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A型事業所の見学・体験は「選ばれる」ためじゃない。「選ぶ」ためにあるんだ

就職活動といえば、「書類選考」→「面接」→「内定」…という流れが一般的。でも、A型事業所は少し違います。見学して、体験して、それから面接という、少し丁寧なプロセスを踏むのが特徴です。
このプロセスを、「自分が試されている」とだけ感じる人も多いけれど、実はそれだけじゃない。A型は、「事業所があなたを選ぶ」だけじゃなくて、「あなたが事業所を選ぶ」場所でもあるんです。
僕自身の経験もふまえて、「どんなところを見て選ぶといいのか」一緒に考えてみましょう。

目次

一般就職とA型事業所の就労活動はここが違う

一般就職の場合、多くは「企業が応募者を選ぶ」という構図。書類選考に始まり、何度かの面接を経て内定、という形が主流です。

一方、A型事業所の場合のステップはこうです。

見学 → 体験 → 面接(書類選考含む)→ 内定(雇用契約)

雇用契約なので、不採用になることももちろんあります。でも、実感としては「選ばれる」というより「選ぶ」要素が強いんです。
特に、複数の事業所を見て、自分に合ったところを選ぶというプロセスは、一般就労よりもずっと“自分主導”になりやすい構造です。

「自分が選んでいい」って、なかなか思えないよね

とはいえ、いざA型事業所を探し始めると、どうしても「自分が選ばれる側」という意識になりがち。
実際、僕も最初のA型は不採用でした。だから、次の事業所で「来てくれていいよ」って言ってもらえた時は、すごくうれしかった。
日本の文化には、「就職=選ばれるもの」という意識が根深くあるから、無理もありません。

でも、2回目のA型就労では、5〜6カ所の見学をして、2カ所で体験させてもらって、その中から1カ所だけを選んで面接に行きました。
これは決して“贅沢”なことじゃなくて、むしろ“当然のプロセス”だと思うんです。

「見学・体験」を最大限に活かす6つのチェックポイント

A型事業所には、最初から「見学」「体験」という制度が整っています。
これをしっかり活かして、「ここで働きたい」と思える場所を見極めましょう。
以下の6つのポイントを参考に、自分自身に問いかけてみてください。

①仕事内容

  • 毎日数時間続けても疲れすぎないか?
  • 作業が単調すぎて飽きないか?
    → 仕事の“向き不向き”を感じ取れる大事なポイントです。

②仕事量のバランス

  • みんなが常にバタバタしていないか?
  • 逆に、ずっと手持ち無沙汰じゃないか?
    → どちらもストレスの原因になります。

③支援員の対応

  • 声かけの頻度やタイミングは?
  • 話し方のテンポや口調は自分に合ってる?
    → “支援の手厚さ”だけでなく、“相性”も大切。

④責任者との関係性

  • 話しかけづらい雰囲気はないか?
  • 不安や相談を気軽に伝えられそうか?
    → 実際に働き始めた後の安心感に直結します。

⑤通勤のしやすさ

  • 無理なく毎日通えそうか?
    → 交通手段、距離、暑さ寒さなど、意外と大事な継続要因。

⑥同僚との関係性・雰囲気

  • 利用者さん同士の距離感、雰囲気はどうか?
  • 自由な席 or 固定席?そのあたりの配慮はあるか?
  • 話しやすさ、静かすぎないか・うるさすぎないか?

→ “うるさすぎる” “ピリピリしすぎる”など、職場の空気は意外と体に響きます。

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「来てっていってくれたらどこでもうれしい」も、「ちょっと違うかも」も、どちらも本音でOK

来てって言ってくれるだけでうれしい。
でも、「うれしい」からといって、「どこでもいい」にならなくていい。
大事なのは、“自分に合うかどうか”を、自分で感じ取ること。

上に挙げたチェックポイントの基準は「自分自身に合うかどうか」です。事業所の雰囲気も、支援員さんの話し方も「こういう事業所はやめた方がいい」なんてことはありません。あくまでも、「自分が続けられるか」だけです。

謙虚さは素敵だけど、遠慮しすぎる必要はありません。
逆に、「見てやるか」みたいな上から目線になる必要もなし。
大切なのは、「一緒に過ごす職場を選ぶ」という、あたりまえの気持ちです。

見学・体験は、あなたの「選ぶ力」をサポートしてくれる制度

A型事業所の最大の魅力は、「見学・体験」が制度として用意されているところ。
これは、「働く前に雰囲気を確かめられる」ことを、ちゃんと“制度化”してくれているということです。
だからこそ、複数カ所をしっかり比べて、「自分に合う場所」を選ぶチャンスとして、思いきり使ってほしいと思います。

締めのひとこと

A型事業所での就労は、「新しいスタート」です。
だからこそ、“選ばれるだけ”じゃなく、“選ぶ”意識を大事にして、あなたらしい選択ができるように願っています。

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📝 この記事を書いた人
行政書士 田中慶

私自身、障がい者福祉サービス(A型・B型事業所)を利用していた経験があります。

「制度はわかったけど、うちの場合はどうすればいいの?」
「現場の実際を知りたい」

そんな“制度と現実の間”で迷っている方の相談相手として、利用者側と支援者側、両方の視点を持つピア行政書士として、一緒に最適な道を探します。

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