※この記事は行政書士事務所の開業準備中に執筆し、2026年8月時点の制度・実務に合わせて内容を確認・更新しています。
現在は大阪市中央区で行政書士事務所を開業し、障がい福祉事業所の運営支援・開設支援を行っています。
障がいのある方の働き方には、一般枠で障がいを開示せずに働く方法、障がいを開示して働く方法、特例子会社で働く方法、就労継続支援A型を利用して働く方法などがあります。
筆者は、このうち特例子会社を除く3つの働き方を経験しました。
それぞれの特徴は勤務先や本人の状況によって異なります。ここでは、働き方を検討する際の一般的な違いを整理します。
1. 一般就労(クローズ)
1. 一般枠で障がいを開示せずに働く場合
一般に「クローズ就労」と呼ばれる、障がいがあることを勤務先へ伝えずに一般枠で働く方法です。
考えられるメリット
- 障がい者雇用枠に限定せず、幅広い求人へ応募できる
- 障がいに関する情報を勤務先へ伝えずに働ける
- 職種、賃金、昇進などについて一般枠の採用条件で選考を受けられる
考えられる注意点
- 勤務先が障がいや必要な配慮を把握できないため、障がいに応じた合理的配慮を受けにくい
- 通院、休憩、業務量などについて配慮を求める際に、一定の事情を説明する必要が生じることがある
- 体調悪化や業務上の困難が生じた場合に、一人で抱え込みやすい
障がいを開示しない場合でも、一般社員と同じ給与や昇進が保証されるわけではありません。実際の待遇は、職種、雇用契約、能力、勤務先の制度などによって決まります。
2. 障がいを開示して雇用される場合
障がい者雇用枠への応募など、障がいがあることを勤務先へ伝えたうえで雇用される働き方です。
考えられるメリット
- 障がいの特性や本人の希望を踏まえ、必要な合理的配慮について勤務先と話し合いやすい
- 勤務時間、通院、休憩、業務内容、指示方法などについて配慮を受けられる場合がある
- ハローワーク、就労移行支援事業所、障害者就業・生活支援センター、ジョブコーチなどと連携できる場合がある
考えられる注意点
- 障がい者雇用枠の求人は、地域や希望職種によって選択肢が限られる場合がある
- 担当業務やキャリア形成の仕組みは勤務先によって大きく異なる
- どのような配慮が必要かを、勤務先と継続的に調整する必要がある
障がい者雇用だから一律に給与や昇進の機会が低いわけではありません。障がいを理由として、賃金、配置、昇進、教育訓練などについて差別的な取扱いをすることは禁止されています。
3. 特例子会社
特例子会社とは、一定の要件を満たし、障がい者雇用率の算定において親会社と同一の事業主として取り扱うことについて、厚生労働大臣の認定を受けた子会社です。
考えられるメリット
- 障がい者の雇用を前提とした設備や勤務体制が整えられている場合がある
- 障がい特性に配慮した業務設計や相談体制が用意されている場合がある
- 同じ会社で障がいのある社員が複数働いていることによる安心感を得られる場合がある
考えられる注意点
- 業務内容、賃金、昇進、配置転換、親会社との人事交流などは会社ごとに異なる
- 特例子会社であることだけで、支援員やジョブコーチの常駐が保証されるわけではない
- 希望する職種や勤務地の求人が常にあるとは限らない
ジョブコーチによる支援は、職場への適応に課題がある場合などに、本人と企業の状況に応じて実施される支援です。すべての特例子会社にジョブコーチが常駐する制度ではありません。
4. 就労継続支援A型
就労継続支援A型は、一般企業などで働くことが難しい障がいのある方が、事業所と雇用契約を結び、必要な支援を受けながら働く障害福祉サービスです。
考えられるメリット
- 雇用契約に基づいて働き、労働関係法令の適用を受ける
- 職業指導員や生活支援員などによる支援を受けながら働ける
- 働くための生活リズム、体力、知識、能力を身につけられる場合がある
- 本人の希望や状況に応じて、一般就労への移行を目指すこともできる
考えられる注意点
- 勤務時間、賃金、仕事内容は事業所によって異なる
- 利用には市区町村による障害福祉サービスの支給決定が必要
- 雇用契約を結ぶ労働者であると同時に、障害福祉サービスの利用者でもある
- 一般就労への移行時期や進め方は、本人の希望や支援計画によって異なる
A型事業所の利用者にも、原則として最低賃金が適用されます。ただし、使用者が都道府県労働局長の許可を受けた場合には、個別に最低賃金の減額の特例が適用されることがあります。そのため、「すべての場合に最低賃金以上が保証される」とする表現は正確ではありません。
まとめ:働き方を選ぶポイント
- 障がいや必要な配慮を勤務先へ開示するか
- どのような合理的配慮が必要か
- 希望する職種、勤務時間、賃金、勤務地
- 通院や体調管理と仕事を両立できるか
- 福祉サービスとしての支援が必要か
- 将来的にどのような働き方を目指したいか
同じ働き方であっても、職場や事業所によって仕事内容、配慮、支援体制、賃金、職場環境は異なります。
名称だけで判断せず、求人票、雇用条件、見学、職場実習、面接などを通じて、自分に合う環境かを確認することが大切です。
働き方に迷ったときは、ハローワーク、障害者就業・生活支援センター、就労移行支援事業所、相談支援事業所などへ相談する方法があります。
どの働き方を選ぶ場合でも、本人の心身の健康を守りながら、無理なく働き続けられる環境を選ぶことが重要です。
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