はじめに:障害年金に朗報です!
障がい者ご本人・ご家族の皆様、こんにちは。私は障がい者として福祉サービスを利用してきた経験を持つ、障がい者福祉専門の行政書士です。
今回、障害年金について2つの大きな朗報をお伝えします。一つは2025年度の年金額増額、もう一つは40年ぶりの制度改正検討です。これらの変化が皆様の生活にどのような影響をもたらすのか、詳しく解説いたします。
【朗報1】2025年度の障害年金額が1.9%増額決定!
新しい受給額(月額)
2025年度の障害年金額は前年度比1.9%の引き上げとなりました。
障害基礎年金(月額)
- 1級:86,635円(年額1,039,625円)
- 2級:69,308円(年額831,700円)
子の加算額(月額)
- 1人目・2人目:各19,942円
- 3人目以降:各6,642円
なぜ増額されたのか?
年金額は物価変動率や実質賃金変動率などを考慮して毎年見直されます。2025年度は物価上昇を反映した結果、1.9%の増額となりました。
【朗報2】40年ぶりの制度改正が検討中!
厚生労働省が2025年に40年ぶりとなる障害年金制度の改正法案を検討しています。(あくまで、検討段階であり、正式に施行が決定したものではありません)
改正検討の背景
これまでの障害年金制度には以下の課題がありました:
- 支給要件が厳しすぎる
- 申請手続きが複雑
- 受給できる金額が生活実態に見合わない
主な改正検討内容
1. 障害厚生年金の受給要件緩和
「初診日」の要件を緩和し、より多くの方が障害厚生年金を受給できるよう検討されています。
2. 申請手続きの簡素化
複雑な申請手続きを見直し、より分かりやすい制度への変更が検討されています。
申請前に知っておきたい5つのポイント
ポイント1:受給の3要件を確認
障害年金を受給するには以下3つの要件をすべて満たす必要があります:
- 初診日要件:障害の原因となった病気・けがで初めて医師の診療を受けた日が確認できる
- 保険料納付要件:年金保険料の納付実績が一定基準を満たしている
- 障害状態要件:法令で定められた障害等級に該当する
ポイント2:対象となる疾患は幅広い
がんや糖尿病などの内部疾患も障害年金の対象となります。
対象疾患例
- 精神疾患(うつ病、統合失調症、発達障害など)
- 内部疾患(心疾患、腎疾患、肝疾患、がんなど)
- 身体障害(四肢の欠損、視覚・聴覚障害など)
- その他(難病、高次脳機能障害など)
ポイント3:申請のタイミングが重要
初診日から1年6月後が申請可能時期(障害認定日)です。ただし、以下の場合は例外があります:
- 人工透析開始から3月後
- 切断・離断の場合は即時 など・・・
ポイント4:必要書類の準備は計画的に
主な必要書類:
- 年金請求書
- 病歴・就労状況等申立書
- 診断書(指定様式)
- 受診状況等証明書
- その他添付書類
重要な注意点 診断書の作成には時間がかかる場合があります。早めの準備が重要です。
ポイント5:専門家のサポートを検討
障害年金の申請は複雑で、初回申請の認定率は約6割と言われています。以下のような場合は専門家(社会保険労務士)への相談を検討しましょう:
- 初診日の証明が困難
- 複数の疾患がある
- 過去に不支給決定を受けた
- 就労しながらの申請を検討している
2025年度の変化を活かすためのアクション
今すぐできること
- 受給資格の確認:3要件を満たしているか確認
- 書類の整理:診察券、お薬手帳など医療関係書類を整理
- 家計の見直し:受給できる場合の生活設計を検討
将来に向けた準備
- 定期的な受診継続:症状の記録を医療機関に残す
- 生活状況の記録:日常生活の困難さを記録
- 家族との情報共有:申請時に家族のサポートが重要
よくある質問と回答
Q1:働いていても障害年金は受給できますか?
A1:はい、可能です。就労していても、障害の程度が基準に該当すれば受給できます。ただし、就労状況は審査の際に考慮されます。
Q2:他の福祉サービスと併用できますか?
A2:基本的に併用可能です。障害者手帳、自立支援医療、福祉サービスなどと同時に利用できます。
Q3:一度不支給になったら再申請できませんか?
A3:再申請可能です。症状の変化や新たな診断書で再度申請できます。
専門家からのアドバイス
私自身が障がい者として福祉制度を利用してきた経験から申し上げますと、障害年金は生活を支える重要な制度です。しかし、制度の複雑さから申請を諦めてしまう方も多くいらっしゃいます。
大切なのは以下の点です:
- 情報収集を怠らない:制度は年々変化します
- 早めの準備:必要書類の準備には時間がかかります
- 専門家の活用:複雑な制度だからこそ専門家のサポートが有効
- 諦めない気持ち:一度で認定されなくても再申請は可能
まとめ:2025年は障害年金にとって転換点
2025年度の年金額増額と40年ぶりの制度改正検討は、障がい者の皆様にとって大きな前進です。これらの変化を最大限活用するため、以下の行動を推奨します:
- 現在の受給状況の確認
- 未申請の方は受給可能性の検討
- 制度改正の動向に注目
- 必要に応じて専門家への相談
障害年金は皆様の権利です。遠慮なく制度を活用し、より良い生活の実現を目指しましょう。
【障がい者福祉に関するその他のご相談について】
障害年金の申請については社会保険労務士にご相談ください。
当事務所では、障がい者福祉分野において以下のようなサポートを提供しております:
✓ 福祉サービス利用に関する手続き支援
✓ 障がい者雇用に関する企業との調整書類作成
✓ 成年後見制度の利用支援
✓ 各種福祉制度の情報提供・相談
障害年金以外の福祉制度や手続きでお困りのことがございましたら、当事者経験を活かした視点でサポートいたします。
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