福祉専門職員配置等加算とは?Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの算定要件と確認ポイント

福祉専門職員配置等加算について、

「資格を持つ職員がいるから算定できるのでは?」

「福祉専門職員配置等加算ⅠとⅡは、何が違うのか」

「常勤職員が多ければ、Ⅲを算定できるのか」

と考えたことはないでしょうか。

福祉専門職員配置等加算は、一定の資格を持つ職員の配置割合や、常勤職員の割合、勤続年数などを評価する加算です。

就労継続支援B型をはじめ、複数の障がい福祉サービスで設けられています。

ただし、資格を持つ職員が一人いるだけで、必ず算定できるわけではありません。

確認する必要があるのは、資格の有無だけでなく、

  • どの職種として配置されているか
  • 常勤として配置されているか
  • 兼務している業務は何か
  • 分母へ含める職員は誰か
  • 算定月の勤務体制が要件を満たしているか

といった点です。

この記事では、福祉専門職員配置等加算の基本的な仕組みと、算定前に確認したい実務上のポイントを解説します。

目次

福祉専門職員配置等加算とは

福祉専門職員配置等加算は、障がい福祉サービス事業所などで、専門資格を持つ職員や常勤職員を一定の割合で配置していることを評価する加算です。

加算は、次の3区分に分かれています。

区分単位数主な評価内容
福祉専門職員配置等加算(Ⅰ)15単位/日常勤の対象職員に占める有資格者の割合
福祉専門職員配置等加算(Ⅱ)10単位/日常勤の対象職員に占める有資格者の割合
福祉専門職員配置等加算(Ⅲ)6単位/日常勤職員の割合または勤続年数

厚生労働省の報酬算定基準では、Ⅰが15単位、Ⅱが10単位、Ⅲが6単位と定められています。

Ⅰ・Ⅱは、主に専門資格を持つ職員の配置を評価する区分です。

一方、Ⅲは、資格の保有割合ではなく、常勤職員の配置や職員の定着状況を評価します。

そのため、ⅠまたはⅡの要件を満たさない事業所でも、Ⅲの要件を満たす可能性があります。

福祉専門職員配置等加算(Ⅰ)の要件

福祉専門職員配置等加算(Ⅰ)は、対象となる常勤職員のうち、一定の資格を持つ職員の割合が35%以上である場合に算定を検討できる区分です。

例えば、就労継続支援B型では、常勤で配置されている職業指導員または生活支援員などのうち、対象資格を持つ職員の割合を確認します。

就労継続支援B型における対象資格には、次の資格があります。

  • 社会福祉士
  • 介護福祉士
  • 精神保健福祉士
  • 作業療法士
  • 公認心理師

就労継続支援B型については、これらの資格を持つ常勤の職業指導員・生活支援員などの割合が35%以上であることが、Ⅰの基本的な要件です。

ただし、対象となる職種や資格は、サービス種別によって異なる場合があります。

「資格を持っているから対象」と考えるのではなく、その職員が算定上の対象職種として配置されているかまで確認する必要があります。

福祉専門職員配置等加算(Ⅱ)の要件

福祉専門職員配置等加算(Ⅱ)は、対象となる常勤職員のうち、有資格者の割合が25%以上である場合に算定を検討できる区分です。

ⅠとⅡの違いは、基本的には有資格者の配置割合です。

  • 35%以上:福祉専門職員配置等加算(Ⅰ)
  • 25%以上35%未満:福祉専門職員配置等加算(Ⅱ)

例えば、対象となる常勤職員が4人の場合、有資格者が何人いるかだけでなく、各職員が算定上の分母・分子に入るかを確認しなければなりません。

管理者やサービス管理責任者との兼務がある場合も、肩書だけで判断することはできません。

勤務形態一覧表、雇用契約、辞令、資格証、実際の勤務状況を照らし合わせて確認する必要があります。

福祉専門職員配置等加算(Ⅲ)の要件

福祉専門職員配置等加算(Ⅲ)は、専門資格の割合ではなく、職員の常勤配置や定着状況を評価する区分です。

主に、次のいずれかの要件を確認します。

常勤職員の割合が75%以上

対象となる直接処遇職員などの総数に占める常勤職員の割合が75%以上である場合です。

常勤か非常勤かは、単に勤務日数の多さだけで判断するものではありません。

事業所で定める常勤職員の勤務時間に達しているか、雇用契約や勤務実績と一致しているかを確認します。

勤続3年以上の常勤職員が30%以上

対象となる常勤職員のうち、勤続3年以上の職員が30%以上である場合です。

ここで注意したいのが、「勤続3年」の起算点です。

法人への入職日を基準にできるのか、現在の事業所やサービスでの勤務期間を基準にするのかは、職員の異動歴や事業所の状況も含めて確認が必要です。

Ⅲについても、職員名簿だけで判断せず、雇用契約書、辞令、勤務実績、異動履歴などを整理しておくことが重要です。

ⅠまたはⅡとⅢは併算定できる場合がある

福祉専門職員配置等加算は、ⅠとⅡを同時に算定するものではありません。

一方で、ⅠまたはⅡのいずれかと、Ⅲを併せて算定できる場合があります。

つまり、

  • 有資格者の配置割合
  • 常勤職員の割合や勤続年数

の両方を満たしていれば、それぞれの評価を受けられる可能性があります。

ただし、実際の算定可否は、サービス種別ごとの報酬算定基準や自治体の届出様式を確認する必要があります。

算定対象となるサービス

福祉専門職員配置等加算は、就労継続支援B型だけの加算ではありません。

生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援A型・B型、共同生活援助、児童発達支援、放課後等デイサービスなど、複数のサービスで設けられています。

ただし、すべてのサービスで対象職種や対象資格が同じとは限りません。

例えば、児童発達支援では、常勤の児童指導員などのうち、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士または公認心理師である職員の割合を確認します。

したがって、自事業所のサービスとは異なる解説記事や計算例を、そのまま当てはめることはできません。

まず、自事業所に適用される報酬算定基準を確認することが出発点です。

算定前に確認したい5つのポイント

1.資格証を保管しているか

対象資格を持っていることは、口頭の申告だけでは確認できません。

資格証や登録証などの写しを事業所で保管し、届出内容と一致しているか確認します。

結婚などによる氏名変更がある場合は、同一人物であることを説明できる資料も整理しておくと安心です。

2.対象職種として配置されているか

資格を持つ職員が、どの職種として勤務しているかを確認します。

資格保有者であっても、算定上の対象職種として配置されていなければ、割合へ含められない可能性があります。

3.常勤・非常勤の区分が正しいか

雇用契約書では常勤となっていても、実際の勤務時間が事業所の常勤勤務時間を満たしていないことがあります。

反対に、短時間勤務制度などが適用される職員について、通常とは異なる取扱いが認められる場合もあります。

名称ではなく、制度上の取扱いを確認しましょう。

4.兼務状況を整理しているか

管理者、サービス管理責任者、職業指導員、生活支援員などを兼務している職員は少なくありません。

兼務が直ちに対象外になるわけではありませんが、どの時間に、どの職種として勤務しているのかを説明できる状態が必要です。

勤務形態一覧表と実際の業務がずれていると、算定根拠が不明確になります。

5.職員の退職・異動後も要件を満たしているか

届出時点では要件を満たしていても、有資格者の退職や職員の異動によって、途中から割合を下回ることがあります。

加算は、一度届出を行えば、その後も自動的に算定し続けられるものではありません。

人員体制が変わったときは、加算要件への影響を確認する必要があります。

「人がいること」と「算定根拠が残っていること」は別

福祉専門職員配置等加算では、

「実際に有資格者を配置している」

という事実だけでなく、

「算定要件を満たしていることを書類で説明できる」

ことも重要です。

確認に使われる資料としては、例えば次のものがあります。

  • 資格証の写し
  • 雇用契約書
  • 辞令
  • 職員名簿
  • 勤務形態一覧表
  • 出勤簿やタイムカード
  • 組織体制図
  • 異動履歴
  • 加算の届出書類

これらの内容が食い違っていると、実際には要件を満たしていても、算定根拠を説明しにくくなります。

反対に、届出書類上は要件を満たしているように見えても、実際の勤務状況と異なれば、適正な算定とはいえません。

届出前の確認だけで終わらせない

福祉専門職員配置等加算を算定する場合は、自治体へ必要な体制届などを提出します。

届出方法や提出期限、必要書類は自治体や算定開始月によって異なります。

また、年度替わりや人員変更の際には、基本報酬や加算区分の再確認が必要になる場合があります。大阪市も、前年度実績などに伴う基本報酬・加算の届出について、対象サービスや提出方法を年度ごとに案内しています。

そのため、

  1. 現在の人員体制を確認する
  2. 算定要件と照合する
  3. 必要な根拠資料をそろえる
  4. 自治体へ届出を行う
  5. 算定開始後も人員変更を確認する

という流れで管理する必要があります。

まとめ

福祉専門職員配置等加算は、専門資格を持つ職員や、常勤職員を安定的に配置している事業所を評価する加算です。

基本的な区分は、

  • Ⅰ:有資格者の割合が35%以上
  • Ⅱ:有資格者の割合が25%以上
  • Ⅲ:常勤職員の割合または勤続年数の要件を満たす

という形です。

ただし、実際の算定では、資格保有者の人数だけでなく、対象職種、常勤性、兼務状況、勤務実績などを確認しなければなりません。

「要件を満たしていそう」という感覚と、「算定根拠を書類で説明できる状態」には差があります。

行政書士田中慶事務所では、大阪市の障がい福祉事業所を対象に、人員配置や運営書類、日々の記録が、届出内容や実際の運営とずれていないかを整理する支援を行っています。

加算だけを単独で判断するのではなく、勤務形態一覧表や運営書類を含めて現在の状態を確認したい場合は、事務所サイトの支援内容をご確認ください。

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