はじめに:「守る」だけの福祉で、本当にいいのか?
「障がい者支援」と聞くと、多くの人は“生活を守る”“働く場を提供する”というイメージを持つかもしれません。
確かにそれは大切な役割です。けれど、そこだけにとどまっていていいのでしょうか?
障がいのある人の中には、「起業したい」「自分のペースで働きたい」「誰かに雇われるだけではなく、仕事を自分でつくりたい」と考える人もいます。
実は、そうした“挑戦する障がい者”を支える新しい福祉のかたちが、少しずつ動き出しています。
就労支援=「雇われる」前提の支援?
就労移行支援や就労継続支援(A型・B型)など、障害福祉サービスにおける就労支援の多くは、制度的にも「どこかに雇われる」ことを前提としています。
たとえば、就労移行支援事業所では「6か月以内に就職」「定着率○%」といった加算要件が設定されており、どうしても一般就労への移行に重点が置かれます。
もちろん、それを望む人にとっては良い制度です。
でも、「起業したい」「フリーで働きたい」「在宅で自分のビジネスを始めたい」と考える人に対する支援は、まだまだ手薄なのが現状です。
「起業したい障がい者」は、本当にいるのか?
「起業」というと、ハードルが高い印象を持つ方もいるかもしれません。
でも実際は、次のような思いや背景を持った障がい者が少なくありません。
- 一般企業で働いたが、環境が合わずに体調を崩した
- 通院や体力の関係で、毎日決まった時間に出社するのが難しい
- 自分のスキルや特性を活かした仕事を自分で作りたい
- イラスト、動画制作、Web制作、ライティングなど、デジタル系のスキルを持っている
つまり、「就職は難しいけれど、働きたくないわけじゃない」人たちが、実は“起業”という形で社会参加を模索しているのです。
実際にある「起業支援型」就労事業所の取り組み
日本全国を見渡すと、少しずつですが「起業」を支援する就労系福祉事業所の取り組みも生まれています。
● 企業組合ユニフィカ(高知県)
重度障がい者が在宅で働き、組合形式で収益を得るモデル。就職ではなく、自分たちで事業を生み出す仕組みを構築。
● 就労継続支援多機能型事業所コパン
「相談→訓練→起業」というステップを踏み、利用者が自らの事業を立ち上げるプロセスをサポート。
● 三重県鈴鹿市「就労マルシェ」
起業した障がい者が物販や講演を行うイベントを市とハローワークが共催。起業者のロールモデル化に取り組む。
こうした事例が増えれば、就労支援の“選択肢”は確実に広がります。
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「支援される側」から「誰かを支える側」へ
起業を目指す障がい者が増えるということは、単に「自分で稼ぐ」人が増えるだけではありません。
その人たちが将来、誰かを雇用したり、地域に貢献する立場になることもあるのです。
福祉というと、「上から手を差し伸べる」イメージが強いかもしれません。
でも、起業した障がい者を、社会や福祉職が“下から支える”ことがあってもいい。
経営者として歩む障がい者のチャレンジを、制度や地域が応援する――
そんな「関係性の逆転」こそが、共生社会の一歩なのかもしれません。
そもそも、どちらかが上で、どちらかが下なんてこと自体、おかしな話なんですよね。
ピア行政書士としてできること
障がい者が起業を目指すとき、制度の壁や情報格差、資金調達など、さまざまなハードルがあります。
そこで必要になるのが、制度と現場の“すきま”を埋められる存在です。
- 起業に関する法的手続きのサポート(法人設立、定款作成など)
- 小規模事業者持続化補助金など、創業支援制度の活用アドバイス
- 働き方・働かせ方の相談(雇用契約や業務委託など)
- ピア(当事者)としての伴走と共感的支援
制度のプロであり、障がい者当事者でもある“ピア行政書士”として、
「起業したい」を「起業できた」に変えるお手伝いをしたいと考えています。
おわりに:起業も“当たり前”に選べる社会へ
障がいがあるからといって、起業が特別なことではない。
挑戦したい人が挑戦できる、その選択肢がちゃんと用意されている。
そんな社会を、制度や支援の側からもつくっていきたい。
あなたの事業所や地域でも、「起業型支援」について、一緒に考えてみませんか?
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私自身、障がい者福祉サービス(A型・B型事業所)を利用していた経験があります。
「現場の実際を知りたい」
そんな“制度と現実の間”で迷っている方の相談相手として、利用者側と支援者側、両方の視点を持つピア行政書士として、一緒に最適な道を探します。

