「うちは大丈夫」と思っていませんか?
就労継続支援B型事業所を運営されている皆さま、「うちの利用者さんは満足してくれている」と感じていませんか?
実際に、個別支援計画の面談や日々のコミュニケーションで笑顔が見られると、「満足している」と安心したくなるものです。
しかし、本当の満足度=利用者の“本音”は、表面からは見えにくいものです。
特に、福祉の現場では「我慢」や「遠慮」が文化として根付いていることもあり、利用者様自身が不満を表現しないことも珍しくありません。
この記事では、就労継続支援B型事業所における「利用者満足度」の客観的な把握の重要性と、その具体的な方法について解説します。
なぜ「利用者満足度」が重要なのか?
利用者の継続利用に直結する「満足度」
就労継続支援B型事業所は、一般就労が困難な方々に「働く場」と「社会とのつながり」を提供する大切な存在です。その継続利用の鍵となるのが、「ここなら通いたい」と感じてもらえるかどうか、つまり利用者満足度です。
満足度が高ければ、利用者様は安定して通所し、作業や生活の質も向上します。逆に、不満が積み重なると「休みがちになる」「他事業所へ移る」などの結果を招く可能性もあるのです。
行政評価や監査にも影響する
厚生労働省の示すガイドラインや評価項目の中にも、「サービスの質の向上」や「利用者の声の反映」が重視されています。満足度調査やフィードバック体制は、運営適正化の観点からも評価対象になります。
面談だけでは見えない“本音”
「なんでも言ってくださいね」が言えない現実
支援者側がいくら「気軽に相談してください」「ご意見を聞かせてください」と声をかけても、多くの利用者様にとって、支援者は“上の人”です。
「こんなこと言ったら怒られるのでは?」「気まずくなるかも」と遠慮するケースは非常に多いのが現実です。
自己表現が難しい利用者も多い
就労継続支援B型の利用者様の中には、発達障害や精神障害の影響で自分の気持ちを言語化することが難しい方もいらっしゃいます。そのため、「不満がない=満足している」とは限らないのです。
満足度を客観的に把握する方法
匿名アンケートの活用
最も基本的で有効な方法が、匿名でのアンケート調査です。
紙ベースでも、タブレットやスマホを使ったWebフォームでも構いません。
- 記名式にしないことで、自由な意見が出やすくなる
- 設問は「選択式+自由記述」がベスト
- 質問内容は「支援の質」「居場所としての安心感」「職員との関係性」など、複数の観点から聞く
例:
- この事業所は安心して通える場所ですか?(はい・いいえ)
- 職員にもっとこうしてほしいことはありますか?(自由記述)
第三者によるヒアリング
外部の専門家(例:行政書士や福祉コンサルタントなど)による聞き取りも効果的です。
支援者とは異なる立場の人間が話を聞くことで、心理的ハードルが下がり、率直な声を引き出せる可能性があります。
外部の人間であることで、
- 利用者が「この人になら話しても大丈夫」と感じやすい
- 支援者との関係性を壊すことなく改善点を収集できる
というメリットがあります。
日々の小さな“違和感”を記録する文化
職員が「何か元気がないな」「最近発言が減ったな」と感じた時に、その違和感を記録・共有する仕組みも有効です。
- 朝礼や終礼での気づきの共有
- 支援記録の中に「小さな声」の欄を設ける
- チームで「気づく力」を高める研修の実施
といった取り組みが、満足度の変化を早期に察知する力となります。
満足度調査を形骸化させないポイント
結果を見える化し、改善につなげる
満足度調査を行っても、集めた結果を共有せず放置しては意味がありません。
「こんな声がありました」「このように改善しました」と可視化・フィードバックすることが重要です。
- 利用者・ご家族への報告書の発行
- 事業所内の掲示や配布資料
- 目に見える形での環境改善
こうしたプロセスを通じて、「ここは自分たちの声を大切にしてくれる場所」と実感してもらえるようになります。
職員側の受け止め方にも工夫を
調査結果の中には、時に職員にとって耳の痛い内容が含まれていることもあります。
それでも大切なのは、「否定する」のではなく「受け止め、改善につなげる」姿勢です。
- 批判ではなく“改善のヒント”と捉える
- 指摘を受けた職員を責めるのではなく、チーム全体で見直す
- 研修やケース検討会などで前向きに活かす
このような文化を育むことで、満足度向上と職員の成長が両立できます。
元利用者だからこそできる、リアルな満足度測定支援
行政書士として開業準備を進めている私は、つい最近まで就労継続支援事業所の利用者でした。
その経験があるからこそ、支援を受ける側の気持ちや「本音を出しにくい空気」を肌で感じてきました。
- 「言いたいけど言えない」
- 「期待されてるから、無理に笑ってしまう」
- 「小さな不満をため込んで、急に爆発してしまう」
――そんな経験があるからこそ、私は利用者の目線に立った“本音を引き出す仕組みづくり”のお手伝いができます。
例)
- 弊所で用意した無記名のWEBフォームを使用。(弊所スタッフのみが確認)
- 元利用者を活かして、B型事業所に行政書士が”一日体験利用”を行い、利用者目線から確認。
- 報告書をデータで作成し、それに基づいて、報告会を実施。
- 個人名はできる限り排除して、全ての事象を事業所全体での改善取り組みとして捉えていただくように工夫。
- 定期的に行い、眼に見えて改善していることを実感して、スタッフのモチベーション向上、利用者様の満足度向上に寄与
おわりに|“満足しているはず”から、“満足している”へ
利用者満足度は、「きっと満足してくれているはず」という主観ではなく、客観的に測ることが重要です。
本音を引き出し、改善につなげる仕組みを持つことは、事業所の信頼性・安定性にも直結します。
そして何より、利用者様一人ひとりの「ここに来てよかった」という実感が、日々の支援の質を高める原動力になります。
第三者目線による満足度測定をお考えなら、ぜひ弊所にご相談ください。(開業前予約は承っております)
元利用者の視点を持つ行政書士として、事業所様と利用者様、双方に寄り添ったサポートを提供いたします。
「行政書士田中慶事務所(開設申請準備中)ホームページはこちら」