障害年金について調べている方の中には、
- 障害年金はいくら受け取れるのか
- 障害基礎年金と障害厚生年金は何が違うのか
- 働いていても受給できるのか
- 自分の病気や障害が対象になるのか
といった疑問を抱えている方も多いと思います。
私自身も、障害年金を受給しながら生活しています。
障害年金は生活を支える重要な制度ですが、初診日や保険料の納付状況、障害の程度など、いくつもの条件を確認する必要があります。
この記事では、2026年度の年金額を中心に、障害基礎年金と障害厚生年金の違いや、申請前に確認したい基本的なポイントを整理します。
2026年度の障害基礎年金はいくら?
2026年度の障害基礎年金額は、2025年度から引き上げられました。
昭和31年4月2日以後に生まれた方の年金額は、次のとおりです。
障害基礎年金1級
- 年額:1,059,125円
- 月額換算:約88,260円
障害基礎年金2級
- 年額:847,300円
- 月額換算:約70,608円
障害基礎年金1級の金額は、2級の金額の1.25倍です。年金は原則として偶数月に、前月分と前々月分がまとめて支給されます。
なお、昭和31年4月1日以前に生まれた方は、金額が異なります。
- 1級:年額1,056,125円
- 2級:年額844,900円
年金額は毎年度、賃金や物価の変動を踏まえて改定されます。2026年度は、国民年金の基礎年金部分が前年度から1.9%引き上げられました。
子どもがいる場合は加算されることがある
障害基礎年金の受給者に、生計を維持している一定の年齢の子どもがいる場合、次の金額が加算されます。
- 1人目・2人目:1人につき年額243,800円
- 3人目以降:1人につき年額81,300円
対象となる「子」は、原則として次のいずれかに該当する方です。
- 18歳になった後の最初の3月31日までの子
- 20歳未満で、障害等級1級または2級の状態にある子
子の加算は、単に子どもがいるだけで自動的に付くものではなく、生計維持関係などの確認が必要です。
障害基礎年金と障害厚生年金の違い
障害年金には、大きく分けて次の2種類があります。
障害基礎年金
国民年金に加入している期間や、20歳前、または一定の60歳以上65歳未満の期間に初診日がある場合に対象となります。
障害等級は1級と2級です。
障害厚生年金
厚生年金に加入している期間に、障害の原因となった病気やけがの初診日がある場合に対象となります。
障害等級は1級、2級、3級です。
1級または2級に該当する場合は、原則として障害基礎年金に障害厚生年金が上乗せされます。3級は障害厚生年金のみです。
障害厚生年金の金額は、加入期間や過去の報酬額などによって異なります。そのため、障害基礎年金のように、すべての方に共通する金額ではありません。
障害年金を受給するための3つの基本要件
障害年金は、病名や障害者手帳の等級だけで決まる制度ではありません。
基本的には、次の3つの要件を確認します。
1.初診日要件
障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日を「初診日」といいます。
どの年金制度に加入していた時期に初診日があるかによって、障害基礎年金か障害厚生年金かが変わります。
2.保険料納付要件
原則として、初診日の前日時点で、初診日のある月の前々月までの加入期間のうち、保険料納付済期間と免除期間を合わせて3分の2以上あることが必要です。
ただし、一定の場合には、初診日のある月の前々月までの直近1年間に未納がなければよいとする特例があります。
20歳前に初診日がある場合は、保険料納付要件はありません。
3.障害状態要件
障害認定日または請求時点で、法令に定められた障害の程度に該当している必要があります。
障害認定日は、原則として初診日から1年6か月を経過した日です。ただし、人工透析や手足の切断など、障害認定日に例外が設けられている場合もあります。
障害認定日に該当しなかった場合でも請求できることがある
障害認定日の時点では障害等級に該当しなかった場合でも、その後に症状が重くなったときは、「事後重症による請求」ができる場合があります。
事後重症による請求では、原則として請求した月の翌月分から年金が支給されます。
そのため、請求が遅くなるほど、受給開始時期も遅くなります。また、原則として65歳の誕生日の前々日までに請求する必要があります。
一方、障害認定日の時点ですでに障害等級に該当していた場合は、障害認定日による請求が認められる可能性があります。
この場合、過去にさかのぼって支給を受けられることがありますが、時効により受け取れるのは原則として5年分までです。
働いていても障害年金は受給できる?
働いていることだけを理由に、障害年金を受給できないと決まるわけではありません。
ただし、特に精神障害や発達障害などでは、
- どのような仕事をしているか
- 職場でどの程度の配慮を受けているか
- 欠勤や遅刻、早退の状況
- 援助や見守りがなければ働き続けられない状態か
- 帰宅後や休日にどの程度疲弊しているか
といった実際の就労状況が、日常生活能力や障害状態を判断する材料の一つになります。
「働いているから無理」「短時間勤務なら必ず受給できる」と、単純に判断できるものではありません。
対象となる病気や障害は幅広い
障害年金は、身体障害だけを対象とする制度ではありません。
たとえば、次のような病気や障害が対象になる可能性があります。
- うつ病
- 双極性障害
- 統合失調症
- 発達障害
- 知的障害
- 高次脳機能障害
- 視覚障害
- 聴覚障害
- 肢体障害
- 心疾患
- 腎疾患
- 肝疾患
- がん
- 糖尿病
- 難病
重要なのは病名そのものではなく、病気や障害によって、日常生活や労働にどの程度の制限が生じているかです。
申請前に整理しておきたいこと
障害年金の申請では、診断書だけでなく、これまでの受診歴や生活状況を整理することが重要です。
特に、次の資料は早めに確認しておくとよいでしょう。
- 初診当時の診察券
- お薬手帳
- 紹介状
- 健康診断の記録
- 医療機関の領収書
- 入院歴や通院歴のメモ
- 仕事や生活上の困難を記録した資料
- 家族や支援者が把握している生活状況
初診日から長期間が経過している場合は、当時の医療機関が廃院していたり、カルテが保存されていなかったりすることもあります。
「そのうち申請しよう」と思っている場合でも、まずは初診日を確認できる資料が残っているかを整理しておくことが大切です。
障害年金の申請は誰に相談する?
障害年金の請求手続きや申請書類の作成支援を専門業務として行うのは、社会保険労務士です。
次のような場合は、年金事務所や社会保険労務士への相談を検討するとよいでしょう。
- 初診日が分からない
- 複数の医療機関を受診している
- 複数の病気や障害がある
- 働きながら申請したい
- 過去に不支給となった
- 障害認定日による請求と事後重症請求の違いが分からない
- 病歴・就労状況等申立書の整理が難しい
当事務所では、障害年金の請求代行や申請書類作成は行っていません。
障害年金そのものの申請については、年金事務所または社会保険労務士へご相談ください。
障害年金は「金額」だけでなく、生活全体の中で考える制度
障害年金は、病気や障害によって生活や仕事に制限がある方の暮らしを支える重要な制度です。
一方で、障害年金だけですべての生活課題が解決するわけではありません。
障害福祉サービス、自立支援医療、障害者手帳、就労支援、生活保護、成年後見制度など、状況に応じて複数の制度を組み合わせて考える必要があります。
私自身も、障害年金や障害福祉サービスを利用する当事者として、制度が生活の土台になることを実感しています。
制度を利用することは、特別扱いを求めることではありません。
必要な支援を受けながら、自分の生活を維持していくための選択肢の一つです。
まずは、自分がどの制度の対象になり得るのかを知るところから始めてみてください。
障害年金の申請について
障害年金の請求手続きや申請書類作成については、年金事務所または社会保険労務士にご相談ください。
行政書士田中慶事務所では、障害年金の申請代行は行っていません。
障害福祉サービスや将来に向けた制度・法務上の整理については、現在ご案内している支援内容をご確認ください。
