そもそも「加算」ってなに?~障がい福祉サービスにおける加算の意味と活用
はじめに 〜「加算」と聞くだけで難しく感じていませんか?
「加算って複雑そう」「ウチみたいな小さな事業所では無理じゃない?」
そんなふうに感じて、加算をあきらめていませんか?
たしかに、加算には要件や書類が必要なものもあります。
でも実は、“ちょっとした体制づくりや書類の整備”で算定できる加算も意外とあるんです。
この連載では、全7回にわたって、加算の基礎から「使える!」「ウチも対象かも!」と思える実践情報まで、やさしく解説していきます。
加算とは「手厚い支援に対して上乗せされる報酬」
障がい福祉サービスにおける「加算」とは、基本報酬にプラスして支払われる“追加報酬”のことです。
たとえば──
- 福祉の専門職員を配置している
- 利用者の就労に向けた個別支援を手厚く行っている
- 一定のICT活用や体験利用支援の仕組みを整えている
など、“より丁寧な支援”や“一定の体制整備”をしている事業所に対して、報酬が上乗せされる制度です。
「あ、これならウチでも!」となる加算もある
加算というと、「人員要件が厳しい」「手続きが面倒」といったイメージがあるかもしれません。
でも、実際には「ほんの少しの対応」で算定できる加算も存在します。
たとえば──
✅ 初期加算
利用開始から30日以内の新規利用者に対して、個別支援を丁寧に行った場合に算定できる加算です。
→ 必要なのは、記録の整備と届出。特別な職員配置は不要です。
✅ 福祉専門職員配置加算
社会福祉士や精神保健福祉士を配置している場合に算定できる加算です。
→ すでに資格者が在籍していれば、書類整備だけで対象になる可能性も。
ちなみに…「こんな加算もある」話題として
あまり知られていないけれど、実はこんな加算も存在します。
◯ 視覚・聴覚言語障害者支援体制加算
視覚や聴覚、言語障害のある利用者さんが全体の30%以上で、
かつ専門職(研修受講者や手話通訳士など)を配置している場合に算定される加算です。
→ 「えっ、そんな加算があるの!?」という驚きから、
自事業所の体制を改めて見直す“きっかけ”にはなるかもしれません。
加算は「報酬」だけでなく「支援の見える化」
加算は「お金のため」というだけではありません。
算定を検討することで、
- すでに行っている支援の棚卸しができる
- チーム内の共通認識が生まれる
- 経営的な視点も持てるようになる
など、支援と経営をつなぐ“ブリッジ”の役割も果たします。
まとめ 〜 加算は「やっている支援」を評価してもらう手段
加算は、特別なことを新たに始めないと取れないものばかりではありません。
「もうやっていること」や「少し手を加えれば届くこと」が、実は加算の対象だった──
そんな発見が、きっとあるはずです。
この連載では、現場目線で「取り入れやすい加算」や「見落としがちなポイント」にフォーカスしてお伝えしていきます。
📘【次回予告】
第2回:その加算、実はもう算定できるかも? 就労系で見落としがちな“身近な加算”