その加算、実はもう算定できるかも? 就労系で見落としがちな“身近な加算”
はじめに ~ 加算は「特別なこと」だけじゃない!
第1回では、そもそも「加算」とは何か、その基本をお伝えしました。
「加算=手厚い支援や体制整備への追加報酬」
このイメージはもうバッチリですね。
「でも、加算ってやっぱり難しいのでは…?」と感じた方もいるかもしれません。 今回はそんな不安を解消するため、「意外と見落としがちだけど、すでに実践しているかも?」と思える、身近な加算にスポットを当てて解説します。
就労継続支援A型・B型事業所の方、ぜひご自身の事業所にあてはめて考えてみてください。
見落としがちな加算の代表例
加算には、特別な設備や厳しい人員配置が必須なものばかりではありません。 普段の業務を少し工夫したり、書類をきちんと整理したりするだけで算定できる加算も多いんです。
ここでは、特に見落とされがちな加算を3つピックアップしました。
1. 初期加算
「新しく利用者が来たけれど、手続きやオリエンテーションでバタバタして、個別支援まで手が回らない…」
そんな経験はありませんか?
この初期加算は、利用開始から最初の30日間に限り、丁寧な個別支援を評価してもらえる加算です。 特別な職員配置は必要なく、要件は「支援記録をきちんと残すこと」。新規利用者が増えた際に、より手厚いサポートをするための費用として活用できます。
2. 欠席時対応加算
利用者が急に休むことになった時、事業所から体調確認の連絡をしたり、次の来所に向けて声かけをしたりすることはよくありますよね。
この「連絡」や「次の支援計画」に対するサポートを評価してくれるのが、欠席時対応加算です。 特別な対応ではなく、普段から行っている“気遣い”が加算になる可能性があります。 大切なのは、電話でのやり取りや支援内容を記録として残しておくことです。
3. 利用者負担上限額管理加算
利用者さんの障がい福祉サービスの利用料は、世帯の所得に応じて上限額が定められています。 利用者さんが複数の事業所を利用している場合、この上限額の管理は事業所側が代行することになります。
この上限額の管理・計算・記録といった事務作業にかかる手間を評価してくれるのが、利用者負担上限額管理加算です。 これは、事業所が普段から行っている事務作業が評価される加算のため、「そういえば、うちもやってるな」という事業所が多いかもしれません。
加算は「記録」と「届出」がポイント
今回ご紹介した3つの加算は、いずれも「普段から行っていること」が加算の対象になる可能性があります。 大切なのは、以下の2点です。
- 記録を残すこと: どんな支援をしたのか、なぜその支援が必要だったのかを記録することは、加算算定の要件であるだけでなく、支援の質の向上にもつながります。
- 適切な届出をすること: 加算の中には、事前に自治体へ届出が必要なものがあります。 「すでにやっていたのに、届出が漏れていた…」 そんな取りこぼしがないよう、日頃から届出状況を確認することが重要です。(今回紹介した3つの加算については、事前の届け出は不要なものばかりを紹介しています。)
まとめ ~ 次回は「算定漏れ」をなくすヒント
加算は、事業所の経営を安定させるだけでなく、「私たちの支援はこんなに手厚いんですよ」と客観的に示すためのツールでもあります。 「特別な加算はうちには関係ない」と決めつけず、まずは「普段やっていること」を洗い出してみましょう。
「あの業務、もしかして加算対象?」
そう感じたら、ぜひ一度、加算要件を確認してみてください。
📘【次回予告】
第3回:加算の取りこぼし、していませんか?“算定できるのにしていない”を見直す回