から見れば、決められた品質と納期で仕事が完了することが重要です。

一方、B型事業所では、作業を通じて利用者の知識や能力の維持・向上を支援するという視点も欠かせません。

例えば、作業を検討するときには、次のような点を確認します。

  • 現在の利用者が無理なく取り組めるか
  • 作業工程を分けて、複数の利用者が参加できるか
  • 利用者ごとの得意・不得意に応じて役割を調整できるか
  • 作業を通じて、集中力や手順理解などの向上を支援できるか
  • 安全面や衛生面に問題がないか
  • 利用者の個別支援計画と矛盾しないか

作業量を確保することだけを優先すると、一部の利用者しか参加できない仕事や、職員がほとんど処理しなければならない仕事を受注してしまうことがあります。

受注前に、想定する作業工程と、利用者・職員それぞれの役割を整理しておくことが大切です。

2.生産活動として収支が成り立つか

B型事業所の工賃は、生産活動に係る事業収入から、生産活動に必要な経費を控除した額を原資として支払います。

そのため、仕事があることと、工賃の原資を確保できることは同じではありません。

売上が増えても、材料費、運搬費、外注費などが大きければ、工賃として支払える金額はほとんど残らない可能性があります。

新しい仕事を受注する前には、少なくとも次の項目を確認します。

  • 受注単価
  • 予定数量
  • 材料費や資材費
  • 商品・材料の運搬費
  • 納品に必要な費用
  • 不良品ややり直しが出た場合の負担
  • 作業に必要な設備や備品
  • 入金までの期間
  • 作業量が増減した場合の条件

特に注意したいのが、単価だけを見て判断することです。

一個当たりの単価が低くても、作業が単純で多くの利用者が参加できる仕事なら、事業所に合う可能性があります。

反対に、単価が高くても、職員による修正や検品に時間がかかり、利用者が参加できる工程が少ない仕事は、継続が難しいことがあります。

受注前に、一定数量を想定した簡単な収支計算を行っておきましょう。

3.納期と品質を守れる体制があるか

作業内容が利用者に合い、収支も成り立つとしても、納期と品質を安定して守れなければ継続受注にはつながりません。

B型事業所では、利用者の出席状況や体調によって、日ごとの作業量が変わることがあります。

そのため、最大限に作業できる場合ではなく、欠席者や体調不良者が出た場合も想定して受注量を決める必要があります。

確認したいのは、次のような点です。

  • 誰が作業方法を教えるのか
  • 誰が進捗を管理するのか
  • 誰が検品するのか
  • 不良や不足があった場合、誰が発注元へ連絡するのか
  • 利用者の欠席が重なっても納期を守れるか
  • 担当職員が不在でも作業を継続できるか
  • 作業手順を文書や写真で共有できているか

一人の職員だけが作業方法や取引先との約束を把握している状態では、その職員が休んだときに業務が止まります。

作業手順書、検品表、納品までの工程表などを用意し、職員間で共有しておくことが重要です。

営業先を探すときは「できる作業」を具体化する

事業所内の整理ができたら、営業先を検討します。

相談先や営業先としては、商工会議所・商工会、自治体の産業振興窓口、地域の事業者団体、共同受注窓口、他の就労支援事業所などが考えられます。

ただし、「何か仕事はありませんか」と尋ねるだけでは、相手も仕事を提案しにくいものです。

営業する際には、次の情報をまとめておくと伝わりやすくなります。

  • 対応できる作業
  • 一日に対応できる数量
  • 得意な工程
  • 対応が難しい作業
  • 納期の目安
  • 検品体制
  • これまでの実績
  • 商品や資材の受渡し方法

「袋詰めができます」だけでなく、「一日当たり何個程度まで対応できるか」「検品はどのように行うか」まで示すことで、発注側も具体的に検討しやすくなります。

受注する仕事は定期的に見直す

一度受注した仕事でも、継続するうちに利用者の構成や職員体制が変わることがあります。

そのため、定期的に次の点を振り返る必要があります。

  • 利用者が無理なく参加できているか
  • 特定の利用者や職員に負担が集中していないか
  • 作業による成長や変化を確認できているか
  • 不良品や納期遅れが増えていないか
  • 生産活動収支が悪化していないか
  • 特定の取引先への依存度が高くなっていないか

仕事を確保することは重要ですが、受注した仕事を続けること自体が目的になってはいけません。

利用者支援、生産活動収支、職員体制の三つを確認しながら、現在の事業所に合う作業かどうかを見直していくことが大切です。

まとめ

B型事業所で作業が足りないときは、営業先を増やすことだけを考えるのではなく、まず事業所内の状況を整理する必要があります。

確認したいのは、次の3点です。

  1. 利用者の特性や支援目標に合っているか
  2. 生産活動として収支が成り立つか
  3. 納期と品質を守れる体制があるか

この三つが整理できていれば、事業所の強みや対応可能な作業を、発注先にも具体的に説明しやすくなります。

作業不足は、単なる営業上の問題ではありません。

個別支援計画、日々の支援記録、職員の役割分担、生産活動収支など、事業所運営全体を見直すきっかけにもなります。

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