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起業は特別じゃなくてもいい ── 障がい者として働く“もう一つの選択肢”

目次

「起業」って、そんなに遠い選択肢ですか?

障がい者の就労支援制度は年々充実していて、「A型」「B型」「就労移行支援」「生活介護」「障がい者雇用」「特例子会社」など、いくつもの選択肢があります。
でも――ふと、こんなことを思うんです。

「その中に、“起業”って入ってますか?」

正直に言えば、僕自身、障がい当事者でありながら行政書士という資格に出会わなければ、「起業」という言葉は人生の選択肢にすら入っていなかったと思います。
起業って、何かすごいスキルがある人とか、エネルギーに満ちた“特別な人”の世界だと思っていた。きっと今でも、多くの障がい当事者や支援者の中で、「起業」は“別世界の話”なんじゃないでしょうか。

支援制度は「マイナスをゼロにする」ための設計が多い

障がい者支援の制度って、憲法にある「健康で文化的な最低限度の生活」に基づいていて、
言い換えれば「日常生活や就労のハードルを“普通に近づける”こと」が目的になっているものが多いんですよね。

そのこと自体は、ありがたいし大切なことです。
でも、同時にこんなことも感じています。

「“ゼロ”から“プラス”に行くとき、支援の手が一気に見えなくなることがある」

たとえば、就労継続支援B型で週に3日通っていた人が、「もっと働けるかも」とA型や一般就労を目指すときには支援がある。
でも、「もっと自由に、自分の好きな形で働いてみたい」と“起業”を考えた瞬間に、突然情報がなくなる、そんなことってありませんか?

「起業」は、もっと身近であっていい

たとえば、プールで水泳している人の多くは「ダイエット」「健康維持」「リハビリ」のために泳いでいます。
オリンピックに出ようとしてる人なんて、ごく一部ですよね。

でも「泳いでみようかな」って思ったときに、「あなた、オリンピック選手じゃないんだから無理だよ」なんて誰も言わない。

それと同じように、「起業」も、特別なゴールを目指す人だけのものじゃなくていいと思うんです。
月に数万円の利益でもいい。週2日しか稼働できなくてもいい。自分のペースで、自分らしくできる“仕事の形”があってもいい。

起業は「大きく稼ぐための手段」だけじゃなくて、
「自分らしく働くための方法」のひとつでもある。

そう考えたら、障がいのある方にとっても、起業は決して特別な選択肢ではないはずです。

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「起業したい」と言っていい社会へ

誰かが「起業してみたい」と思ったときに、それを「無理でしょ」とか「ちゃんと働けないのに?」なんて言う空気じゃなく、

「どんな形でやりたいの?」
「少しずつ準備してみようか」

そんな風に寄り添える社会になればいい。
その第一歩として、「起業って選択肢もあるよ」と誰かが声に出すことが大切だと思っています。

僕が“伴走者”でありたい理由

行政書士という仕事は、書類や制度のプロではあるけど、僕自身が当事者であることで、
制度に詳しいだけじゃない、“ピア”としての支え方」ができるんじゃないかと思っています。

起業って、事業計画・資金・手続き・制度活用・誰に相談するか…など、いろんなハードルがあります。
でも、それを一つずつ一緒に整理しながら、“あなたらしい起業”を目指す
その過程で、「自分にもできるかもしれない」と思ってもらえる。
そんな伴走者でいられたら、僕はとても幸せです。

最後に──起業が「思い浮かぶ社会」になりますように

起業は、特別な人だけの道じゃない。
障がいがあっても、特別な才能がなくても、目立つ実績がなくても、
「やってみたい」と思えたなら、それはもう“十分すぎる資格”だと思う。

起業が“自然と頭に浮かぶ”選択肢になるように。
そのとき、そばでそっと背中を押せる存在でありたい。

それが、障がい当事者として行政書士になった僕の、静かな願いです。

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📝 この記事を書いた人
行政書士 田中慶

私自身、障がい者福祉サービス(A型・B型事業所)を利用していた経験があります。

「制度はわかったけど、うちの場合はどうすればいいの?」
「現場の実際を知りたい」

そんな“制度と現実の間”で迷っている方の相談相手として、利用者側と支援者側、両方の視点を持つピア行政書士として、一緒に最適な道を探します。

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