はじめに:親として「この子の居場所」をどう守るか
障がいのあるお子さんを持つ親御さんにとって、将来的に「親なきあと」の生活がどうなるかは大きな不安の一つです。特に、障がいが重い場合や、支援が必要な生活環境の整備は、早めに考えて準備を進めることが重要です。
自宅での支援には限界があり、親が高齢化すると十分なサポートが難しくなることもあります。そうした背景から、グループホームや入所施設への入居を検討される方が増えています。しかし、入居方法や費用の面でわからないことが多く、相談できる相手も少ないという声が多く聞かれます。
この記事では、グループホームや入所施設の基本的な仕組み、入居の流れ、費用面のポイントをわかりやすく解説します。将来に備えた住まいの選択肢を理解し、不安を少しでも軽減するお手伝いができれば幸いです。
障がい者向けグループホームとは?
概要と目的
グループホームは、障がいのある方が地域社会の中で自立した生活を送るための共同生活の場です。複数名が同じ住宅や施設で生活しながら、スタッフによる支援を受けることができます。
主に知的障害や精神障害のある方を対象としており、日常生活のサポートや社会参加の支援が行われます。自宅で一人暮らしをするのが難しい場合や、親の支援が困難になった時の受け皿として機能しています。
利用対象と条件
グループホームの利用には、障害支援区分や障害の種類などの条件があります。多くの場合、知的障害や精神障害のある方が対象で、自治体によっては身体障害の方も利用可能な施設があります。
利用には「障害福祉サービス受給者証」の取得が必要で、これは障害の程度や支援必要度に基づいて発行されます。地域の相談支援事業所や市区町村の福祉窓口で申請します。
入居の流れと申請方法
利用希望時のステップ
- 相談支援専門員との面談
まずは相談支援専門員に相談し、現在の生活状況や支援ニーズを整理します。専門員は支援計画(サービス等利用計画)を作成し、必要な福祉サービスを調整してくれます。 - 受給者証の取得
障害福祉サービスの利用には受給者証が必要です。市区町村の障害福祉窓口で申請し、障害支援区分の認定を受けます。 - グループホームの空き状況確認と申込
受給者証が発行されたら、希望するグループホームの空き状況を確認します。人気の施設は待機が長くなるため、複数の候補を検討することが望ましいです。 - 面接・見学
施設見学や面接がある場合もあります。実際の生活環境やスタッフの対応を確認し、ご本人の意向も尊重しましょう。
行政書士が支援できること
行政書士は入居申請に必要な書類の準備や提出をサポートします。また、ご家族と本人の意向整理の場を設け、適切な施設選びや将来の支援計画作成に伴走します。難解な行政手続きや福祉制度の調整にも強みがあります。
気になる費用:自己負担はいくら?
利用料と生活費の内訳
グループホームの費用は主に次の4つに分かれます。
- 家賃:施設によって異なり、地域の相場に準じるケースが多い
- 光熱費:電気・水道・ガス代
- 食費:1日3食分の食材費・調理費
- 支援費:スタッフによる日常生活支援費用(障害福祉サービス費)
このうち、支援費は障害福祉サービスとして公費負担が約9割を占めるため、利用者の自己負担は低く抑えられています。一方、家賃や食費などは自己負担となる場合が多いです。
各種控除・助成制度の活用
低所得世帯や特定障害者には、家賃補助や特別障害者手当、住居確保給付金などの助成制度が利用できる場合があります。これらは自治体によって異なるため、福祉窓口や行政書士に相談することをおすすめします。
入所施設との違いと選び方のポイント
生活介護施設や医療型入所施設との違い
- グループホーム
地域での自立生活を目指す共同生活。日常生活の支援を受けつつ、自由度が高い。 - 生活介護施設
日中の活動や介護支援を中心に提供。生活の場は別途確保する必要がある。 - 医療型入所施設
医療ケアが必要な重度障害者向けの施設。看護体制が充実している。
選び方のポイント
- ご本人の障害特性や支援ニーズに合っているか
- 生活スタイルや自由度の希望に合うか
- 医療的ケアの必要性の有無
- 施設の雰囲気やスタッフの質
複数の施設を見学し、支援者や行政書士とよく相談しながら選ぶことが大切です。
まとめ:今からできる備えと行政書士の役割
親なきあとに備えた住まいの確保は早めの行動が求められます。空き状況の確認や見学、申請手続きは時間がかかることが多いからです。
行政書士は制度の説明や申請書類の作成、将来の支援計画の立案など、専門的な支援を提供します。ご家族だけで抱え込まず、ぜひお気軽にご相談ください。
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