“就労支援が1種類だった世界”から見えてくる、制度の役割と福祉事業の可能性

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もし就労支援が1種類しかなかったら──たくみくん(仮名)の困りごと

登場人物は架空の当事者「たくみ君(23歳)」
彼は発達障がいと軽度知的障がいがあり、特別支援学校を卒業後、地域で生活しています。

たくみ君が住む世界には、「就労支援」と名のつく福祉サービスが1種類しか存在しません
名前は「就労福祉センター」。全員が同じ施設に通い、同じ作業・同じスケジュールで支援を受けます。

🌀たくみ君の困りごと

  • 自分のペースで仕事を覚えたいけど、全体に合わせて動かされてパニックになりやすい。
  • 就職を目指しているが、面接練習や職場体験などの訓練が受けられない
  • 他の人たちより「できすぎる」ことを理由に、スタッフに気を使われ、逆に疎外感を感じる。
  • 一方で、重度障がいのある人にとっては「ついていけない」と感じている様子も…。

1種類の支援で、すべての障がい特性・希望・生活状況に応じることは難しく、
誰にとっても“ちょっとずつ合わない”空間になってしまっているのです。

現実には「4種類」の就労支援がある理由とは?

実際の制度では、就労系福祉サービスは4種類に分かれています。
それぞれの違いは、単なる分類ではなく、「支援の適正化」のために設計されています。

サービス名対象者支援内容向いている人
A型雇用契約が可能な人最低賃金保証の作業支援つきで働きたい
B型雇用が難しい人軽作業・創作活動自分のペースで働きたい
移行支援就職希望の人就活サポート・職場体験働きたい気持ちがある
選択支援迷っている人見学・体験・相談自分に合った選択をしたい

① 就労継続支援A型(A型事業所)

  • 対象者:比較的安定して働ける人、雇用契約を結べる状態の人
  • 内容:最低賃金が保証された仕事をしながら支援を受ける
  • 向いている人:一般就労を目指しながらも、支援のある職場で働きたい人
  • 事業の特徴:スタッフの雇用管理・労働環境整備が重要

② 就労継続支援B型(B型事業所)

  • 対象者:雇用契約を結ぶことが難しいが、日中活動や作業に参加したい人
  • 内容:工賃が支払われる軽作業、創作活動など
  • 向いている人:自分のペースで通いながら生活リズムを整えたい人
  • 事業の特徴:個別配慮・福祉的支援が中心、運営の柔軟さが強み

③ 就労移行支援

  • 対象者:障がいがあり、一般企業等への就職を目指している人(原則2年間)
  • 内容:ビジネスマナー・履歴書添削・職場体験などの訓練
  • 向いている人:はたらくことへの意欲があり、就職活動をサポートしてほしい人
  • 事業の特徴:就労実績・支援実績が評価されやすい、就職率が指標になる

④ 就労選択支援(2025年10月開始)

  • 対象者:就労系サービスを選ぶ前に「自分に合った働き方」を見極めたい人
  • 内容:体験利用・カウンセリング・事業所見学など
  • 向いている人:A型とB型、移行支援で迷っている人や、社会に出る前に準備したい人
  • 事業の特徴:他サービスとの連携が重要。利用者の“選ぶ力”を育てる。

制度が分かれているのは「排除」ではなく「配慮」

たくみ君のように、「できすぎる」と浮いてしまったり、「ついていけない」と苦しむことがないように、
制度は人の多様さに合わせて支援内容を調整する仕組みをとっています。

1種類にまとめるのではなく、分けることで

  • 個々の障がい特性
  • 就労に対する希望・距離感
  • 支援の手厚さの度合い

最適化されていくのです。

自分(または家族)は、どの事業所が合っている?           

どの事業所を開設すべきか迷っている方へ

そんなときこそ、制度のプロである行政書士にご相談ください。

□ 支援内容が複雑で、自分に合うものが分からない
□ 子どもや家族の進路に悩んでいる
□ どの事業で開業するか決めかねている
□ 制度の「リアルな使われ方」が知りたい

私は障がい当事者として、また行政書士として、
制度の“建前”だけでなく、現場感や「生の声」もふまえてご相談にのることができます。

「もし就労支援が1種類しかなかったら?」という想像から、
あなたにとって本当に必要な支援や事業のかたちを、ぜひ一緒に考えていきましょう。

「行政書士田中慶事務所(開設申請準備中)ホームページはこちら

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