障がい者が就職活動を始めるときに、まずどういった環境でお仕事をされたいかによっておもに「一般就労(クローズ)」「障がい者雇用」「特例子会社」「A型事業所」の4つの選択肢があります。
筆者は、4つのうち、特例子会社を除く3つの働き方を経験しました。
それぞれの選択肢について、メリット・デメリットを具体的に整理してご説明します。
1. 一般就労(クローズ)
※「クローズ就労」とは、自分の障がいについて会社に伝えずに、一般枠で働く形です。
メリット
- 障がいを開示しないため、一般社員と同じ扱い・待遇で働ける(給与水準や昇進のチャンスなど)。
- 企業の選択肢が広がる(障がい者枠に限定されない)。
- 自立・独立を強く意識した働き方が可能。
デメリット
- 合理的配慮が受けられない(障がいに配慮した業務調整や休憩などがない)。
- 障がいに起因する困難が生じた際、職場での理解が得られにくい。
- 就労継続が難しくなる可能性がある(環境が合わないと離職リスクが高まる)。
2. 障がい者雇用(オープン就労)
メリット
- 障がいを開示したうえで雇用されるため、必要に応じて「合理的配慮」が受けられる。
- 支援機関(就労移行支援など)と連携しながら、長期的な就労を目指せる。
- 労働時間や業務内容に配慮された職場も多い。
デメリット
- 一般雇用に比べて、給与水準や昇進のチャンスが限定的なことがある。
- 担当業務が単調になりやすい(特に大企業では業務分担が明確なため)。
- 「障がい者雇用枠」として見られることに対するストレスや不満が出る場合もある。
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3. 特例子会社
※特例子会社とは、障がい者雇用に特化して設立された企業のグループ会社です。
メリット
- 障がいに対する理解が非常に高い環境。
- 支援員・ジョブコーチなどが常駐しており、働きやすい体制が整っている。
- 同じような立場の社員が多く、仲間意識や安心感が得られる。
- 本社との連携により、一定のスキルアップやキャリア形成も可能な場合がある。
デメリット
- 一般企業に比べると、給与水準が低めであることがある。
- 一般就労に比べて責任のある仕事が少ない場合もある。
- 特定の業種・業務に偏っていることがある(軽作業、庶務的な業務など)。
4. A型事業所(就労継続支援A型)
メリット
- 雇用契約を結ぶ福祉的就労で、最低賃金以上の給与が保障される。
- 働くことに慣れる・体力をつける・スキルを身につける段階として適している。
- 支援員のサポートがあり、日々の業務や生活リズムの安定化が図れる。
- 他の職場に移行するための訓練の場として利用可能。
デメリット
- 一般雇用に比べて給与が低い(最低賃金程度が多い)。
- 長期的なキャリア形成にはつながりにくい(転職・ステップアップが必要)。
- 一部のA型事業所では、業務内容が単調・軽作業中心なことも。
- 雇用契約はあるが、企業就労とは性質が異なるため「福祉的」と見られる側面もある。
まとめ:選ぶポイント
| 選択肢 | 向いている人の例 |
|---|---|
| 一般就労(クローズ) | 障がいの影響が軽度/サポートなしでも働ける自信がある |
| 障がい者雇用 | 働きながら安定した環境・配慮を求める人/自立を目指す人 |
| 特例子会社 | 障がいへの配慮が必要/理解ある環境で働きたい人 |
| A型事業所 | 就労経験が浅い/体力や生活リズムを整える段階の人 |
それぞれの働き方に、メリット・デメリットはありますが、まずは、ご自身の心身の状況を把握して、かかりつけ医に相談しながら、一歩目を踏み出してみてください。
また、現在は、いろいろと相談機関が充実してきています。以下に挙げる相談機関を利用するのもよいと思います。
- ハローワーク(障がい者雇用・特例子会社・A型事業所の求人情報もあり、障がい者専用窓口で、相談することも可能です)
- 就職エージェント(障がい者専用の就職エージェントもいくつかあります。登録すると、面談を行い、ご自身の希望に合った就職先を紹介していただけたり、履歴書などの添削も行っていただけるサービスもあります)
- 就労移行支援事業所(就職を目指す方のサポートをする通所施設になります。ご自身の体調を整えながら、就職先の紹介や、職場体験、社会人としてのマナーや就職に向けての課題など相談しながら、就職に向けて準備することが可能です)
私自身の経験上、どのような就職先を選択しても、ご自身の心身の健康の維持が一番大切になってくると思います。その為にも、ご自身にあった環境をきちんと把握すること、あってないときには、ご自身の体調を一番に考えて決断することが重要かと思います。
就職や転職は、人生にとって大きな分岐点です。どういった選択肢がよいか、一緒に考えていきませんか?
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私自身、障がい者福祉サービス(A型・B型事業所)を利用していた経験があります。
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そんな“制度と現実の間”で迷っている方の相談相手として、利用者側と支援者側、両方の視点を持つピア行政書士として、一緒に最適な道を探します。
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