成年後見制度と任意後見制度の違いと選び方。行政書士が教える安心の支援制度活用法

※この記事は行政書士事務所の開業準備中に執筆したものです。

現在は大阪市中央区で行政書士事務所を開業し、
障がい福祉事業所の運営支援・開業支援を行っています。

内容は2026年8月時点の制度に合わせて確認・更新しています。

目次

はじめに:後見制度とは何か?

成年後見制度や任意後見制度は、判断能力が不十分な方が安心して生活し、財産を守るための法律上の仕組みです。高齢化や障がいのある方の生活支援として重要視されており、親御さんや本人が将来に備える際に知っておきたい制度です。

これらは本人の判断能力の程度や状況に応じて、最適な支援を提供します。制度の内容や使い方を理解し、適切に選ぶことが安心した暮らしへの第一歩です。

成年後見制度とは?

法定後見制度の種類

成年後見制度は大きく分けて「法定後見制度」と「任意後見制度」があります。ここではまず、法定後見制度について説明します。

法定後見制度は、本人の判断能力が低下し、すでに判断が難しくなっている場合に、家庭裁判所が後見人などの支援者を選任します。3つの類型があります。

  • 後見(判断能力が欠けているのが通常の状態の場合)
    成年後見人が、本人に代わって財産管理や契約などの法律行為を行ったり、本人が行った一定の法律行為を取り消したりして支援します。
  • 保佐(判断能力が著しく不十分な場合)
    保佐人が、法律で定められた重要な行為について同意したり、必要に応じて代理権を付与されて支援します。
  • 補助(判断能力が不十分な場合)
    本人の同意を前提として、家庭裁判所が定めた特定の法律行為について補助人に同意権や代理権を付与して支援します。

利用の流れとメリット・デメリット

法定後見は家庭裁判所に申し立てを行い、審判によって後見人が選ばれます。本人のために財産管理や契約などの法的手続きを代行することができ、詐欺被害などから守る役割も担います。

しかし、裁判所の関与が強く、申立てや審判に時間がかかる場合があり、後見人の行動も裁判所の監督下に置かれます。また、費用もかかります。

任意後見制度とは?

任意後見契約の概要

任意後見制度は、本人がまだ判断能力が十分にある元気なうちに、自分で信頼できる人(任意後見人)を選び、公正証書で契約を結ぶ制度です。

将来、判断能力が低下した際に、その契約に基づいて任意後見人が本人の財産管理や生活支援を行います。任意後見はあらかじめ本人の意思を尊重できる仕組みです。

利用の流れとメリット・デメリット

本人が元気なうちに契約を結び、必要になった時点で家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申請します。発動まで本人の自由が保たれ、契約内容も柔軟に決められます。

一方で、まだ判断能力が十分あるうちに契約を結ばなければならず、発動条件や内容によってはトラブルの元になることもあります。

成年後見制度と任意後見制度の違いを比較

項目法定後見制度任意後見制度
開始の仕組み家庭裁判所の審判により開始本人があらかじめ公正証書で任意後見契約を締結
利用の時期判断能力が不十分になった後判断能力が十分なうちに契約し、判断能力が不十分になった後に発効
支援者家庭裁判所が成年後見人・保佐人・補助人を選任本人が任意後見受任者をあらかじめ選ぶ
監督家庭裁判所による監督家庭裁判所が選任した任意後見監督人が監督
申立て本人、配偶者、四親等内の親族などが申立て本人、配偶者、四親等内の親族、任意後見受任者が任意後見監督人の選任を申立て

判断能力がすでに不十分になっている場合は、法定後見制度の利用を検討します。

一方、まだ十分な判断能力があり、将来判断能力が低下した場合に備えて、誰にどのような事務を任せるかを自分で決めておきたい場合には、任意後見制度が選択肢となります。

どちらの制度が適しているかは、本人の判断能力、希望、財産や生活状況、支援体制などを踏まえて検討する必要があります。

成年後見・任意後見を考えるときの専門家への相談

成年後見制度には、家庭裁判所への申立てが必要となる法定後見と、判断能力が十分なうちに公正証書で契約を結ぶ任意後見があります。

法定後見の申立てや任意後見監督人選任の申立てについて専門的な支援が必要な場合は、弁護士や司法書士など、裁判所提出書類を取り扱うことができる専門家への相談を検討しましょう。

一方、行政書士は、本人の将来の希望や生活設計を整理し、任意後見契約や遺言、死後事務委任など、将来の備えに関する制度を検討する際の相談や、行政書士の業務範囲での契約書・公正証書作成支援を行うことができます。

まとめ|将来の備えは、本人の意思を確認できるうちから考える

法定後見制度と任意後見制度は、どちらも判断能力が不十分になった方を法律面から支えるための制度ですが、利用する時期や支援者の決まり方、手続きが異なります。

すでに判断能力が不十分な場合には法定後見制度を、判断能力が十分なうちから将来に備えたい場合には任意後見制度を検討することになります。

特に任意後見は、本人が誰に何を任せたいのかをあらかじめ考え、公正証書による契約として準備しておく制度です。遺言や財産管理、死後の手続きなども含め、将来の備えを早めに整理しておくことが大切です。

将来の生活や財産管理について、今のうちから整理しておきたい方へ

任意後見、遺言、死後の手続きなど、将来への備えは一つの制度だけで考えるのではなく、ご本人やご家族の状況に合わせて整理することが大切です。

行政書士田中慶事務所では、障がいのある方・ご家族の現在の状況や希望を確認し、行政書士の業務範囲で利用できる制度や将来準備の方法を一緒に整理します。

👇👇👇👇👇👇👇👇👇👇👇👇👇関連記事はこちら👇👇👇👇👇👇👇👇👇👇👇👇👇

役に立ったら、ぜひシェアしてください
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

大阪市を拠点に、障がい福祉事業所の記録・個別支援計画、運営書類、法定研修、制度対応などの整理と運用を支援する行政書士です。
自身の福祉サービス利用経験と福祉現場での経験を踏まえ、制度の内容を解説するだけでなく、事業所、ご本人、ご家族が「次に何を確認し、どう動けばよいか」を分かりやすく整理することを大切にしています。
本ブログでは、障がい福祉の制度改定、事業所運営、支援記録、個別支援計画、親なきあとに関する制度・法務などについて、現場で役立つ視点から発信しています。

目次