「作業量が足りず、工賃が上がらない…」
「新しい仕事を受注できない…」
「生産性を上げる仕組みが整っていない…」
これは、全国の就労継続支援A型・B型事業所で多く聞かれる悩みです。
工賃の向上は利用者の満足度・地域からの信頼・加算取得にも関わる重要テーマです。
本記事では、就労機会の確保と工賃向上のために、事業所が取るべき具体的な対策を、行政手続きの観点も交えてわかりやすく解説します。
目次
なぜ「工賃が上がらない」状況に陥るのか?
工賃が上がらない理由は単純に「作業がない」「利益が出ない」というだけではありません。
原因① 仕事の受注が安定しない
- 地元企業との取引ルートが少ない
- 季節限定・単発の作業が多く、年間を通じた安定受注が難しい
原因② 生産体制・品質管理の弱さ
- 作業工程にムラがあり、納期に間に合わないことがある
- 品質トラブルがあり、再受注につながらない
原因③ 商品・サービスの売上が伸びない
- 内職や自主製品の販売チャネルが限定的
- 「商品として魅力があるか?」というマーケティング視点の欠如
工賃向上のために事業所ができる4つの戦略
1. 企業との連携強化で就労機会を拡大
地元企業への営業活動を“法人として”戦略的に行う
- 福祉的視点だけでなく「品質・納期・継続性」を重視した営業資料を作成
- 商工会議所・業界団体・地域のマッチングイベントへの参加を検討
社会貢献の文脈で企業にアプローチ
- 「SDGs」や「障害者雇用の一環」としてCSR1)の文脈から提案
- 業務委託だけでなく、共同開発やOEM2)の可能性も視野に
1)企業の社会的責任:企業活動において、社会的公正や環境などへの配慮を組み込み、従業員、投資家、地域社会などの利害関係者に対して責任ある行動をとるとともに、説明責任を果たしていくことを求める考え方
2)相手先ブランド名製造:委託を受けて他者ブランドの製品を製造すること
2. 生産体制と業務プロセスの見直し
工程管理と品質管理の標準化
- マニュアル整備と職員・利用者の役割分担を明確に
- 納期・数量・品質の記録を数値化し、改善PDCAを回す
リーダー的利用者の育成
- 経験のある利用者に工程リーダーや検品係を任せることで、生産性と責任感が向上
3. 自主製品・サービスのブランド化
商品開発と販売チャネルの拡大
- 地域の名産品とコラボした加工品
- オンライン販売(BASE・STORESなど)
- 福祉イベントやマルシェ出店による認知向上
デザイン・価格・プロモーションの見直し
- プロのデザイナーやコンサルと連携して「売れる商品」に
- 製造原価と利益率を見直し、持続可能な価格設定を目指す
4. 加算の取得と有効活用
工賃向上計画の策定とPDCA
- 工賃向上計画を形だけにせず、具体的な目標設定と実施記録を残す
- 職員・利用者・企業の声を取り入れた改善計画を定期的に見直す
工賃実績報告と自治体評価への対応
- 加算取得の前提となる工賃実績の正確な集計
- 自治体による指導・監査に備えて業務記録や帳簿の整備が不可欠
行政書士ができること|制度と書類の専門家が支援します
「営業や商品開発はわかるけど、加算や計画書の作成は不安…」という声も多く聞かれます。
行政書士は、以下のような業務で事業所の工賃向上を間接的に支援します。
工賃向上計画書・加算要件の整備
- 年度ごとの工賃向上計画の策定・更新支援
- 工賃実績報告書の書き方や帳簿整理の助言
営業資料や提案書の法的確認
- 地元企業に提出する委託契約書・提案資料のリーガルチェック
- 個人情報や製造責任を明確にした業務契約書の作成
補助金・助成金の申請支援(事業開発に活用)
- 自主製品開発や新サービス展開に使える補助金情報の提供
- 申請書の作成やスケジュール管理のサポート
まとめ|事業所の経営力が工賃に直結する時代へ
利用者にとって「やりがいのある仕事」「生活を支える収入」は、事業所選びの大きなポイントです。
そして工賃向上は、法人としての戦略・営業力・業務管理体制が問われる時代になっています。
とはいえ、全てを一人で抱える必要はありません。
専門家と連携しながら、着実な改善を積み重ねることが、安定経営と利用者満足のカギとなります。
工賃向上・加算取得・法人経営でお悩みの方へ
- 工賃向上計画の作成支援
- 契約書・体制届出の整備
- 商品販売や業務委託に関する法務アドバイス
- 補助金申請支援(創業・設備・販路開拓)
以上については、障がい者福祉専門としている行政書士へご相談ください。
「行政書士田中慶事務所(開設申請準備中)ホームページはこちら」