はじめに
どの業界であろうとも、起業を考えた時の一番の悩みは、「資金調達」ですよね。
何を隠そう、私も現在、開業資金の調達に頭を悩ませては、現実逃避・・・とはいかずに、頭を悩ませ続けています。
障がい者福祉分野での起業をお考えの方々も、資金調達は頭が痛いところではないでしょうか?
以下に、資金調達方法の1つである「融資」について、お話しします。
◆融資の基本的な流れ
① どこから借りるかを決める
主に以下の3つの選択肢があります。
- 日本政策金融公庫(国の金融機関)
⇒ 創業期の融資に積極的。低金利で、信用保証が不要な場合もあります。 - 民間の金融機関(銀行や信用金庫など)
⇒ 信用保証協会の保証付き融資が一般的です。 - 自治体が行っている制度融資
※はじめての創業であれば、日本政策金融公庫から始めるケースが多いです。
② 必要な書類を準備する
融資を受けるには、以下のような書類を提出する必要があります。
- 創業計画書(事業の内容、収支の見込みなど)
- 法人の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
- 代表者の身分証明書
- 印鑑証明書
- 税務申告書(既に事業をしていれば)
- 見積書・契約書(設備導入や物件取得の場合)
③ 面談・ヒアリング
金融機関の担当者との面談があります。
ここでは、下記のようなことを確認されます。
- なぜこの事業をやろうと思ったのか
- どんなサービスを提供するのか
- 利用者の見込み
- 売上・利益の予測が現実的か
- 借りたお金を返せる見込みがあるか
※誠実かつ熱意を持って、具体的に答えることが大切です。
④ 審査と結果通知
提出した書類と面談の内容をもとに審査が行われます。
- 審査期間:日本政策金融公庫で2〜3週間程度、銀行は1ヶ月以上かかることもあるようです。
- 承認されれば「融資決定通知」が届きます。
⑤ 融資の実行(入金)
契約書の取り交わしや必要書類の提出後、指定口座に融資金が入金されます。
◆ 融資を通すためのポイント
- 事業計画書はとても重要です。具体的な内容(売上見込み、経費、人員体制など)をしっかり書きましょう。
- 自己資金があると有利です(全体の1/3〜1/2程度あると安心)。
- 熱意や事業への理解が伝わるかが大事です。福祉業界での経験などがあれば積極的にアピールしましょう。
◆ まず最初にすること(今日から始められる準備)
① 「創業計画書」の作成
これは、金融機関が最も重視する書類です。以下の内容を順番に整理していきます。
項目 | 内容 | 補足 |
---|---|---|
事業概要 | どんな福祉事業をするか(例:就労継続支援B型など) | 具体的なサービス内容 |
創業の動機 | なぜこの事業を始めようと思ったか | 自身の経験や思い |
市場・顧客 | 誰が利用するか/どの地域で行うか | 利用見込みや競合状況 |
売上・費用の予測 | 1年目〜3年目の収支見込み | 月ごとの数字でも可 |
従業員の予定 | 何人雇うか、役割など | 有資格者の確保なども含む |
必要な資金 | 設備・人件費など | 融資希望額の根拠になります |
自己資金 | すでに用意できているお金 | 貯金や他からの出資など |
② 必要書類のリストアップと取得
書類 | 入手場所 | 備考 |
---|---|---|
法人の登記簿謄本 | 法務局 | 最新のもの(3か月以内) |
印鑑証明書 | 市区町村または法務局 | 法人代表者のもの |
身分証明書(本人確認) | 運転免許証など | コピーでOK |
見積書 | 業者から | 内装・設備・物件などの費用の証明 |
物件契約書 | 不動産会社など | 開業予定地が決まっていれば |
③ 必要資金を試算する
開業にかかるお金をざっくりでも良いので見積もってみます。
例
- 物件の賃料・保証金:〇〇円
- 内装工事:〇〇円
- 備品・車両購入:〇〇円
- 人件費(最初の数か月分):〇〇円
- その他:〇〇円
→ この合計金額が「必要資金」になります。
→ このうち、自己資金がいくらで、融資でいくら借りたいのかを決めていきます。
◆ まとめ
現在、私自身が苦労しているところですが、融資について実際に動き始めて、分かったことについて、最後にお話しします。
①日本政策金融公庫には、とりあえずで相談に行っても、親切に相談に乗ってくれます。
そもそも、融資を受けることができるのか、どこから融資を受けたらよいのかを確認するために、日本政策金融公庫にある「ビジネスサポートプラザ(東京、名古屋、大阪の三か所)」に、予約した上で、相談に行ったのですが、具体的なものをそれほど準備していなかったにもかかわらず、親身にご相談に乗っていただきました。また、日本政策金融公庫では、融資に関するオンラインセミナーなども無料で行っていましたので、活用されてみるのもよいかと思います。
②商工会議所は中小企業と個人事業主の味方だと思います。
こちらも、電話で予約の上、相談に行きました。ある程度具体的な案を持ったうえで、お伺いしたのですが、改良した方がよいところや、計画書などの見え方など、具体的にご指導いただけます。しかも、45分もお時間を取っていただけるので、活用しない手はないかなと思います。ただし、1年度にできる相談回数には上限があるようなので、その辺は相談員様と、調整しながらする必要が出てくるかと思います。
融資や補助金など、お悩みの方は、こちらも確認ください。
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