✓ 職員への説明、本当にこれで合ってる?
✓ 例外規定の判断、自己判断で大丈夫?
✓ 地域に就労選択支援事業所がない場合の対応は?
✓ 利用希望者にどう説明すれば納得してもらえる?
2025年10月1日から、就労継続支援B型事業所の新規利用において、「就労選択支援」の利用が原則必須となります。制度開始まで残り1ヶ月を切った今、事業所は最終準備を完了させる必要があります。
この記事では、制度の基本から実務での判断ポイント、そして「専門家に相談すべきケース」まで、現場で本当に必要な情報をお伝えします。
就労選択支援とは?制度の概要を30秒で理解
制度の基本概要
就労選択支援は、障害のある方が自身の希望や能力、就労に向けた課題を客観的に整理し、最適な就労系サービスを選択できるよう支援する新しいアセスメント事業です。
これまでは各事業所が個別に行っていたアセスメントを、専門的な第三者機関が標準化された方法で実施することにより、より適切なサービス選択を支援します。
なぜこの制度が必要になったのか
従来の制度では、利用者が事業所を選択する際の客観的な判断材料が不足していました。その結果、以下のような課題が生じていました:
- 利用者の能力や希望に合わないサービスの利用
- 事業所間でのアセスメント品質のばらつき
- 就労に向けた適切な支援計画の策定困難
就労選択支援の導入により、これらの課題解決と、より効果的な就労支援の提供を目指しています。
2025年10月1日からの変更点|B型事業所への影響
新規利用者への影響
2025年10月1日以降、就労継続支援B型事業所を新規で利用する方は、原則として事前に就労選択支援を受ける必要があります。
これは既存利用者には適用されず、あくまで新規利用者のみが対象となります。
事業所運営への影響
事業所にとっての主な変更点は以下の通りです:
直接的な変更
- 新規利用者の受け入れプロセスの変更
- 就労選択支援事業所との連携体制構築
- 利用希望者への説明内容の更新
間接的な影響
- 新規利用者の受け入れまでの期間延長の可能性
- より適性に合った利用者の受け入れ期待
- サービスの質向上への貢献
他の就労系サービスへの適用時期
- 就労移行支援・就労継続支援A型: 2027年4月から適用予定
- 就労定着支援・自立生活援助: 同じく2027年4月から適用予定
事業所が今すぐ確認すべき最終準備のポイント
制度開始まで残り1ヶ月となった現在、以下の準備を最優先で完了させましょう。
1. 職員への制度理解の徹底
チェックポイント
- 全職員が制度の概要を正確に理解しているか
- 電話対応時の説明内容が統一されているか
- 例外規定について把握しているか
⚠️ よくある失敗例
「職員によって説明内容が違い、利用希望者が混乱してしまった」
→ 対応マニュアルの作成とロールプレイング研修が有効です。
2. 地域の就労選択支援事業所との連携確認
確認すべき項目
- 事業所所在地域の就労選択支援事業所リストの作成
- 各事業所の連絡先・受付時間・手続きの流れの把握
- 紹介時の具体的な連携方法の確認
🚨 実際のご相談例
「新規利用者から問い合わせがあったが、近隣に就労選択支援事業所がなく、どう対応すべきか分からず放置してしまった…」
→ 結果:利用者が他の事業所に流れてしまいました。
地域の支援体制が不十分な場合、例外規定の適用や自治体との調整が必要になります。このような判断は専門家のサポートがあると安心です。
3. 広報物・説明資料の緊急更新
更新が必要な媒体
- ホームページの利用案内ページ
- 事業所パンフレット・リーフレット
- 見学時の説明資料
- 電話対応用のスクリプト
記載すべき内容
- 「2025年10月1日以降は就労選択支援の利用が必要です」
- 就労選択支援事業所の紹介先情報
- 例外規定に該当する可能性がある方への案内
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新規利用者への対応フロー【10月以降】
パターン1:利用希望者からの直接問い合わせ
利用希望者からの問い合わせ
↓
制度説明(就労選択支援の必要性)
↓
就労選択支援事業所の紹介
↓
就労選択支援の実施
↓
アセスメント結果に基づく受給者証申請
↓
B型事業所での利用開始対応時の説明ポイント
- 制度の目的と利用者のメリットを丁寧に説明
- 就労選択支援にかかる期間の目安を伝達
- 例外規定に該当する可能性の確認
パターン2:相談支援事業所からの紹介
相談支援事業所経由の場合も、就労選択支援を経ていない利用者については、同様の対応が必要になります。
相談支援専門員との連携を密にし、適切な情報共有を行いましょう。
パターン3:市区町村窓口での受給者証申請時
多くの自治体では、就労選択支援を経ていない場合、原則として受給者証の申請が受理されない運用となる見込みです。
事業所としては、利用希望者に対して事前の制度説明を徹底することが重要です。
就労選択支援の例外規定|実務での判断が難しいケース
以下の場合は、就労選択支援を経ずにB型事業所を利用できる例外規定が設けられています。
年齢・体力に関する例外
対象者
- 50歳に達している方
- 過去に就労経験があり、年齢や体力の面で一般企業への雇用が困難と判断される方
⚠️ 実務での判断が難しいケース
- 「50歳だけど元気で就労意欲が高い方」
- 「就労経験はあるが短期間のみ」
- 「体力面の判断基準が曖昧」
→ このような微妙なケースでは、行政の判断が自治体によって異なることも。事前に専門家に相談することで、申請の手戻りを防げます。
障害の程度に関する例外
対象者
- 障害基礎年金1級を受給している方
- 重度の障害により就労が著しく困難と認められる方
必要な書類
- 年金証書のコピー
- 医師の意見書(場合により)
地域の支援体制に関する例外
適用される状況
- 近隣に就労選択支援事業所がない地域
- 利用可能な事業所数が極端に少ない地域
- 就労選択支援の利用まで長期間の待機が見込まれる場合
🚨 地域格差の実態
都市部と地方では、就労選択支援事業所の数に大きな差があります。地域によっては例外規定の適用が前提となるケースも。
この場合、自治体との調整が必要になりますが、どのように交渉すればよいか分からないという事業所も多いのが実情です。
事業所の対応
- 地域の就労選択支援事業所の稼働状況確認
- 自治体との相談・調整
- 利用者への丁寧な状況説明
他事業所との連携方法と注意点
就労選択支援事業所との連携
連携のポイント
- 定期的な情報交換会の開催
- 紹介時の情報提供方法の統一
- アセスメント結果の活用方法の確認
注意すべき点
- 個人情報の適切な取り扱い
- 利用者の意向の十分な確認
- 中立的な立場での事業所紹介
相談支援事業所との連携
相談支援専門員との連携においても、制度変更への対応が重要です。
- 制度に関する最新情報の共有
- 例外規定の適用判断における相談
- 利用者支援における役割分担の明確化
よくある質問と回答
Q1. 既存利用者への影響はありますか?
A. いいえ、既存の利用者には影響ありません。就労選択支援の対象は2025年10月1日以降の新規利用者のみです。
Q2. 就労選択支援にはどの程度の期間がかかりますか?
A. 一般的に1〜2ヶ月程度とされていますが、実際の期間は地域の事業所の体制や利用者の状況により異なります。詳細は各就労選択支援事業所にご確認ください。
Q3. 就労選択支援の費用負担はありますか?
A. 利用者の自己負担については、他の障害福祉サービスと同様の仕組みが適用されます。所得に応じた負担上限があります。
Q4. 例外規定の判断は誰が行うのですか?
A. 最終的な判断は市区町村が行いますが、事業所としても事前の情報収集と整理を行い、適切な助言をすることが重要です。判断に迷う場合は、専門家に相談することをお勧めします。
Q5. 就労選択支援事業所が見つからない場合はどうすればよいですか?
A. まずは市区町村の障害福祉担当課にご相談ください。地域の状況により、例外規定の適用や他地域の事業所利用などの調整が行われる場合があります。
【判断軸】自力対応 vs 専門家への相談
✅ こんな事業所は自力対応でOK:
- 地域に就労選択支援事業所が複数ある
- 相談支援事業所との連携が既に強固
- 例外規定の該当者がほぼいない
- 職員の制度理解が十分に進んでいる
⚠️ こんな事業所は専門家への相談を推奨:
- 地域の支援体制が不十分(就労選択支援事業所が少ない・ない)
- 例外規定の判断が必要なケースが多い
- 自治体との調整が必要になりそう
- 職員への制度説明に不安がある
- 利用希望者への説明で混乱が生じている
判断に迷う場合は、一度専門家に相談することで、後々のトラブルを防ぐことができます。
まとめ:制度開始後のスムーズな運営のために
2025年10月1日の制度開始まで残り1ヶ月となりました。事業所として以下の最終確認を行い、スムーズな制度移行を実現しましょう。
最終チェックリスト
✅職員の制度理解と対応方法の統一
✅地域の就労選択支援事業所との連携体制構築
✅広報物・説明資料の更新完了
✅例外規定への対応準備
✅関係機関との情報共有体制確立
この制度変更は、利用者により適切なサービス選択の機会を提供するものです。事業所としても、制度の趣旨を理解し、利用者本位の支援を継続していくことが重要です。
判断に迷うケースは必ず出てきます。そのときは一人で抱え込まず、専門家のサポートを活用することで、利用者にとってもスムーズな制度移行を実現できます。
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私自身、障がい者福祉サービス(A型・B型事業所)を利用していた経験があります。
「現場の実際を知りたい」
そんな“制度と現実の間”で迷っている方の相談相手として、利用者側と支援者側、両方の視点を持つピア行政書士として、一緒に最適な道を探します。
参考文献・情報源
- 厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について」
- 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部「就労選択支援に係る報酬・基準について」
- 各自治体発行の制度改正関連資料
本記事の情報は2025年9月時点のものです。最新の詳細については、厚生労働省および各自治体の公式発表をご確認ください。

