私は2025年8月末まで、就労継続支援A型事業所の利用者でした。それ以前には障がい者雇用や就労移行支援の経験もあり、2025年9月1日からは行政書士事務所を開業しています。
障がい者として複数の事業所を経験し、今は支援する立場を目指す私だからこそ見えてきた「障がい者福祉事業所のリアル」を、当事者の体験と制度の視点からお伝えします。
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A型・移行にある安心感と難しさ
A型や就労移行支援では、支援員が常に事業所内におり、困ったときにすぐ相談できる安心感があります。これは大きなメリットです。
一方で、障がい者雇用や施設外就労では「配慮が必要なのは自分だけ」であり、孤立感を抱えることもありました。(私の場合は、障がい者は私一人だけの職場でした…。)
そして実は、A型や移行にも別の難しさがあります。それは「配慮される側」であると同時に「配慮する側」にもなることです。
障がい特性上、人への配慮が難しい方も一定数います。そのため、利用者同士で支え合うどころか、逆に衝突が生じてしまうこともあるのです。
利用者同士の関係のむずかしさ
私が見てきた事業所でも、さまざまな特性を持つ方がいました。
- 過去のトラウマがフラッシュバックしやすい方
- 悪気なく自分のやり方を強く主張してしまう方
- 自己防衛のため強い口調で接してしまう方
こうした方々が一緒に作業する環境で、人間関係がスムーズに回るのは簡単ではありません。支援員は利用者の特性を理解していますが、1人で10人以上を見ることもあり、フォローが行き届かない場面もあります。
結果として「人間関係が原因で辞めざるを得ない」方が出てきます。私自身もその経験があります。そして辞めたあと「やっぱり自分はダメだ」と思い込み、症状が悪化してしまう──。こうした負のループに陥る人が少なくないのです。
一般就労の方が合う人もいる
意外かもしれませんが、障がい者雇用の現場の方が安定して働ける方もいます。なぜなら「配慮が必要なのは自分だけ」であり、その分、周囲に理解していただき、感謝を持って働くことができるからです。
つまり、A型・B型・移行が必ずしもすべての人にとってベストな環境ではないということです。
「差別」ではなく「区別」という発想
障がい者福祉事業所は、正当な理由がない限り利用を断れません。A型事業所でも面接はありますが、一般就労に比べれば採用される確率は高いのが実情です。
そのため、相いれない特性を持つ利用者同士が同じ事業所に通うことも起こります。だからといって「合わないから」と事業所が利用を拒めば、行き場のない障がい者が出てしまいます。
しかし私は、ここで大事なのは「差別」ではなく「区別」だと考えています。
たとえば──
- 聴覚障がいに特化したA型事業所(手話ができる支援員や視覚的工夫のある環境)
- 一人作業に特化したB型事業所(他の利用者との関わりを極力減らす)
こうした「特化型事業所」があれば、自分の特性に合った環境を選びやすくなり、結果的に長く安定して通えるのではないでしょうか。
✅ あなたの事業所も「区別による支援」に可能性を感じていませんか?
総量規制と「特化型」の可能性
現実には、地域によってはA型が1カ所しかなかったり、移行が存在しなかったりします。立地や通勤も含めると、「選ぶ自由」がない方がたくさんいます。
また、すでに一部の自治体では「B型事業所はこれ以上増やさない」といった総量規制を行っています。
でも、ここに「区別」という視点を加えれば、道は開けるかもしれません。
- 通常のB型は飽和状態
- しかし「一人作業に特化したB型」なら新規開設を認める
このようにすれば、総量規制の中でも多様なニーズに応えることが可能です。
行政書士としての視点
現行制度では、指定申請の際に「特化型」を前提とした基準は存在しません。つまり、制度上は「どんな障がい特性の方でも受け入れられる一般的な事業所」として申請しなければならないのです。
しかし実務に携わる立場からすると、「特化型事業所」という選択肢を制度的に認める仕組みづくりが必要だと感じています。これは差別ではなく、むしろ行き場を増やす仕組みになるはずです。
まとめ
- A型や移行には「支援員の安心感」があるが、利用者同士の配慮関係に難しさがある
- 人間関係で辞め、負のループに陥る人も多い
- 一般就労の方が安定する人もいる
- 福祉事業所は正当な理由なしに断れないが、「差別」ではなく「区別」による特化型事業所の可能性がある
- 総量規制の中でも「特化型なら認める」という運用はできるかもしれない
- 行政書士としては、制度的に「特化型」を認める枠組みづくりが必要だと考える
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