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就労選択支援を自法人グループで完結すると危険?中立支援の必要性とは

2025年10月からスタートする新たな障害福祉サービス「就労選択支援」。制度創設により、障害のある方が自分に合った就労支援サービス(就労移行支援・就労継続支援A型・B型)を選ぶための「入り口」となる支援が制度化されます。しかし、このサービスを自法人の中で完結させてしまうことには、報酬面でのリスク制度趣旨からの逸脱といった課題があります。本記事では、就労選択支援事業の概要から、自法人への誘導がもたらすデメリット、そして行政書士ができる支援までを解説します。

目次

就労選択支援とは?2025年10月から始まる新制度

就労選択支援は、就労系サービスの利用を希望する障害者に対して、

  • アセスメント(本人の希望・適性の把握)
  • 関係機関との連絡調整
  • サービスの情報提供

などを行い、就労移行支援や就労継続支援A型・B型の中から適切なサービスへの橋渡しを行う新たな障害福祉サービスです。厚生労働省の資料によれば、就労系サービスのミスマッチを防ぎ、障害者本人が「納得して選択」することを重視した制度とされています。

対象となる利用者

  • 就労系サービスの利用を希望する人
  • 施設入所支援・グループホーム利用者などで、今後の就労を目指す人

利用期間と報酬

  • 原則1か月(最長2カ月)
  • 1日あたり1,210単位(基本報酬)

自法人に偏った誘導で「特定事業所集中減算」の対象に

就労選択支援は、あくまでも「中立的な立場」で利用者の選択を支援することが求められます。そのため、制度上、以下のような偏りがあると報酬が減額される仕組みになっています。

特定事業所集中減算の概要

  • 直近6か月間の就労選択支援の実施状況を分析し、
  • 実際に利用者が選んだ就労系サービスのうち、
  • 同一法人が運営する事業所への紹介割合が80%を超える場合
  • 200単位/日が減算されます。

ただし、正当な理由があった場合には、減算されません。「正当な理由」に当てはまるか否かについては、所管の自治体への確認が必要となってくるかもしれません。

これは、グループ内に就労移行支援・A型・B型を保有する法人が「自法人へ誘導」することへのけん制です。

減算の回避には「選ばれた結果」が必要

減算を回避するには、

  • 複数のサービス事業者を提示する
  • 本人の意向や特性をふまえたアセスメントを記録に残す
  • 他法人とのネットワークを活用する

といった中立性・透明性の確保が不可欠です。紹介が自法人であっても「結果としてそうなった」ことを証明できる支援経過の記録が求められます。

就労系サービスを運営している法人こそ要注意

グループ内に複数の就労支援サービスを持つ法人にとって、就労選択支援は新たな入口支援として導入しやすいものです。実際、

  • A型・B型・就労移行支援を展開している法人
  • グループホームと連携している法人

などは、対象者も多く、スムーズに事業がスタートできる可能性があります。

しかしその反面、就労選択支援が「自法人への送客装置」になってしまうと、制度の理念に反するだけでなく、実際に報酬減額という不利益を被ります。

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行政書士が支援できること

就労選択支援をはじめとした障害福祉サービスの立ち上げには、制度の理解だけでなく、

  • 指定申請書類の整備
  • 運営基準・報酬体系の確認
  • 減算要件のリスク管理
  • 他法人との連携スキームの構築

など、法的・実務的な視点からの準備が求められます。

行政書士は、福祉事業の立ち上げ支援に特化した専門家として、事業者の立場に寄り添いながら、制度適合と持続可能な運営の両立をサポートできます。

まとめ|「就労選択支援」は本人の選択を支える制度

就労選択支援は、本人の意思と適性に寄り添う制度です。自法人完結型の支援は、表面的には効率的でも、減算や地域との信頼関係の悪化を招くリスクがあります。

これから新たに参入を検討する事業者の方は、制度を正しく理解し、「中立性」を維持した仕組みづくりを心がける必要があります。

もし就労選択支援の導入や制度適合、運営リスクへの対応に不安があれば、ぜひ行政書士にご相談ください。

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📝 この記事を書いた人
行政書士 田中慶

私自身、障がい者福祉サービス(A型・B型事業所)を利用していた経験があります。

「制度はわかったけど、うちの場合はどうすればいいの?」
「現場の実際を知りたい」

そんな“制度と現実の間”で迷っている方の相談相手として、利用者側と支援者側、両方の視点を持つピア行政書士として、一緒に最適な道を探します。

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